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恨みと憎しみは更に増す


 コスタが放ったライフル弾はリティーヒの首にあるウラミニクシーミに向かって飛んで行った。コスタの狙いがウラミニクシーミであることを察したリティーヒは急いで体を動かし、ウラミニクシーミを弾丸の弾道から反らした。


「危なかった……危機一髪だ」


 安心した声を出すリティーヒを見て、コスタはリティーヒの倒し方を把握した。接近戦を挑んでいるライアもこの光景を見ており、リティーヒを倒す唯一の方法がウラミニクシーミを破壊することだと把握した。


「弱点見つけた!」


「あ、ヤベ!」


 ライアはリティーヒに接近し、ウラミニクシーミに向かってナイフを振るった。リティーヒは腕でウラミニクシーミをライアの攻撃から守りながら、ライアを睨んでいた。


「この小娘が! ウラミニクシーミを破壊させてたまるか!」


 攻撃の隙を狙い、リティーヒは巨大な腕を振るってライアに攻撃を仕掛けた。ライアは攻撃が来ることを予測して後ろに下がったが、続けてコスタのライフル弾が再びウラミニクシーミに向かって放たれた。


「またかよ! 面倒だな!」


 そう言いながら、リティーヒは巨大な腕でウラミニクシーミを守った。だが、今回のコスタの弾丸は貫通力が増していて、巨大なリティーヒの腕を貫き、ウラミニクシーミの所まで飛んで行った。


「なっ! しまった!」


 この時、リティーヒは敗北を覚悟した。ライアは勝ったと思っていたが、巨大な腕を貫通した結果、威力が激減したコスタのライフル弾は、ウラミニクシーミに命中する直前に勢いをなくし、その場に落ちた。


「ダメか……ならもう一発!」


 コスタは急いでリロードを始めたが、リティーヒはコスタを睨みながら魔力を使った。


「これ以上貴様ら小娘にやられてたまるか! 今すぐ殺してやる、覚悟しろ!」


 リティーヒがそう言うと、ウラミニクシーミは紫色の光を放った。まずいと思ったライアはコスタの元へ戻り、リロード中のコスタが襲われても守れるように構えた。


「何が起こるの?」


「洞窟の壁とか何か変わると思う。思い出して、ウラミニクシーミがこの洞窟を動かしていたことを」


 二人が話をしていると、突如目の前に壁が現れた。リティーヒとの距離が開くのはまずいと思った二人は移動を始めようとしたのだが、その行く手を阻むように壁が次々と現れた。


「フハハハハハ! これで俺には近付けまい! ここがお前らの墓場だ!」


 と、遠くからリティーヒの笑い声が聞こえた。イラッとしたライアは壁を蹴ろうとしたが、その直前に何かを察したコスタがライアを引っ張った。


「どうしたのよ? 急に引っ張らないでよ」


「壁をよく見て」


 コスタに言われ、ライアは壁を見た。壁には小さくて鋭い棘がいくつもあり、毒々しい光を放っていた。


「うわ……これに刺さっていたらと考えると……うぇぇ……」


「毒があるかもね。ちょっと待って、嫌な予感がする」


 コスタがこう言った直後、壁は轟音を鳴らしながら迫ってきた。


「うわああああ! 壁が迫って来る!」


「やっぱり! あのガイコツ、この壁を使って私たちを殺すつもりだ!」


 コスタは周囲を見て、上からも毒々しい棘がある天井が迫っているのを確認した。ライアは頭を抱え、どうしようか考えた。


「魔力を使ってどうにかなるかな?」


「フハハハハ! 俺が作った死への箱には魔力は効かぬぞ! 俺に挑んだこと、あの世で後悔するがいい!」


 と、リティーヒの声が聞こえた。もうこのまま死ぬしかないのかと二人が思った時、リティーヒの叫び声が響いた。そして、死への箱が解除された。驚いた二人の目の先には、リティーヒに向かってカトラスを振り下ろしたセアンの姿があった。セアンは二人の姿を見て、すぐに振り返って口を開いた。


「ごめん、遅くなった! 大丈夫みたいで安心したよ!」


「セアン! 来たのね」


「やばかったよ。でも助かった!」


 二人がこう言うと、ケアノスが近付いて様子を見た。


「二人とも、大丈夫?」


「何とか」


「うん。それよりも、セアンとケアノスが生きていてよかったよ。あとはカイトとラージュだね」


「ええ。それより、あの化け物は何? サンライト島の洞窟のガイコツみたいだけど……あいつと比べて強く感じるわ」


 ケアノスがこう聞くと、コスタはリティーヒのことを話した。話を聞いたケアノスは、セアンに向かって叫んだ。


「セアン! あいつは本体に攻撃しても意味がない! 首にあるウラミニクシーミを狙って!」


「あの宝石だね、了解!」


 セアンは返事をし、カトラスとハンドガンを持ってリティーヒに挑んだ。




 セアンとケアノスがコスタとライアに合流する中、ロガンは身を隠していた。


 まずい。死んだはずの船長が骨だけで暴れているなんて。


 と、心の中で思っていた。ロガンは脱出前、リティーヒのウラミニクシーミを見逃していた。あれを盗んでいれば楽にリティーヒの財宝を手に入れることができるのにと思っていた。しかし、半世紀前の失敗を悔やんでいても仕方がない。そう考えを改め、ロガンはどうやってこの状況を打破し、財宝を手にするか考えた。その時、リティーヒの叫び声が聞こえた。気になったロガンは姿居場所がばれないように見ると、魔力を開放したセアンがリティーヒ相手に善戦している姿が見えた。この姿を見て、ロガンはセアンとケアノスと共に行動し、彼女らの力を把握していた。もし、彼女らと戦う時になったと思い、ロガンはポケットの中にある物を触り、にやりと笑っていた。


 戦うことになっても、こいつがあれば誰に負けないさ。


 と、心の中で思った。


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