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エクストラムマン  作者: 蟹谷梅次
物語の始/怪の一 エクストラムの遣い
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第六話

 しかし、その時、隼人の頭に痛みが走った。頭の片隅にウニでも転がって来たような痛みが、隼人を襲った。


 正太郎はそれを心配するけれど、その痛みはすぐに去ったから、隼人は「大丈夫だよ!」とこたえた。


 自然公園の中を歩き出した。


 夕方に少し雨が降ったから、地面にある草は少し濡れていて、隼人のくるぶしはすこしだけ冷たかった。


 勝平は少しだけ吹く風に二の腕をさすっていた。


 この自然公園では、昔自殺があったとか、なかったとか、あることないことよくわからない情報が渦を巻いていた。


 隼人は勝平がする「怖い話」に肩を震わせて、縮こまっていた。


「例えお化けがいたって俺達みたいなギンギラギンにゃちょっかい出して来ないよ!」


 正太郎が笑って言う。


「しかし大丈夫かね、正太郎」

「ありゃ、センパイそんな歳になってもまだビビり直らんですかい! いやーダメだね。勝平くん、この人の良いところは『ウダウダ吐かしながらもついてきてくれるところ』だけど悪いところは『髪の毛がないところ』だ。良いところだけ真似しなよ」

「関わりあるんすか」

「学生時代にちょっといろいろ冒険をしたんだ。あの頃は若かったからね」

「若かったでヤクザに雪の下に埋められる高校生は俺達だけだろうな」

「ハハ、死にそうだったっすね」


 正太郎は学生時代に、ヤクザから逃れた美女を助けようとして痛い目を見たことがあった。他にも、現代の奴隷商売人から逃れようとした少女を救い痛い目を見たこともあった。他にも、大学の卒業旅行では部族間の紛争に巻き込まれて痛い目を見たことがあった。美女は助けたし、少女は現在故郷でニュースキャスターをしているらしいし、部族間の紛争は犠牲者少数でおさまっていた。


(たき)正太郎(しょうたろう)」という名前を「裏社会っぽいな」という奴に言ってみると、「知り合いか」となる。


 そういう人物であったが、正太郎はあんまりそういう話を隼人には伝えなかった。伝えたら隼人が憧れてしまうかもしれなかったからだ。


「俺達が二人揃うといつもなんかに巻き込まれるんだ」

「今日は何に巻き込まれるんだろうね」


 正太郎が笑っていると、隼人の耳にチャリン、という音がした。咄嗟に跳躍して、身を翻す。見下ろすと、先程まで自分がいたところには、老人が立っていた。


「なにっ!」

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