第四十七話
しかしアレは殊里箱であるらしい。
「真相が見えたっ! 怪しい伝承を本当だと思って実行したおばかさんが犯人だっ!」
叫ぶと、ふと疑問が過ぎる。
犯人は何故そんなものに頼ったのか? そんなものに頼ってなにをするつもりだったのか?
人の多い海水浴場で。
「……これは、思ったより奥の深い事件だぜ……」
隼人は一度旅館に戻って二人に事のあらましを話した。二人はうーんと唸った。
「頭のおかしい奴なんだから、行動に深い理由なんてねーんじゃねーの」
勝平が言う。
「というかお前いままで図書館行ってたのかよ。一言言えよ。絢ちょっと探し回ってたぞ」
「ごめーん。言わなくても別にいいと思って……俺空気を読める男だから」
「なに言ってんだお前?」
絢を気遣かったのに! と隼人は悔しくなった。
隼人には別に同性愛への偏見などはなかった。
昔ながらの親友が同性を好きになったというなら、隼人はそれでもいいと思っている。
ただとうの本人が一ミリも手を出す様子がないともどかしいね。
「ねっ、三人でこの事件の真相を暴かない」
「えー? ……めっちゃおもしろそう」
「いいぜ。先に真相にたどり着いた奴が今度ラーメン奢れよ」