表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/430

絶体絶命の中


 倒れているケアノスは周囲を見回した。ロガンが魔力を開放した際の衝撃で、吹き飛んで気を失っているセアンとライアはまだ目を覚ましておらず、ロガンに蹴り飛ばされたコスタも気を失った。


 この状況はかなりまずい。


 ケアノスはそう思い、この状況をどうにか覆そうと考えた。しかし、ケアノスがまだ倒れていないことを察したロガンが剣を構え、ケアノスに近付いた。


「どうにもならんぞ。たかが小娘がワシに敵うわけがない」


「ぐ……」


「大丈夫じゃ。お前を殺したら、他の三人も同様に殺してやる」


 と、ロガンは笑いながらこう言った。その時だった。上から声が聞こえてきたのだ。


「何じゃ?」


「この声……」


 聞き覚えのある声を聞き、ケアノスは上を見上げた。しばらくすると、リティーヒの財宝の上に何かが落下した。


「いてぇ……硬い物の上に落ちたな俺ら。イデッ! 尻に刺さった」


「ええ。魔力を使って防御力も上げても、少し痛いわ。何の上に落ちたのかしら?」


「カイト! ラージュ!」


 ケアノスの声を聞き、カイトとラージュはすぐ起き上がった。


「ケアノス! よかった、無事みたいね!」


「他の皆もいるけど……倒れている」


 カイトはセアンたちが倒れている光景、そしてロガンがケアノスを襲おうとしている光景を見て、刀を握ってロガンに斬りかかった。


「お前か、やったのは」


「そうじゃ。ならどうする?」


「お前を斬る!」


 カイトは素早く刀を振り、ロガンに攻撃を仕掛けた。ロガンは剣を使ってカイトの攻撃を防いでいたが、カイトの刀はロガンの剣の刃を斬り落とした。


「ぬおっ!」


「今だ!」


 カイトはロガンを蹴り、後ろに転倒させた。その隙にカイトは水の魔力を刀に発し、水を使って大きな刃を作り出した。


「これで倒してやる!」


「はん、小僧が! こんな一撃でワシを倒せると思うなよ!」


 倒れながらも、ロガンは魔力を開放して大きなバリアを発した。しばらくして、カイトの水の刃とロガンのバリアがぶつかった。ぶつかった瞬間、カイトの水の刃は破裂したが、ロガンのバリアも消滅していた。


「相殺したか」


「残念じゃったのう」


 ロガンはバリアが消えたと同時に立ち上がり、折れた剣をカイトに向けて投げた。カイトは飛んで来た折れた剣を刀で地面に叩き落としたが、その隙にロガンは魔力で作った剣でカイトに襲い掛かった。


「死ねぇ! クソガキィ!」


「そうはさせないよ!」


 そう叫びながらセアンが現れ、ロガンを蹴り飛ばした。元気を取り戻したセアンを見て、カイトは安堵の息を吐いた。


「よかった。気が付いたのか」


「うん。ラージュのおかげ。今、ラージュが治療してくれたの」


 と言って、セアンはカイトに回りを見るように促した。気を失って倒れていたコスタとライアが立ち上がっていた。


「これで形勢逆転だね」


 セアンはにやりと笑ってこう言った。




 一対四の状態から、一対六の状態になった。だが、ロガンは過去の戦いを思い出し、笑みを浮かべた。


「数が増えたからワシに勝てると思っていたのか?」


 ロガンの言葉を聞き、セアンとカイトは目を丸くして驚いた。


「勝てるでしょ。私たち、強いよ」


「それは知っている。じゃが、己の腕を過信し、うぬぼれている若造などワシの相手じゃない。かかって来い。経験の差を教えてやるぞ」


 そう言って、ロガンはカイトたちを挑発した。カイトとセアンはロガンの姿を見て、武器を持って近付いた。


「自分の腕を過信しているのは、あんたじゃない?」


「このままお前を倒す!」


 二人はロガンに攻撃を仕掛けたが、ロガンは魔力の剣を作って二人の攻撃をさばき、二人を蹴り飛ばした。


「セアン! カイト!」


「こうなったらやってやるわ!」


 ケアノスとライアが武器を持ってロガンに襲い掛かったが、二人の攻撃もロガンはさばき、二人を蹴り飛ばした。


「未熟な若造が」


 蹴り飛ばした四人を見て、ロガンは不敵に笑った。だが、その時にコスタが撃った弾丸がロガンを襲った。


「豆鉄砲は効かぬと言ったぞ」


「それはどうかしら?」


 そう言いながら、ラージュが大剣を構えてロガンに斬りかかった。ロガンは大剣をかわし、飛び上がってラージュを殴った。


「そんな大きな剣でワシを斬れると思っているのか?」


「女の子の顔を殴るなんて、酷いジジイね」


「女のくせに、汚い言葉を放つ。そんな女は死んでしまえばいい」


 倒れたラージュを見て、ロガンは笑った。だが、セアンの魔力を感じ、何かをするのだとロガンは思い、セアンの方を振り返った。そこには、カトラスを構えたセアンが立っていた。その前には、ロガンがかわしたコスタの弾丸があった。


「チームプレイ! 大勢で戦うからできる技!」


 と言って、セアンはコスタの弾丸をカトラスで弾いた。弾かれた弾丸はロガンに向かって飛んで行き、ロガンの脇腹を撃ち抜いた。


「ガハァッ!」


「うし! まず一発!」


 弾丸を受けて怯んだロガンを見て、ライアは喜んだ。カイトは刀を持ち、居合の技でロガンを攻撃し、ケアノスのレイピアがロガンを突いた。


「グウッ!」


「次で終わらせるわよ。ライア!」


「オッケー!」


 ライアはナイフでロガンを攻撃して動きを止め、ラージュが大剣による大きな一撃でロガンを壁に向けて飛ばした。


「よっしゃ! これで俺たちの勝ちだな!」


 壁にめり込んだロガンを見て、カイトは喜んだ。だが、ラージュは浮かない顔をしていた。


 この物語が面白いと思った方は、ブックマーク、評価、いいねをお願いします。皆様の評価が自分の励みとなります。よろしくお願いします。感想、質問、レビューもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ