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暴走する恨みと憎しみ


 ウラミニクシーミの力を知っているセアンは、横にいるカイトに話しかけた。


「カイト! 今の奴に攻撃しても無駄だと思う!」


「そうなのか?」


「奴が手にしたのはウラミニクシーミっていう宝石で、恨みと憎しみが強ければ強いほど、持っている人が強くなるとんでもない宝石なの!」


「創造の力と似たような物か? この世界には物騒な宝石がいくつもあるのか?」


「かもしれないね」


「最期のお喋りは終わりか? さっさとくたばれ!」


 ロガンは叫びながら右の拳をカイトとセアンに向けて放った。二人は攻撃を回避したが、拳を放った時の風圧で二人は吹き飛んだ。


「おわっ! 強い風!」


「パンチ一発で強風発生か。リティーヒよりも厄介かも」


 セアンは地面に着地し、吹き飛んで宙にいるカイトに攻撃を仕掛けようとするロガンの邪魔をするため、ハンドガンを発砲した。発砲音を聞いたロガンは振り返り、飛んでくる弾丸を受けた。


「やっぱり効かないか」


 ロガンの腹に命中して、逆に潰れて地面に落ちる弾丸を見て、セアンは呟いた。


「フッフッフ。船長もいい物を見つけてくれた。おかげで素晴らしい力を手にすることができた」


 体中にみなぎる力を感じ、ロガンは笑い声を上げた。その時、ナイフを持ったライアがロガンの頭上に飛び、うなじ部分に突き刺した。が、皮膚は固くなっていて、ナイフの刃を通さなかった。


「うっそ……刺さらない」


「ほう。ナイフで刺そうとしたのか。だが……無駄だったようだな!」


 ロガンはライアの足を掴み、地面に叩きつけた。ライアは小さな悲鳴を上げ、その場で倒れた。


「ライア!」


 ケアノスはレイピアを構えたが、その前にロガンは目の前に移動していた。


「ほう。走る速度も上がったか。運動神経も上がったようだ。素晴らしい」


「嘘でしょ……」


 ケアノスが呆然とする中、ラージュの大剣がロガンに向かって振り下ろされた。


「よくもライアをやったわね、このクソジジイ!」


「お嬢さん、口使いが汚いねぇ。そんなガキはお仕置きだ!」


 ロガンはラージュの大剣を蹴った。その反動で、ラージュの体を上に反ってしまった。その隙にロガンはラージュに接近し、右手の手刀でラージュの腹を攻撃した。ロガンの指は、ラージュの腹にめり込んでいて、そこから血が流れていた。


「ぐ……こんなに強く……なるなんて……」


「甘いのう。そんな動きが遅い大剣の攻撃が、今のワシに届くと思うな!」


 ロガンはラージュの腹から指を抜き、ふらつくラージュに向けて強い蹴りを放った。その光景を見ていたカイトはロガンに対して強い怒りを覚えた。




 ライアとラージュを倒したロガンは、次の目的を近くにいるケアノスに決めていた。ケアノスは魔力をレイピアの刃に溜めていたが、そんな攻撃は今の自分に通用しないとロガンは思っていた。ロガンはセアンを睨み、セアンに指を指してこう言った。


「次はお前だ。楽に殺してやる」


 そう言った直後、背後にカイトが現れ、ロガンの背中に一閃を与えた。


「ほう。なかなか切れ味のいい剣……か。珍しい形の剣だな」


「うるさい! お前は俺が斬り倒す!」


 カイトは刀を構え、ロガンを睨んだ。怒りが爆発して自分でも抑えることができないとカイトは思った。こうなったら徹底的にこのクソ野郎を斬りまくってやると考え、カイトは何度も刀を振るった。しかし。


「ん~。全然効かないな。お前の力はそんなものだ」


 どれだけ攻撃を当てても、ロガンには通用しなかった。それでもカイトは刀を振るったが、ロガンは欠伸をしながらカイトの頭を掴んだ。


「ガッ! こっ……この……」


「目障りじゃ、クソガキ。とっとと死ね!」


 そう言って、ロガンはカイトを地面に叩きつけた。


「フン、雑魚が。大人しく死んでいれば、痛い目に合わなくてよかったのに」


 とどめの一撃をカイトに放とうとしたロガンだったが、突如カイトから魔力を感じた。だが、ロガンはイタチの最後っ屁だろうと思い、気にせず攻撃を仕掛けた。


「クソジジイ。お前の攻撃で死んでたまるかよ」


 カイトは左手の人差し指をロガンに向け、そこから針のような細い氷の弾丸を放った。氷の弾丸はロガンの目に命中した。


「ぐわあああああああ! 目が! 目がァァァァァァ!」


「筋肉質になったけど、目玉までは強くならなかったみたいだな」


 カイトは立ち上がり、セアンとコスタがライアとラージュを助けたことを察し、こう言った。


「今のうちに、皆でこいつをぶっ倒そうぜ」


「もちろん!」


 ライアは魔力を開放し、二本のナイフでロガンの腕を攻撃した。


「グッ! また立ち上がったか!」


 ライアを蹴ろうとしたロガンだったが、片足を上げた瞬間にコスタが放った弾丸がロガンに命中した。


「ムオッ!」


「一本の足だけじゃ、そんな大きな体を支えることはできないね」


 傷は受けなかったが、銃弾を受けた反動でロガンは後ろに倒れた。その時にラージュは大剣を上に振り上げ、近付いていた。


「さっきの一撃、痛かったわよ。だから……倍にして返すわ!」


 そう言って、ラージュは勢いを付けて大剣をロガンに叩きつけた。この攻撃でロガンの周囲の地面に亀裂が走った。


「ぐ……ぐう……」


 ウラミニクシーミがあるとはいえ、多数が相手では分が悪い。そう思ったロガンは身に着けたウラミニクシーミを手にし、更に強い恨みと憎しみを込めた。


「力をくれ! あのガキ共を皆殺しにできるくらいの力をくれ! ワシの……ワシの宝石のために!」


「バカ野郎! あれは俺の宝石だ! 裏切り者の貴様に渡した覚えはないぞ!」


 と、ボロボロになったリティーヒが現れ、ロガンに向かって走っていた。


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