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カイトVSペイリー


 部下が続けて倒されてしまった。そう思ったペイリーは目の前にいるカイトを何としても倒さねばと考えていた。部下は倒されてしまったが、セアンとライアを精神的に追い詰め、カイトを倒した後の戦いを有利にしようと考えていた。


「残りはお前だけだな、おっさん!」


 カイトは刀を構えてペイリーにこう言った。まだ声に威勢があるのだが、息は切れていて、両肩も少し震えていた。


「粋がるな、小僧。息が切れているぞ? どうして肩が震えている?」


「うるさいおっさんだな」


 カイトはそう言うと、刀を振り上げてペイリーに接近した。攻撃が来ると察したペイリーは左手に雷の魔力を発し、棘のように形成した。


「上半身隙だらけだぞ、小僧! 受けるがいい、エレキショック!」


 ペイリーの叫び声と共に、左手の雷の棘はカイトに向かって勢いよく飛んで行った。カイトは雷の棘に対し、刀を振り下ろして叩き落として対処したが、その隙にペイリーはショートソードを構えて接近していた。


「甘いなぁ! お前がそうすると察していたわ!」


「グッ! ヤベェ!」


 迫ってくるペイリーに対し、カイトは素早く振り下ろした刀に力を入れて振り上げ、ペイリーに斬りかかった。


「おわっ!」


 驚く声を漏らすペイリーは、刀が振り上げられたと同時に体を後ろに反らして攻撃を回避した。致命傷を受けるのは回避したが、服が切れてしまった。


「ふぅ、剣の扱いは立派なようだな……だが、それが戦いに勝利するきっかけになるとは限らないぞ」


 カイトを見て呟くペイリーだったが、カイトは刀を振り上げてすぐに突きの構えを取り、刀をペイリーに向かって突き刺した。ペイリーは突きをかわし、カイトの顔に目がけてショートソードを突き刺した。


「ハッハッハ! 海賊との戦いには慣れていないようだなぁ! 動きに無駄が多すぎるぞ!」


 驚くカイトの顔を見て、ペイリーは勝利を確信した。しかし、カイトは足を動かし、前に出ていたペイリーの左足に蹴りを入れた。その結果、ペイリーはバランスを崩して前に倒れた。


「オワップ! く……足を出しすぎた……」


「形勢逆転だ。勝利を確信した時に隙ができるって話は聞いたことあるけど、本当のようだな」


 と、カイトは刀をペイリーの目の前に突き刺してこう言った。刃の周りには青いオーラが纏っており、何かあれば威力を高めた一撃が襲ってくるだろうとペイリーは察した。


 しかし、この状況でもペイリーは負けを認めることはしなかった。ペイリーは雷の魔力を開放し、左手をカイトに向けて雷を発した。雷を受けたカイトは悲鳴を上げながら後ろに吹き飛び、その場で震え始めた。


「か……体が……痺れる……」


「油断したな。勝利を確信したからと言って、気を緩めるものじゃないぜ。さっき、お前が似たようなことを言っていたな」


「忠告ありがと……だが、この程度の電撃で俺は倒れない」


 震える声でこう言いながら、カイトは立ち上がった。その動きを見たペイリーはまだ立ち上がるのかと動揺していたが、震えるカイトの体を見てまだ自分が有利な立場にいると考えた。


「さてと……小僧の相手はもうしたくない。いい加減くたばってくれよ!」


 大きな声で叫びながら、ペイリーは両手に雷を発し、カイトに向けて放った。


「必殺! ツインエレキニードル! これを喰らって死ね!」


 両手から放たれた二つの雷は、一つの大きな雷となり、ふらつくカイトに向かって飛んで行った。




 ふらつくカイトは飛んで来る雷を見て、どうしようか考えていた。だが、雷を受けたせいで軽いめまいを起こしており、考えることができなかった。そんな中、セアンの声が聞こえた。


「カイト! その剣で雷を斬ることはできる?」


 雷を斬る。その言葉を聞いたカイトは両手で刀を構え、飛んでくる雷を見つめた。


「バカか? そんな剣で俺の雷を斬ることができるわけがない!」


 と、大声でペイリーはカイトをバカにするように叫んだ。だが、カイトはこの言葉を聞き流し、飛んで来る雷だけを見つめていた。


 少しして、雷はカイトに接近した。カイトはタイミングを合わせて刀を振り上げ、雷が接近したと同時に魔力を開放し、力強く刀を振り下ろした。カイトの刀の刃は雷に命中し、激しい火花を散らしながら二つにさせた。


「う……嘘だろ……俺の雷が……」


「どうやら俺の勝ちみたいだな。オッサン」


 カイトはペイリーに接近し、刀を構えた。カイトの声を聞くまで茫然としていたペイリーは、近くにカイトがいることを察して雷を発しようとしたが、遅かった。カイトはすでに刀を振り下ろし、ペイリーに一撃を与えていた。


「ガハァッ……」


 ペイリーは腹に一閃の傷を受け、血を流しながら後ろに下がった。攻撃を終えた後、カイトは荒く呼吸をしながら、その場で片膝をついた。


「はぁ……はぁ……やった……のか?」


 カイトはペイリーの様子を確認した。ペイリーもカイトと同じように荒い呼吸をしていたが、倒れてはいなかった。


「嘘だろ……結構力を込めて斬ったのに……」


「フン。お前のような小僧の一撃で倒れるわけにはいかないのだ」


 ペイリーは呼吸を整えてこう言った。そして、魔力を開放して大きな声で叫んだ。


「よくもこの俺をここまで追いつめたな! 反撃の時間だ、小僧! 生きて帰れると思うなよ!」


 この叫び声の直後、ペイリーの両手から雷の刃が発した。まだ戦うのかよ。カイトはそう思いながら立ち上がり、再び刀を握ってペイリーを睨んだ。


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