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セアン、絶体絶命!


 カイト、セアン、ライアはズライリー海賊団の船に乗り込んで大暴れしていた。三人が暴れていると船を指揮しているペイリーは察し、部下に戦うように命令したが、あっという間に部下は倒されていた。だがそんな中、ラグとイチタと呼ばれた二人の男は武器を持ち、カイトたちの方に歩いて行った。


「何? 船長を守るために戦うの?」


「まーね。この船が沈没すると、大変なことになるからね。俺たちの仲間を守るためだと思って、サクッと死んでくれない?」


 と、ラグは鎖鎌を振り回しながらこう言った。セアンはその言葉を聞いて、にやりと笑った。


「残念。あんたみたいな弱い奴に殺される私たちじゃないよ。それに、死んでと言われて言う通りにすると思わないでよね」


「おお。言うねぇ。ペイリーさん。この周辺に血と血肉の雨が降るけど構わないよね? 暴れるから」


「後で掃除をする! そんなことはどうでもいいからさっさとやれ」


「あいよー。じゃ、さっさとやるから」


 ラグはセアンに向かって襲い掛かったが、イチタが手にした大斧を勢いよく振り下ろした。


「おっと。暴れるなよ、イチタ。今から戦うのに、邪魔しないでよ」


「戦いやすい状況を作ってやったのにそのセリフはないだろ。ペイリーさん。船の修理代は後で払うってことで!」


「仕方のない奴だ。あとで必ず修理代を出せよ! それじゃあ……俺はあの小僧の相手をするか」


 ペイリーは刀を持つカイトを睨み、こう言った。




 イチタの大斧の一撃でカイトたちは三手に別れてしまった。離れた距離は短いが、それぞれの前には敵がいて、容易に合流できる状況ではなかった。


「仕方ないね。一体ずつ倒して合流しよう」


「できるわけないだろ。お前たちはここで死ぬのだからな!」


 セアンに向かって、イチタの大斧が迫ってきた。セアンは大斧をかわし、ハンドガンで反撃を試みるが、イチタは魔力を開放してバリアを張り、弾丸を防いだ。


「うわ、強い魔力! 弾丸が効かない!」


「でかい武器を操るからのろまだと思っていたのだろ? その逆だ!」


 イチタは魔力を開放したまま大斧を持ち、物凄い速さでセアンに迫った。


「一撃で粉砕してやる」


 と言って、イチタは大斧を振り下ろした。セアンは魔力で風を発し、イチタの攻撃の邪魔をした。しかし、イチタの大斧はセアンが発した風を切り裂きながら、セアンを襲った。


「うわっ!」


 風が効かないことを察したセアンは急いで後ろに下がった。しかし、大斧が床に命中したことで、周囲に木片が舞った。


「逃さん!」


 後ろに下がったセアンを見て、イチタは二撃目を放った。セアンはカトラスに開放した風の塊を床に叩きつけて強風を発し、その勢いで高く飛び上がった。そのおかげで二撃目を回避することができた。


「上に逃げたか。無事でいられると思うなよ?」


 イチタは両手で大斧を持ち、下から上に振り上げた。その衝撃で大斧は宙を舞い、回転しながらセアンに向かって飛んで行った。


「嘘でしょ! そんな動きをするなんて!」


 セアンは驚きながら大斧を回避したが、その動きを見たイチタはにやりと笑った。


「無駄だ。その斧には俺の魔力をたっぷりと注いだ。たとえ離れていても、動かすことができる!」


 と言って、魔力を使って大斧を動かし、セアンに命中させた。


「ガハァッ!」


 大斧の刃はセアンに命中した。大斧の動きを見たセアンは反射的に魔力を体中に巡らせて防御力を高めたが、それでも刃はセアンの体にめり込んだ。


「セアン!」


 苦戦するセアンの姿を見て、ライアが上を見上げてこう言った。その時、ラグの鎖鎌がライアを襲った。


「姉妹の心配をしている場合じゃないよ。隙を見せたら死んじゃうぜ」


「この野郎! 邪魔だよ!」


 ライアは両手のナイフを振り下ろし、飛んで来た鎖鎌の分銅を叩き落とした。ラグは地面に落ちた分銅を拾うため、鎖鎌を引っ張った。


 大斧が命中したセアンは下に向かって勢いよく落下した。大斧はイチタが操り、セアンから離れた。


「フフフ。たった一発でくたばるのか。ピラータ姉妹は強いと言われるが、そうでもなかったな。案外弱いな」


「グ……」


 不敵に笑うイチタを睨み、セアンは魔力を開放して傷を手早く手当てした。まだ受けた傷が痛むが、セアンは動けると判断して立ち上がった。


「もう頭に来た! お前は海に突き落としてやる!」


「口だけは達者だな。やれるものならやってみろ!」


 そう言うと、イチタはセアンに向かって走った。セアンはイチタの足元に目がけてハンドガンを撃ったが、足元に向かって発砲すると予測したイチタは高く飛び上がった。


「そんな攻撃、子供でも思いつく! この程度で俺が止められると思うのか!」


 セアンをバカにするような口調で、イチタは落下と同時に勢いよく大斧を振り下ろした。セアンは攻撃をかわし、カトラスを持ってイチタに迫った。


「斧の刃が床に刺さったから、抜けないとでも思っているのか? 愚かだな!」


「何をするの? 力任せに引っこ抜くっていうの?」


「こうするのだ!」


 セアンに言葉を返すと同時に、イチタは魔力を開放して大斧に魔力を注ぎ、解放した。その衝撃で、刃の周りの床が周囲に飛び散った。その隙にセアンはカトラスを構えて攻撃を仕掛けたが、それより先にイチタが動いていた。


「所詮は小娘。力も経験も俺の方が勝っていたようだな!」


 イチタが勢いよく振るった大斧は再びセアンに命中した。攻撃を受けたセアンは吹き飛び、後ろの壁を突き抜けて海に落ちそうになった。


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