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エクストラムマン  作者: 蟹谷梅次
物語の始/怪の一 エクストラムの遣い
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第四話

 部屋で溜め息をつきながら、折りたたみ式の携帯ゲーム機を弄っていると、黒猫がミャアとやってくる。


「野良猫だ! かわいいなあ……」


 隼人はゲーム機を布団の上に投げつけて、手を伸ばした。

 黒猫は威嚇するように鳴いた。


「安心して~! 俺ァ悪い奴じゃねーよん」


 手を伸ばし、背中を撫でる。黒猫の怒りは頂点に達し、ガブリ! とされた。


「キャッ!」


 飛びのいて、腕を握る。手の平に血がちょっとついた。


「穴開いた!」


 隼人は部屋から飛びだし、階段を転げ落ち、洗面所へ向かう。オアアと叫びながら石鹸で傷口をごしごし洗う。


 せんべいをかじる母の間男を尻目に救急箱を取り出して消毒液をぶっかける。


「なにやってんの隼人くん」

「猫に噛まれた! 猫に噛まれた! しかもノラネコ!」


 隼人の父親はよく母や隼人に暴力を振るった。いまは出張に行っていて、来年まで帰ってこない。


 その間は間男の(たき)正太郎(しょうたろう)という人が隼人の家に居候していた。


 帰ってきたら離婚の話に決着を付けるのだと息巻いていた。


「病院行った方がいいかな」

「え! そんなにやばいの。消毒したよ」

「猫って口の中に沢山ばい菌仕込んでんだよ。野良猫ならなおさら。だからヤベーの。おわかり?」

「キャーッ! アッ!」


 隼人は恐怖のあまり気絶した。


「おもしろいなこいつ……」


 正太郎は隼人を抱えて車に乗せると、病院に連れていった。隼人が目を覚ますと「エクストラムってなんだよ!」と叫んだ。


「アレッ、ここは……?」

「病院。先生なんともないってさ。最近の一つも発見されなかったと。よかったなー。お前の応急処置が良かったかもな。アイスとか食って帰るか」

「死なないならさいわいすぎ! もうここでチンコ出しちゃお」

「やめとけ~」


 正太郎に連れられて、隼人はデパートの食堂にいって、チョコレート・アイスクリームを食べた。包帯は見ると痛みを思い出すから、なるべく目を離していた。

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