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嵐を潜り抜けろ


 カイトはバリア発生器に魔力を注ぎ、強力なバリアを発生して嵐から船、ヴィーナスハンドを守っていた。だが数時間後、カイトが張ったバリアは徐々に力を失って行った。


「バリアが弱くなっているわ」


「カイト、後は私がやるから!」


「あ……ああ……頼む」


 セアンがカイトの代わりになり、バリアを発生させた。疲れ果てたカイトがライアに無理矢理ホットケーキを口に押し込まれる中、ケアノスは不審そうに外を見ていた。その顔を見て、何か変なことがあるのだと思ったラージュは、近付いて声をかけた。


「どうかしたの? ケアノス」


「この嵐、変なのよね。何時間経っても弱まる気配はないし、そもそも嵐が発生するなら何かしらの前兆がある」


「この嵐が誰かによって起こされたって言いたそうね」


「そう。この嵐は人為的に作られたのよ」


 話を聞いていたコスタは、外を見てこう言った。


「でも、誰がこんなことを? こんなことをして、何の得があるの?」


「少し心当たりがあるわ」


 と言って、ケアノスは本棚にある海のモンスターの図鑑を手に取り、ページをめくり始めた。何とかホットケーキを飲み込んだカイトもケアノスに近付き、図鑑を見た。


「えーっと……これだ。スケベイカ。このイカは匂いにとても敏感で、威勢のフェロモンさえ嗅ぎ分けることができる」


「凄いイカがいるな。日本じゃありえないぞ」


「モンスターがいない世界なんて、私たちからしたら考えられないわ」


 カイトとコスタが話をしている中、ケアノスは説明を続けた。


「皆よく聞いて、こいつはいろんな大きさのものがいるけど、大型の奴は魔力を持っていて、嵐を起こす力がある奴も存在するって書いてあるわ」


「じゃ、今この変な嵐を起こしたのは……」


「そう。スケベイカね」


 ケアノスは本をしまった後、外を見た。話を聞いていたセアンは、魔力を注ぎながらこう言った。


「これからどうするの? イカ退治にでも行くの?」


「とにかくこの嵐を抜けてから。スケベイカは嵐で弱った時を狙って現れるのよ。今は耐えるしかない」


 ケアノスの話を聞いた後、ライアはケアノスにこう聞いた。


「こいつって食べられるの?」


「ええ。一応。毒は持ってないし、あいつの足を使った料理もあるぐらいよ」


「よっしゃ! 今日はイカ料理だー!」


 と、ライアは張り切ってそう言った。ケアノスはその言葉を聞き、呑気ねと呟いてため息を吐いた。




 それから数時間後、スケベイカが起こした嵐は静まり返った。


「お……終わった……」


 セアンは疲れ果てたように何度も呼吸をした後、震える手でライアが作ったホットケーキを口に運んだ。その様子を見て、コスタは呟いた。


「セアンはダウンだね」


「よし、俺が行ってくる」


 と、カイトは刀を持って外に出ようとしたが、ラージュが引き留めた。


「待ちなさい。カイトもかなり魔力を使ったでしょ。ここで休んでなさい」


「ラージュの言う通りです。ここは私とライアが行きます」


 ラージュはレイピアを持ってそう言った。その後、ライアと共に外に出て、周りを見た。


「ライア、何か見える?」


「何も見えないけど、波の音に混じって何かが動く音が聞こえるよ」


「分かったわ。気を付けて、下から来る可能性があるわ」


「うん」


 二人が話をした直後、ヴィーナスハンドの周りに巨大なイカの触手が現れた。中にいるカイトとセアンは突如現れた足を見て驚いたが、ラージュはあら大きいと一言呟いただけだった。


「奴が姿を現したよ!」


「行くわよ、ライア!」


 ケアノスは魔力を発し、風の刃でスケベイカの足を切断しようと試みた。攻撃は命中したが、風の刃は途中で消滅してしまった。


「あまりにも大きいから途中で消えたね」


「本気で魔力を使わないとダメみたいね」


 話をしていると、スケベイカの触手が二人に向かって振り下ろされた。


「話をしている暇はないみたいだ」


「そうね。とにかく足を叩いて、奴を海から出しましょう!」


 その後、二人は協力してスケベイカの足に攻撃を仕掛けた。攻撃のコツを掴んだ二人は苦も無くスケベイカの足を切断していった。


「うっはー! この量だと二ヶ月は食料に困らないよー!」


「それまでイカ料理に飽きそうだけど」


 ケアノスがそう言った直後、突如別の触手が現れ、ライアを掴んでしまった。


「うわああああああああああああああああああ!」


「ライア! しまった、油断した!」


 ケアノスはライアを掴んだ足を追い始めた。すると、海面から巨大なスケベイカの顔が現れた。


「出たわね、本体!」


 ケアノスは魔力を開放して攻撃を仕掛けようとしたが、スケベイカはライアを盾にするかのように足を移動した。


「こいつ、私を盾にするつもりか!」


「知能はいいみたい……」


 ケアノスが苦い顔をすると、別の足がまたライアに絡み始めた。


「何この足? ちょっと、なんかエッチなことされそうだけど!」


「エッチなこと?」


 この瞬間、ケアノスは先ほど見た図鑑の内容を思い出し、ライアにこう告げた。


「ごめんライア……あのイカ、名前通りかなりスケベなイカなの。捕まえた相手が異性だと、捕食する前にエッチなことをするの……」


「ええええええええええええええええええええええええええ! それじゃあ私、色んな意味でピンチ! 助けて~!」


 話を聞いたライアは、大声で泣き叫んだ。


 ケアノスはメガネっ子です。ピラータ姉妹で一人だけメガネにしたのは個性を出すためです。だけど、文章で伝わるかなー?


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