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宝探しのその後


 洞窟に向かったカイトたちが戻って来た。その一報を聞いたジョルニアの人たちや、洞窟に来ていた冒険家と海賊たちはカイトたちに話を聞こうとカイトたちがいる宿屋に向かっていた。だが、カイトたちの部屋の前には宿屋の主人がフライパンを持って立っていた。


「悪いが、今ピラータ姉妹たちはお休みだ。話を聞きたいなら後にしてくれ!」


「いいじゃないか。俺たちはすぐにリティーヒの宝の話を聞きたいよ」


「宝の話が本当かどうか、それだけでも教えてくれ」


「自分の都合だけを考えるな! ダメなものはダメだ! さぁ、さっさと帰りな!」


 宿屋の主人はそう言って、フライパンを構えた。その時、海賊の一人が宿屋の主人から何かしらを感じ、怯えだした。


「も……猛者のオーラを感じる。俺たちじゃあ勝てない」


「仕方がない。戻ろう」


 そう言って、人々は帰って行った。




 部屋の中では、魔力を使いすぎたカイトはベッドの上で横になっていた。空腹を感じるが、疲れと戦いの傷のせいで体が動かず、食事をする気が起きなかったのだ。


「やばいな……疲れが限界に達するとこうなるのか……」


「少し休んだ方がいいわね。はい。これ飲んで」


 と言って、ラージュはオレンジ色の液体が入ったコップをカイトに渡した。カイトはそれを見て、恐る恐るこう聞いた。


「これってまさか……変な薬か?」


「大丈夫よ。これはライアと協力して作った栄養ドリンクよ。変なものは入っていないわ」


「ライアと一緒か。ならいいか」


 カイトは上半身を起き上がらせ、栄養ドリンクを飲んだ。みかんとパイナップルの味が口の中で広がり、苦しい気分が和らいだ。飲んだ後、少しだけ体のだるさが和らいだ。


「ありがとう。楽になったよ」


「フフッ。それでいいわ」


 ラージュがこう言った後、奥の部屋で荷物の整理をしているセアンが姿を見せた。


「カイト、体の調子はどう?」


「ラージュとライアが作ってくれた栄養ドリンクを飲んだら、大分楽になったよ」


「よかった。ラージュから聞いたよ。結構大きな傷を負ったって」


「ああ……」


 カイトは洞窟の中でのエスレデレートカマキリ、アタンスクローとの戦いのことを思い出した。エスレデレートカマキリとの戦いで大きな傷を負い、アタンスクローは苦戦しながらも倒すことができた。もし、もう少し強ければ傷を負うことはないだろうと思った。そう思っていると、ラージュがカイトの顔を覗き込んだ。


「ねぇ、自分が強ければこんな傷を負わなくていいって思っているでしょ?」


「ああ……その通りだ。すごいな、どうして分かった?」


「勘よ。アウトローな世界で生きているから、勘も冴えなくちゃ生きていけないからね」


 ラージュはこう言って、カイトの鼻を触って話を続けた。


「強くなるのも必要よ。だけど、私がいる限りどんな傷を負っても完全に治療するわ。一気に強くなるのは難しい。戦いを続けていれば勝手に強くなるわ」


「そうか……」


 カイトの言葉を聞き、ラージュは微笑んだ。そしてキスをした後、再びこう言った。


「安心してカイト。私がいる限り、どんな傷も病気も治すって」


「ああ……」


 そう言ってラージュはセアンの元へ向かった。




 翌日、カイトたちは宿から外に出た。それと同時に、カイトたちが外に出るのを待っていた人々が現れた。


「あの洞窟で何かあった?」


「宝は本当にあったか教えてくれ」


「凄いな、あの洞窟からどうやって生きて出られた? 教えてくれよ」


 などと、カイトたちに質問攻めを行った。カイトは戸惑ったが、セアンが前に出てこう言った。


「簡単に教えるね。洞窟で悪いジジイがバカをやらかして洞窟が崩壊。それと同時に存在した宝も海の底! 私たちは魔力を使って大脱出! 答えは以上。もう出港するから散ってー」


 と言って、セアンはカイトたちを連れてヴィーナスハンドへ向かった。ヴィーナスハンドへ到着し、すぐに出港した。カイトはヴィーナスハンドからジョルニアを見て、ため息を吐いた。


「長いようだったけど、かなり濃厚な一日だったな。何週間かあそこにいたような気がする」


 そう言いながら、昨日の洞窟探検のことを思い出していた。崩壊した洞窟を見て、中にいたロガンはもう生きていないだろうと思い、欲が深すぎると身を亡ぼす結果になると察した。そんな中、セアンがカイトに近付いた。


「どうしたの、カイト? ずっとジョルニアを見ているけど」


「いろいろあったなーって思って。とても濃厚な一日だった」


「確かにそうだね。私もサビナの洞窟と同じようにまたガイコツと戦うだなんて思っていなかったよ」


「俺も。今後、似たような場所でガイコツと戦ったりして」


「ありえる。魔力が強い人が死んでも、その死体に魔力が残って動くってことがあるらしいし、ウラミニクシーミのように死体を操る道具があるかも」


「恐ろしいな、それ。もう二度とガイコツとか変な化け物とかと戦いたくないな。気持ち悪いよ」


「私も同じ気持ちだよ。臭いし、気持ち悪いし。もう勘弁」


 と、二人は笑いながら話をしていた。そんな中、ケアノスがセアンを呼んだ。何かあったのかと思ったカイトは、セアンの後について行った。


「セアン、これは何?」


 リビングの上には、大量の宝石が置いてあった。セアンは笑いながら、話をした。


「洞窟が崩壊する時に、ちょっと拝借したの」


「ちょっとって……これだけの量をどこに入れていたのよ!」


「リュックやポケット、それとおっぱいの谷間に入れたの。そう、このダイヤが私の谷間に入っていたの。カイト、まだ胸の谷間の温もりがあるよ」


「そんな物をカイトに触らせるな! もう……一応過去の物とはいえ、少しはジョルニアの人たちに渡した方がよかったかしら……」


「えへへー。メンゴー」


 ケアノスがため息を吐く中、コスタの声が聞こえた。


「皆、賞金首がいるよ」


「了解! ケアノス、話はまた後で!」


 と言って、セアンは武器を持って外に飛び出していった。


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