第二話
次の日、傘をさして集団登校の集合場所まで行くと、友達がいた。
眼鏡をかけていて、まるでがり勉みたいだけれど、本当は、その友達は隼人を引っ張っていくやんちゃな性格をしていた。
見た目じゃわからないことがあるんだよ、とその友達が言う。友達の名前は小野田絢といった。
かき氷がかいてあるTシャツを着ていた。黒いランドセルの底にはゲームのドラゴンが描いてある。
油性のペンで描いたから、母にばれて呆れられたらしい。
「今日も情けない面なんかしているな」
「俺は情けないんだよ、絢。俺は物悲しい」
「いったいなに。今度は。またなんか読んだ?」
「ち、ちがわい! ただ、本当に、こうやってフツーの日々を送っていると、本当に自分は普通の奴なんだって思って、悲しくて仕方がなくなる」
「それがイチバンじゃね?」
絢は隼人の悩みを笑い飛ばした。
「俺、お前がスーパーヒーローだったら付き合い方考えるもん。体操選手でもないのにパツパツのコスチューム着てたらキモすぎ」
「俺はそんなキモい奴にもなれない」
「俺はいまのお前も十分特別に見えるけど」
隼人は首を傾げる。
「どうして?」
「うるせぇな。あっ、もう出発してる! お待ち~!」
顔を赤くして逃げる絢の様子が気になったが、今日は雨が強い。そんなの後でいいか、と思った。