第五話
帰りの車の中で「アッ!」と思い出す。
「できることなら夜が来ないで欲しい~」
「なに、どうした」
「今日、勝平が自然公園に肝試しをしに行くからついてこいって言うんだ。逆らえなくて、ついていくことになったんだけど、怖くって」
「俺もついてくよ」
その言葉は隼人にとって少なからず救いだった。
「正太郎さん!」
「普通に子供だけで自然公園とか一番ダメだろ。俺は大人だからついていくんだよ。めっちゃビカビカさせてくか。よし、鈍器ホーテ寄ってくか」
「正太郎さァん!」
そしてとうとう夜が来る。
この世で一番ビカビカしている二人組が綱頭自然公園の駐車場に立っていた。そこにやってきた勝平とその父親が「なんだこいつら」という顔をした。
「ヒョーッ! 勝平クーン! そんな懐中電灯でFLOWは輝かねーヨォ!」
「おい! 明るくなっただけで調子こくなや!」
「HEY!HEY!HEY! アーハン?」
「もうこの子がお化けだろ」
正太郎は笑いながら、隼人(状態異常:暴走)に懐中電灯を持たせて抱えて歩き出した。
「両脇に歩く光源がいると肝試しって感覚がなくなるな。隼人、お前頭の奴だけでも消せ」
「は、ハァ!? そんなことするわけなくない!? 頭パッパラパー!? やめてよ! 冗談じゃない!」
「目がいてーんだよ! 頭を見ると特によ!」
「それ言っちゃ勝平のお父さんの頭も目が痛いよ」
「人の親父のハゲ弄ったら殺されても文句言えねぇぞ!」
勝平は隼人の肩を揺さぶりながら、叫んだ。隼人はふざけて笑いながら、懐中電灯を道の先につけた。