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ロガンの奥の手


 セアンたちはロガンの攻撃で大きな傷を受け、全滅の危機に陥っていた。だが、カイトとラージュが落下しながら現れ、戦闘中だが合流できた。チームプレイでロガンを追い詰めたが、ロガンに一撃を与えたラージュは浮かない顔をしていた。


「どうかしたの? あのジジイを倒したのに」


 ライアが近付いてラージュにこう聞いたが、すぐにその理由が分かった。まだロガンの魔力は強かったからだ。


「強めにぶっ飛ばしたけど、まだやるようね」


「しつこいジジイだね」


「リティーヒを裏切って全滅に追い込むほどの力があるから、その位の実力はあると思うよ」


 セアンがこう言うと、カイトとラージュは目を丸くして驚いた。


「俺たちが戦っていたあのじーさん、リティーヒの部下だったのか?」


「うん。あいつがリティーヒたちを裏切って、宝を横取りしようとしたけど失敗して、強くなって戻って来たって」


 セアンの話を聞き、カイトとラージュは敵であるロガンを見た。ロガンは魔力を開放し、壁を蹴ってカイトたちの前に着地した。


「ふぅ。若造のくせにやりおる。今のはまずいと思ったぞ」


「歳をとったからって強いと思うなじーさん。一人の年寄りが俺たちに勝てるわけがない」


 カイトがこう言ったが、ロガンは緑色の液体が入った小瓶を取り出し、一気に飲み干した。ロガンは息を吐きながら小瓶を地面に投げ捨てた。小瓶が割れる音と共にロガンの魔力が急激に上がった。


「うわっ! 魔力が急に! おい、じーさん! 一体何を飲んだ!」


「教えてやろう。ワシが飲んだのはモンスターエキスと言う裏の世界で売られている薬物。飲むと急激に体と魔力が強化される薬じゃ!」


 ロガンがこう言うと、ロガンの体は膨れ上がり、着ていた服が破れた。


「ほう。噂以上の効力じゃ。さて、戦いを続けようかの。まぁ、すぐに終わると思うが!」


 と言って、ロガンはカイトに向かって走り出し、右手の手刀でカイトの腹に攻撃を仕掛けた。攻撃の勢いとロガンの魔力を探知したカイトはこの攻撃を受けたら致命傷になると考え、反射的に体を反らした。攻撃をかわすことができたが、手刀が服をかすり、服の一部が刃物で斬られたかのように切れた。


「手刀で服が……」


「お前さんから受けた一撃、痛かったぞ。倍にして返してやるぞ」


 カイトの耳元でロガンはそう言い、右足を軸にして体全体に力を込め、左足をムチのように振るった。風を切る音と共に左足は動き、カイトの脇腹に命中した。


「ガバァッ!」


 攻撃を受けたカイトは悲鳴を上げながら吹き飛び、壁にめり込んだ。心配したコスタは壁にめり込んだカイトを調べ、左足の攻撃の傷を見た。


「酷い……骨が滅茶苦茶に折れている」


「ふっふっふ。大人しくここから立ち去れば、攻撃はせぬ。もし、ワシの言葉を聞く気がないのなら、あのクソガキと同じ目にあってもらうぞ」


 ロガンは勝ち誇った顔でセアンたちにこう言った。セアンたちは武器を構え、ロガンを睨んだ。


「立ち去れ? バカじゃないの? リティーヒの宝は私たちが貰うし、あんたもぶっ倒す!」


「言うことを聞かぬか。なら……死んでもらおう!」


 ロガンがそう言うと、迫って来るセアンたちを睨んだ。




 壁にめり込んだカイトはゆっくりと動きながら壁から抜け、その場に倒れた。すぐに立ち上がってセアンたちと共にロガンと戦おうとしたが、蹴られた個所は激しく痛み、まるで熱でも出ているかのようだった。俺はもう戦えないのか。そう思ったカイトだったが、大剣を持ったラージュがセアンと共にカイトの元に着地した。


「カイト、大丈夫……じゃあなさそうね」


「ああ……返事をするのが辛い」


「ちょっと待ってね」


 と言って、セアンはカイトの服を脱がした。


「治療……してくれるのか?」


「ええ。でも今回はちょっと変わった方法でね」


「変わった方法?」


 カイトがこう聞くと、セアンとラージュは両手に光を発し、カイトの傷に触れた。その瞬間、二人の手の光は大きくなった。


「これは……」


「ラージュが作った治療技術の一つだよ。二人の魔力を一つに合わせ、治癒の速度も効果も倍以上に上げる技なの」


「でも、弱点としては戦う人数が減っちゃうの。だから、今はコスタたちが踏ん張っているわ」


 ラージュがこう言うと、コスタたちがロガンを相手に戦っている光景を見せた。


「早く治癒して、早く戦いに戻りましょう」


「ああ」


 カイトはそう返事をし、治癒のじゃまにならないように大人しくした。




 モンスターエキスを飲んだロガンはさっきより倍以上の強さだとケアノスは思った。物思いにふける中、ロガンがケアノスにこう言った。


「おい、一緒に行動していたじゃないか。手加減してくれよ」


 この言葉を聞き、ケアノスはため息を吐いてこう言った。


「嫌よ。あなたみたいな腐れ外道に情けはかけないわ。コスタ、ライア、さっさとこの外道を倒すわよ」


「了解。ケアノス、ライア、下がって」


 コスタはこう言いながらスナイパーライフルを放った。ロガンはこんなものが効くわけがないと思ったが、コスタが撃った弾丸はロガンに命中した瞬間に破裂し、中から黄色い粉が舞った。


「うぷっ! 変な粉を!」


 口や鼻に入った粉を外に出すため、ロガンは嗚咽し、鼻を鳴らした。しばらくして気分が戻ったロガンは、コスタを睨んだ。


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