スケベイカを撃破せよ
嵐を作った原因、スケベイカに戦いを挑んだケアノスとライア。だが、ライアがスケベイカに掴まってしまった。部屋の中にいるカイトとセアンは武器を持って外に飛び出そうとしたが、途中でラージュが二人の足を掴んだ。そのせいで、二人は転倒した。
「あだだだだだ……鼻ぶつけた……鼻血は出てない。よかった」
「何するのよ、ラージュ! ライアがピンチなのに!」
転倒したカイトは鼻を抑え、セアンはラージュに怒った。ラージュはため息を吐いて騒ぐセアンにこう言った。
「二人とも、まだ魔力が完全に回復してないし、疲れもあるでしょうが。そんな状態でセアンがスケベイカに襲い掛かってみなさいよ。逆にあいつにやられるわよ。そうなってもいいの?」
「だとしても、ライアが捕まっているのよ、助けないと! あのままだとライアがやられる!」
「忘れたの? ケアノスがいるじゃない。私たちが出なくても何とかなるわよ。大人しく待てば戻って来るわよ」
と、ライフルの点検をしているコスタがそう言った。セアンはその言葉を聞き、そうだねと言ってその場に座った。カイトは痛む鼻を抑えつつ、中から戦いの様子を見ていた。
「本当に大丈夫かな……」
と、カイトは不安そうに小さく呟いた。
「いやああああああああああああああああ! 助けて! 触手プレイされる! とんでもない光景になる! 子供に見せられない!」
捕まったライアは叫び声を上げながら助けを求めていた。ケアノスは呼吸をしてリラックスをし、スケベイカを睨んだ。
「さてと……私の姉妹に手を出したらどうなるか……身を持って理解しなさい、イカ野郎」
そう言った後、ケアノスはスケベイカに向かって高く飛び上がった。スケベイカは飛び上がったケアノスに向かって足を延ばしたが、ケアノスは体を回転させながら魔力を纏わせたレイピアを振り回し、次々と襲ってくるスケベイカの足を斬り落とした。
「ケアノス! 助けて! イカの触手に犯される! ギャアアアア!」
捕まっているライアは、宙で戦うケアノスに助けを求めた。ケアノスは戦いながらため息を吐き、こう答えた。
「少ししたらそっち行くから、それまで耐えてなさい」
「早くして! 私の純情が! 私の純情が汚される! イカ相手に汚されたくない!」
ライアがこう叫んだ直後、ケアノスが近くに着地した。そして、ライアを掴んでいる足に向かってレイピアを振るって切断し、捕らわれているライアを救出した。
「ケアノス! 助かったよ~! 少し遅かったら大変なことになってたよ~!」
「無事でよかった。今からヴィーナスハンドに戻るから、ちゃんと捕まってなさい」
そう言った後、ライアを掴んだケアノスは高く飛び上がってヴィーナスハンドに戻った。ライアの危機的状況は去った。だが、ケアノスによって足を切断されたスケベイカは怒りをあらわにしており、残っている足でヴィーナスハンドに攻撃を仕掛けた。
「あのイカ、船を直接叩くってわけね。足を切り落とされたから復讐するつもりかしら」
「冷静になってる場合じゃないよ、ケアノス。あのスケベイカ、ヴィーナスハンドを叩くつもりか。こうなったら私がやってやる! 逆襲だ! 倍返しだ!」
ライアはナイフを持ち、魔力を開放してスケベイカに斬りかかった。ケアノスはため息を吐き、暴れ始めたライアにこう言った。
「今度は捕まらないでね。次、あの足に捕まっても助けられるかどうか分からないわ」
「大丈夫だって! 同じ過ちは繰り返さないから!」
ライアはそう答えながら、二つのナイフでスケベイカを斬り刻んでいった。そんな中、スケベイカは残った足でライアを捕らえようとしたが、ライアは素早く動いてスケベイカの足をかわした。その時に、ライアは再びスケベイカの体をナイフで斬りつけた。途中でケアノスも合流し、ライアと共に攻撃を仕掛けた。二人は何度もスケベイカに攻撃をしたのだが、攻撃を受け続けてもスケベイカは倒れる様子を見せなかった。二人は攻撃の手を止め、一度ヴィーナスハンドへ戻った。
「意外としぶといわね、こいつ。ライアがかなり攻撃したけど、まだ倒れないわね。いい加減倒れてほしいな……」
「でかいから体力もあるのかなー? だとしたら、かなり厄介な相手だよ」
二人はこう話をしながら様子を見ていた。すると、足を失ったスケベイカは、ヴィーナスハンドに体当たりを仕掛けた。
「足がないから体当たりするってわけ?」
「好都合。本体を叩けばそれなりにダメージを与えられる。この時に奴を叩くわよ」
ケアノスはそう言うと、レイピアの刃に魔力を込めた。そして、スケベイカの額を狙うかのように刃を構えた。
「これで終わりにするわ。覚悟しなさい」
そう言うと、レイピアの刃からライフルの弾丸のように細長く、鋭い形の風の刃が発射された。風の刃はスケベイカの額を貫き、そのまま宙へ消えて行った。撃ち抜かれたスケベイカは白目を向き、そのまま海に倒れて行った。
「よし、終わったわ。これでもう大丈夫よ」
ケアノスはそう言って、中から様子を見ていたカイトたちにブイサインをした。
その日の夜、カイトたちはリビングで食事をしていた。机の上にあるのはスケベイカの足を焼いたものや、刺身。その他にもスケベイカの墨を使ったイカ墨スパゲティがあった。それらのスケベイカを使った料理を食べながら、カイトはケアノスにこう言った。
「ケアノスって結構強いな。あんな大きなモンスターを倒すなんて、相当腕がないとできないんじゃないか?」
「これまで何度も大きなモンスターと戦ったから、デカブツとの戦いには慣れているわ。経験を積めば、カイトもあれくらいのモンスターと同等と戦えるわよ」
「私は捕まっちゃったけどね」
と、ライアは小声でこう言った。コスタが落ち込むライアをなだめる中、カイトとケアノスの話は続いた。
「今日戦ったスケベイカみたいな大きいモンスターに襲われたのか?」
「今回のスケベイカの大きさとはちょっと小さいけど、大きなタコのモンスターと戦ったし、凶暴な鮫とも戦ったわね」
「タコや鮫……物騒だな。俺が戦う時になったら、倒せるかな?」
「それは分からないけど。あと、さっき言ってたタコや鮫も人を食べる奴らだから、結構苦戦したわね。私たちも強い方だけど、隙を見せたら奴の餌になっちゃうし」
「結構凶暴だな……人を食べるってのはよく聞くけど、そんなのがこの世界の海には多数存在するのか?」
「そうよ。この海にはいろんなモンスターがいるわ。凶暴な奴はもちろん、大人しい奴もいる。ま、頻繁にああいうのと戦いになるから、海での生活は退屈しないと思うわ」
と、ケアノスは笑いながらこう言った。そんな中、セアンとラージュが声を上げた。
「どうしたの、二人とも? そこで何やってるの?」
「さっきのスケベイカの体液で何かやれるかもしれないって思ってやってみたら、何か変な煙が出たの」
「変な煙って……もう、スケベイカの体液ってまだ分からないことがあるから、変にいじらないでよね」
その時、その煙が鼻に入ったカイトとコスタの体が、突如痺れた。
「カイト? コスタ? どうかしたの?」
「か……体が……痺れた……」
「何なの……これ? う……動けない……」
痺れた二人を見て、何かを察したラージュがこう言った。
「ありゃま、さっきのスケベイカの体液に痺れの作用があったみたいね。あいつ、もしかしたら獲物の体を麻痺させる体液を注入させてから体の動きを封じて、あれこれしていたみたいね。恐ろしいわね」
「話はいいから、さっさと二人を元に戻しなさい!」
と、ケアノスは大声でラージュにこう言った。
いろんな作品にモンスターが出てきますが、一部のモンスターの肉は食べられるという設定にしています。この辺の設定はトリコから影響を受けました。たまにマンガ喫茶でダーツをやる中、休憩中に読んでいます。
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