最強ヒーロー集結編 業火の魔女
極寒の雪が吹きすさぶロシア国内にあるロシア宇宙基地通信局では、レベル5に該当する緊急事態が起こっていた。
「地下13階から熱源反応!ものすごい速さで地上へ向かって、上昇していきます!おそらく、捕らえていた業火の魔女かと思われます!」
「どうしてだ!?今まで15年もおとなしくしていたじゃないか!」
「おそらく、今まで我々が人質にしていた彼女の両親が昨日、コロナで二人共、亡くなったからではないでしょうか!」
「どうして、地下13階から、そんなことが、わかるんだ!?」
「わかりません!!」
ロシア宇宙基地通信局の司令部の二人が、そう会話しているうちに、すでに業火の魔女ことフレア・カモニークスキーは、何重もの天井を自らの発する炎で溶かし尽くし、地下13階から炎をブーストに飛行、地上へと上陸していた。
すぐに臨戦態勢を敷くロシア兵達。しかし、彼女フレア・カモニークスキーの前では、銃も戦車もまるで役に立たない。
銃弾も砲弾も彼女に着弾する前に彼女の纏う地獄の業火のような炎によって、瞬間的にすべて溶かされ尽くす。
フレア・カモニークスキーは、攻撃してくるしてこないに関わらず、その場にいるロシア兵全員に向けて、手をかざし、火炎を放射。
彼女の炎は、消火剤でも雪でも消えず、その場にいるロシア兵達は、ろくな抵抗もできずに全員、焼死した。
それほど強力な炎にも関わらず、それを纏っている彼女の服や赤い髪や彼女自身は、一切、燃えていなかった。
自然現象による炎でない事はあきらかで、魔法の存在をそれだけで証明していた。
そんな恐ろしい能力を持つ業火の魔女フレア・カモニークスキーの後ろに、いつの間にか、エージェントチャールズは、佇んでいた。
「馬鹿な。全員、殺したはず」
フレア・カモニークスキーは、エージェントチャールズの生命の熱源を感じて、振り返るもそこにすでにエージェントチャールズの姿は、ない。
エージェントチャールズは、振り返ったフレア・カモニークスキーのさらに後ろにすでに周って、立っていた。
エージェントチャールズは、気温がマイナスに振り切ってるロシアの地で毛皮のコートを着るわけでもなく、いつもの黒スーツ姿であった。鼻水を垂らすわけでもなく、一切、寒そうにしていない。
「何者?」
とフレア・カモニークスキーは、エージェントチャールズの異常さに気づき、不用意に攻撃するのは、逆に危険と判断し、殺意を向けずに振り返ってみる。
すると、エージェントチャールズは、今度は、まっすぐにフレア・カモニークスキーに見つめ、真正面で待ち構えていた。
「フレア・カモニークスキーさん。はじめまして。私は、アメリカのエージェントのチャールズというものです」
「アメリカ?ここに何しに来たの?」
フレアは、英語に堪能ではなかったが、魂の熱を読み取って、言葉を理解し、魂の熱で自らの言葉をチャールズに伝えた。
「あなたに自由を与えに来たのです」
とチャールズは、フレアに答える。
「自由?」
フレアは、その言葉に眉を寄せる。
「フレア・カモニークスキーさん。これから、あなたは、何をしようとしていますか?」
「決まってるでしょ。両親を人質にとり、15年間、私を閉じ込めていたロシアの大統領を始末するのよ」
「その後は?」
「向かってくる者を全員、焼き払い。自由にさせてもらうわ。あなたに与えられなくてもね」
「そんなことをすれば、あなたは、世界の敵となりますよ」
「関係ないわ。誰が私に敵うというの?」
「一生、戦い続けるつもりで?夜、ぐっすり眠ることすら、許されずに?」
チャールズに言われ、フレアは、一瞬、黙ってしまう。
「なら、私にどうしろと言うの?化物が化物として、生きていく以外に道があるとでも?」
「アメリカが、あなたに人間としての本当の自由を保証しますよ」
「交換条件は、なに?」
フレアは、再び、強く眉を寄せる。警戒心を示す眉間のしわ。
「ある一人の男をあなたの手で殺してほしいのです」
チャールズは、変わらない平坦な淀みのない口調で言った。
フレアは、頬をゆるませ、
「やっぱりね。そんなことだろうと思ったわ。誰を殺してほしいの?」
と訊く。
「天条誠人という日本人です」
「TEN―JOE?」
フレア・カモニークスキーは、15年間、幽閉されていたので、天条誠人のことをまるで知らなかった。
「熱源消失!熱源消失しました!」
その日、ロシア宇宙基地通信局は、フレア・カモニークスキーがロシアから忽然と姿を消したのを確認。
その後、ロシアの諜報部がフレア・カモニークスキーを捜索するも、彼女が発見されることは、ついに、なかった。
業火の魔女は、天条誠人抹殺作戦に加わることとなったのである。
最強ヒーローチーム結成まで、あと3人。




