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暴走する恨み憎しみの末路


 突如立ち上がったリティーヒを見て、ロガンは驚いていた。


「リティーヒ! まだ立ち上がるのか!」


「俺の大事な宝をお前のような裏切り者に渡すか! このままくたばれ!」


「モンスターとなったクソ野郎が! くたばるのはお前だ、ワシがあの世へ逝かせてやる!」


「ふざけたことを言うなよ? あの世へ逝くのはお前だけだ!」


 罵り合いをしながら、リティーヒとロガンは戦いを始めた。この隙にカイトたちは一度集まり、リティーヒとロガンの戦いを見ていた。


「あいつら、勝手に戦い始めたね」


「今の内よ。早く回復しましょう」


「そうだな。今がチャンスだな」


 その後、二人が戦いを行っている隙に、カイトたちは傷の手当てを行った。手当てをする中、カイトは洞窟に異変を感じていた。


「なぁ、なんか音が聞こえないか?」


「うん。何だろう、この音?」


 セアンは周囲を見回す中、天井から砂が落ちているのを察した。


「嫌な予感がする」


「私も同感」


 コスタの声の後、カイトたちは立ち上がった。その時、ロガンが持つウラミニクシーミが激しい光を出すのを目撃した。


「おお! 力が出てくる! すごい力だ……」


「それを渡せ裏切り者! これは、俺の物だ!」


 リティーヒはロガンの首元のウラミニクシーミに手を伸ばし、奪おうとした。それを察したロガンはリティーヒを蹴り、自分から引き離そうとした。


「死人が宝石を望むな! 今、これはワシの物だ!」


「今も昔も俺の物だ! 間違えてもお前にはやるものか!」


 二人が取り合いをしている中、天井から尖った大きな石が落ちてきて、ウラミニクシーミに命中し、地面にめり込んだ。二人は声を出して驚いたが、その瞬間にリティーヒの体は崩れ、ロガンの体の大きさも元に戻った。


「そんな……ウラミニクシーミが……ワシの力が……」


 ロガンは嘆きながらその場に崩れた。モンスターエキスの効果もいつの間にか切れており、ロガンはその反動で体中に激痛を感じていた。それでも、ロガンはリティーヒの宝を見て、笑った。


「力を失っても……あの宝はワシの物だ! あの金も、あの宝剣も、あのルビーも、あのサファイアも、エメラルドもダイアモンドもプラチナもパールも……全部ワシの物じゃ! アーハッハッハ!」


 そう言って宝に向かっていたが、その直後に無数の岩が天井から落下し、ロガンを潰した。




「急げ! 急げ! 早くしないと下敷きになっちゃうよー!」


 ライアは叫びながら走っていた。カイトたちは走って洞窟から出ようとしたが、奥深く来ていたため、地上までの距離はかなり離れていた。


「この洞窟に入って、どのくらい経ったか誰か覚えているか?」


「うーん……二時間ぐらいかな?」


 カイトの質問に対し、コスタがこう答えた。その答えを聞いたラージュは、ため息を吐いた。


「この状況で二時間かけて上に戻るのは……得策じゃないわね」


「じゃあどうするのよ? 早く戻らないと前の道も……」


 ケアノスがこう言っていると、目の前に大きな岩が落下し、道を塞いでしまった。少しの間を置き、セアンが声を上げた。


「あーあ。こりゃー参ったね」


「参ったね。じゃないわよ。どうするのよ! こんな所で死にたくないわよ!」


 ケアノスが慌てだす中、カイトは静かに目を閉じ、魔力を開放した。


「一か八かの賭けだ。俺が水で天井をぶち破る。そうすれば、そこから外に出られるかも」


 カイトの言葉を聞き、セアンは少し考えた。


「そうだね。洞窟なら、天井をぶち破れば外に出られる。無事に出られるかは賭けだけど。やってみる価値はある!」


「そうね。私もその案に乗るわ」


 ケアノスはカイトに近付き、カイトを抱きしめた。


「私の魔力も使って。そうすれば、強い水を出せられるでしょ?」


「ああ。ありがとう、ケアノス!」


 カイトはケアノスに礼を言い、刀に魔力を込めて勢いのある水を放った。放たれた水は天井を次々と突き破り、外へと放出された。


「よし! 後は私たちの出番だね!」


「ええ。早くやりましょう!」


 セアン、コスタ、ライア、ラージュはカイトとセアンの元に集まり、二人を抱きしめて同時に魔力を開放した。


「カイト、ケアノス。ちゃんと掴まっていてね!」


「派手に行くわよ~」


「ああ、頼む!」


「お願い。あとは任すわ」


 カイトとケアノスの言葉を聞き、四人は同時に高くジャンプした。魔力を開放した四人の運動神経はいつもの状態より倍以上に強化されている。そのため、高いジャンプ力を生み出すことができたのだ。


「これで外に出られるね!」


「石が当たって痛いけど……」


「後で治療するから大丈夫よ!」


「このまま外に出るよ!」


 セアンたちが話をする中、洞窟を突き抜けて空高く舞った。空中に飛び上がったのを確認したケアノスは、セアンを見てこう言った。


「魔力使いすぎじゃないの?」


「うん。ちょっと張り切りすぎた」


「はぁ……まぁ、外に出られることができたし、いいとするわ」


「いいのか? このまま下に落ちるけど」


 カイトがこう聞くと、ケアノスは下を指差してこう答えた。


「下は海よ。まだ落下した時の衝撃に耐えられるほどの魔力はあるし、大丈夫」


 ケアノスの言葉を聞いたカイトは、顔を青く染めてこう言った。


「俺……さっきの水を出す時に全ての魔力を使ったけど……」


「じゃあ私が抱きしめるから安心して!」


 と言って、セアンがカイトを抱きしめた。それを見たコスタとライアはずるいと言って、カイトを抱きしめた。ラージュはこの光景を見て、小さく呟いた。


「この状況でも気楽ねぇ」


 そう言った後、カイトたちは下の海に向かって落ちて行った。


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