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いざ、ゴイチ王国へ


 ゴイチ王国がズライリー海賊団に襲われたこと。そして、そのズライリー海賊団がピラータ姉妹の故郷であるサビナを襲ったブラッディクローに関係すると知ったカイトたちは、ゴイチ王国へ向かうことに決めた。翌朝、カイトたちはすぐに宿から出て、ヴィーナスハンドへ向かってすぐに出港した。


「ブラッディクローに関係するズライリー海賊団か……どんな奴らだ?」


 カイトは敵になるだろうズライリー海賊団の情報を得るため、テレビのニュースを見た。だが、どのテレビ局もゴイチ王国の惨状と行方不明のロベリー・ゴイチ王女のことを伝えるだけで、ズライリー海賊団の情報を流さなかった。


「うーん……奴らのことが分からないな……」


「確かに。少しでも奴らに関することが流れたらいいけど」


 と、ケアノスがカイトの横に座ってこう言った。ケアノスの存在に気付いたカイトは驚いた声を上げたが、ケアノスはゴメンと詫びの言葉を言って、話を続けた。


「奴らのことが気になるのね」


「ああ。これから戦うかもしれないし、どんな奴らか知りたいと思ったけど……何にも流れないな」


「確かにそう。でも、ニュースでも情報が流れないとしたら、ネットに頼るしかないわね」


「そう思って調べたけど、ネットもダメ。全然奴らのことが分からない」


 話を聞いていたライアが、困った顔をしながら二人の元にやって来た。


「今、パソコンで奴らのことを調べていたけど、全然情報が載ってない」


 ライアの言葉を聞き、情報がないことを知ったカイトはため息を吐いた。


「手塞がりか……これじゃあどうしようもない。どうしよう」


 そう呟いた時だった。いきなりセアンが大声を発したのだ。どうかしたのかと思いながら、カイトは外に出た。


「どうかしたか、セアン? 何かあったのか?」


「ズライリー海賊団の旗印! 奴ら、こんな所でうろついていたよ!」


 セアンの言葉を聞き、どこにズライリー海賊団がいるのかとカイトは思いながら周囲を見回した。すると、上からコスタの声が聞こえた。


「カイトから見て右手の方向。黒い旗が見える?」


「右手の方向で黒い旗か……」


 カイトは望遠鏡で右手の方向を見た。望遠鏡には、黒い旗の船が浮いており、旗には白いペンキで変なドクロのマークが描かれていた。


「いた。典型的な海賊みたいな奴らか?」


「そう。セアン、どうする?」


「もちろん進軍あるのみ! ぶっ潰すよ!」


 その後、セアンは武器を取ってズライリー海賊団の船を睨んだ。カイトは刀を用意し、今から起こる戦いに備えていた。




 数分後、ヴィーナスハンドとズライリー海賊団の距離が百メートルほど近付いた。上にいるコスタは大声で敵の様子を教えた。


「敵は私たちの存在に気付いたみたい。大砲を用意しているよ!」


「戦闘開始だね! 向こうがやる気ならこっちも!」


「さぁ、久しぶりに大砲使うわよ~」


 と、ラージュは大砲と砲弾を用意した。カイトと協力してすぐに発射できる状態にし、大砲をズライリー海賊団に向けた。


「火の用意は?」


「できたわ。カイト、しっかり狙って」


 ラージュはカイトにこう言った。それからすぐ、大砲は大きな音を立てて砲弾を放った。砲弾はズライリー海賊団に向かって飛んで行ったが、敵は大量の砲弾を放ち、カイトとラージュが放った砲弾を落とした。


「まずい。大砲の数は向こうが上だ。これじゃあヴィーナスハンドが爆散するぞ」


「弱音を言っている場合? 無数の玉が来るなら、こっちはバリアを張るわよ!」


 ヴィーナスハンドの中にいるケアノスはこう言うと、バリア発生器に魔力を注ぎ、バリアを発した。このおかげでヴィーナスハンドを守ることができた。しかし、敵は次の大砲の用意をしていた。その上、武器を持った敵の姿も現れた。


「大砲が効かないから、こっちに来るようね。私は敵がこっちに来ないように狙撃するわ」


 コスタの声を聞き、セアンはすぐにコスタに向かってこう言った。


「分かったよ! 向こうがその気ならこっちも行くよ!」


「ああ! 直接叩くのは任せてくれ!」


「さっとやっちゃうよー!」


 セアンの声を聞いたカイトとライアは武器を持ち、ズライリー海賊団が近付くのを待った。迫ってくる敵に対し、コスタが狙撃して撃ち落とす中、三人は敵の隙を見て魔力を開放した。


「無事に戻って来てね!」


「うん!」


 心配するケアノスに戻ると約束した三人は、返事をして空を飛び、ズライリー海賊団の元へ向かった。




 ズライリー海賊団はピラータ姉妹がいることを察し、すでに戦闘準備を終えていた。


「いいか? これからピラータ姉妹がこっちに来る! 奴らは少女だが強敵だ! 必ず仕留めろ!」


「分かりました、ペイリーリーダー!」


 ペイリーは団員の返事を聞き、頷いた。それから後ろを向き、座ってリラックスしている二人に向かってこう言った。


「お前たちも頼りにしているぞ、ラグ、イチタ」


「任せてくださいよ」


「どんな敵でもサクッとやっちゃいますけど……やられる可能性もありますよ」


「イチタ、戦う前からそんなことを言うな! 縁起が悪いだろ!」


 ペイリーは呆れてこう言ったが、その直後に団員の悲鳴が轟いた。


「うわぁ! セアンとライアだ! 噂の変な剣を持った野郎もいる!」


「皆で襲え! 数で襲えば勝てるはずだ!」


「ダメだ! 秒でやられる! ギャアアアアア!」


 団員たちの声を聞き、ペイリーは後ろを振り向いた。目に映る映像は、カイトたちの攻撃で悲鳴を上げながら宙を舞う団員の姿だった。


「ヘヘッ、あなたがこの船の船長? いろいろと聞きたいことがあるから、大人しくやられてよ」


「大人しくやられろ? 小娘がふざけたことを言うなよ」


 ペイリーは青筋を浮かべながら、セアンにこう言った。


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