追い込まれるリティーヒ
アタンスクローから解放されたカイトとラージュは、奈落の底に落ちていた。そんな中で、二人は下の方で強い魔力を感じた。
「あら、魔力が強くなったわね」
「何かあったのかな?」
「セアンが暴れているみたい。早く合流しないと」
「どうやって?」
「こうするのよ」
ラージュはカイトに近付いて抱きしめ、魔力を開放した。ラージュの胸元にいるカイトは息苦しさと柔らかさを感じ、声を出そうとしたが、その前にラージュが話しかけた。
「魔力を上手く使って下に行くわよ。急がないと!」
と言って、ラージュはカイトと共に、急いで下に向かって行った。
「てあっ!」
セアンは回し蹴りを放しながらリティーヒの頭を攻撃した。蹴りが頭に命中したリティーヒは悲鳴を上げながら後ろに下がった。その隙にセアンはハンドガンでウラミニクシーミに狙いを定めて発砲した。
「ウグッ! またウラミニクシーミを狙ったか!」
発砲音を聞いたリティーヒは急いで腕で防御をした。弾丸は腕に弾かれたが、ここでセアンはリティーヒの腕に穴が開いているのを察した。
「あの穴は……」
その時、セアンはコスタの魔力を感じた。援護が来ると察したセアンは移動し、コスタが狙撃しやすいようにした。その後、コスタのスナイパーライフルの発砲音が聞こえ、ウラミニクシーミに向かって飛んで行った。
「だーかーらー、同じ攻撃が二度も通じるか!」
またコスタの狙撃が来るとリティーヒが察し、腕で防御した。この時、リティーヒは貫通を防ぐために腕に魔力を発していた。結果、コスタの弾丸は腕にめり込んだ。
「貫通しない……魔力を込めたのに」
「あいつが言ったとおり、同じ攻撃は二度通じないみたいね。コスタ、私も行くわ」
と言って、ケアノスがレイピアを持って前に出た。リティーヒはケアノスを見て、敵が増えたと思った。
「いくら敵が増えようが、俺には敵わない! 俺の憎しみと恨みを受けるがいい!」
リティーヒはウラミニクシーミを光らせ、周囲に壁を生やしていった。それを見たライアはケアノスに向かって叫んだ。
「気を付けて! あの壁には毒の棘があるよ!」
「分かったわ。情報ありがとう」
ケアノスは足元に魔力を開放し、風を使って飛び始めた。そのおかげで、ケアノスは壁に触れずに移動することができた。それを見たリティーヒは驚く声を上げた。
「嘘だろ! そんな使い方ありかよ! ずるいぞ!」
「戦いにルールはないわ。海賊をやっている人なら、その位理解できると思うけど」
リティーヒに接近したケアノスはそう言うと、ウラミニクシーミに向けてレイピアを突き刺した。しかし、ウラミニクシーミは頑丈でレイピアの刃では貫くことができなかった。
「う……硬い……」
「ふ……フハハハハ! こういう時のために魔力を開放して、ウラミニクシーミを守っているのだ! そんなちっぽけなレイピアの刃で壊れるわけがないだろう!」
そう言って、リティーヒはケアノスに攻撃を仕掛けた。巨大な腕がケアノスに向かって飛んできたが、セアンがカトラスを振り下ろして巨大な腕を弾き返した。
「ありがとうセアン」
「いいってことよ。でも、今のままじゃあウラミニクシーミを壊せないね。どうしよう」
「さっきの攻撃は魔力を使ってなかったの。勢いで攻撃しても無駄ね、攻撃力を高めればあの宝石を壊せるけど……」
「ええーい! 話をする暇は与えぬぞ!」
リティーヒの声を聞き、二人は高くジャンプしてリティーヒの腕の攻撃を回避した。その後、コスタとライアの元に着地した二人は話を始めた。
「結構面倒な敵だね。皆で力を合わせないと勝てないよ」
「どうする? どうやってウラミニクシーミを壊す?」
ライアがこう言うと、ケアノスが何かに気付いてこう言った。
「壊すじゃなくて、ウラミニクシーミを奴から外せばどうにかなるかも」
「確かに。奴が身に着けているからウラミニクシーミが力を発する。それなら……」
「やってみる価値はあるね。うし! 今すぐやろう!」
セアンはカトラスを構え、リティーヒを見た。何かするだろうと思ったリティーヒは魔力を開放してウラミニクシーミの力を使い、叫んだ。
「何をするか分からないが、これ以上厄介なことはさせない!」
その後、リティーヒは地面を殴った。リティーヒは何かした。今のうちに攻撃しなければと思ったセアンたちは攻撃を仕掛けたが、前にいるセアンとライアの後頭部に何かが当たった。
「いったー……」
「今の何?」
「二人とも……今、骨が通ったのよ」
ケアノスの話を聞き、セアンとライアは前を見た。そこには今まで倒したガイコツが宙に浮かび、リティーヒの元に集まっていた。
「船長!」
「俺たちの力を使ってください!」
「一緒にあのガキを倒しましょう!」
と、リティーヒの部下が次々とこう言った。リティーヒは頷いた後、部下に向かって叫んだ。
「さぁ共に行くぞ! 俺たちをバカにし、コケにしたあのガキ共を殺すぞ!」
リティーヒの言葉の後、部下たちの声が響いた。その後、リティーヒと部下の骨が合体し、巨大なガイコツとなった。それを見たセアンは、驚いて口を開けていた。
「嘘……合体しちゃった」
「フハハハハハハハハハ! これでお前らはもう俺に勝てない! もう一度言うが、ここをお前たちの墓場にしてくれるわ!」
と言って、合体したリティーヒはセアンたちに襲い掛かった。
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