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怨念が渦巻く洞窟の中で


 ロガンは崖の道の上で、わざと暴れるふりをして剣を振り回した。攻撃をかわす際、セアンとケアノスは足を滑らせて落ちてしまった。


 落下する中、セアンは魔力を開放して風で作った鎖を放った。鎖の先端が道に絡まったのを確認し、急いでケアノスを抱き寄せた。


「一気に上がるから、ちゃんと掴まっていてね!」


「ゆっくりお願いね。足場が細いから、急に力を入れると崩れるわよ」


「大丈夫。理解しているから。それじゃ、行くよ」


 その後、セアンは鎖を操って上昇した。ロガンは道に戻って来た二人を見て、驚きのあまり目を開いて驚いていた。


「い……いやー、驚いた。まさか風を鎖にしてそれで……」


「いざという時に覚えておいた技なの。こういう時のこともあるって考えてね」


 セアンは得意げにこう言ったが、ケアノスはかなり緊張した様子で、ロガンに近付いてこう言った。


「何かあったら、すぐに話をしてください」


「あ……ああ」


 二人が落ちた時の状況を考えていたのを知ったロガンは、次の手を考えた。だが、次の策を思い浮かぶ暇もなく、歩き続くことしかできなかった。


 しばらく歩いて進むと、大きな広間に出た。三人はこの広間に到着したと同時に、急に寒さを感じた。


「ここ、寒いね」


「寒いよりも……何かどす黒い物を感じるわ」


 白い息を吐きだし、ケアノスは体を震わせてこう言った。ロガンは周囲を見て、この部屋の広間のことを思い出した。逃げる最中、一部の乗組員がロガンを追いかけ、余裕がある時にロガンは迫って来る乗組員を殺した。その場所がここだったことを。


「ワシ、少し休んでいるわい」


「分かった」


「何が起こるか分からないので、注意していてくださいね」


 二人はロガンにそう言って、周囲の探索を始めた。ロガンは広間の隅に移動し、身を隠した。


 二人が探索をしていると、複数の魔力を感じた。セアンはカトラスとハンドガンを持って周囲を見回し、ケアノスはレイピアを構えていつでも戦える支度をした。


「今度は何?」


「化け物が出てもおかしくないわね」


「化け物か。強そうだな」


「楽しそうに笑わないの。どうなるか分からないのに」


 呆れた様子でケアノスがため息を吐くと、地面からガイコツが現れた。


「ガイコツが相手か。何だか弱そうだな」


「そうね。一発蹴ったら崩れそう」


 と、戦闘意欲を失った二人を見たガイコツは、怒りのあまり叫んだ。


「コラー! 弱そうとか言うな!」


「確かに一発攻撃を受けたら体がバラバラになっちゃうけど、それでも俺たちは強いぞ!」


「ぶっ殺してやろうか小娘が!」


 叫び始めたガイコツを見て、セアンは近くにいるガイコツに蹴りを入れた。蹴られたガイコツは大きな音を立てながら、崩れた。


「ああああああ! いきなり蹴るのは酷いよ!」


「喧嘩売ってきたでしょ? だったら、戦いの始まりだよ。先手はとらないとね」


 にやりと笑って答えたセアンを見て、ガイコツは怒り出し、セアンに襲い掛かった。


「この小娘! 礼儀ってものを教えてくれるわ!」


「そのエッチな体を俺たちに捧げ!」


 ガイコツの叫びを聞き、セアンはカトラスを強く握り、こう言った。


「やーだね。誰がお前たちに体を捧げるか!」


 この直後、セアンから強い魔力が発した。襲い掛かったガイコツはセアンの魔力を察し、後ろに下がった。


「な……何だ、この魔力は?」


「船長と同じ強さ……いや、それ以上か?」


「だが! 相手が強ければ強いほど、戦いが面白くなる! さぁ、始めようか!」


 セアンの魔力を感じて一時は動揺したものの、ガイコツはセアンに襲い掛かった。ガイコツが近付くタイミングを計り、セアンはカトラスを振り回した。カトラスの刃から魔力が発し、それが渦のように動いて竜巻を作った。


「竜巻だと!」


「うわ! 体が崩れちゃう!」


「あっ! 俺の大事な右腕が飛んだ!」


「俺の左手が! あんまりだ!」


 上に飛んで行くガイコツを見て、セアンはぽつりとこう言った。


「あらまー、ちょっとやりすぎたかな」


「やりすぎじゃないわよ。まだこの洞窟、奥が深いみたいだから」


 セアンの独り言を聞いていたケアノスは、セアンの肩を叩いてこう言った。




 一方、負傷したカイトはまだラージュと共に横になっていた。ラージュの手当てによって怪我の治りは早くなったものの、下着姿で横になっているラージュを見て、カイトは寝るに寝られない状況であった。


「ん……どうしたの、カイト? 少し休まないと怪我が治らないわよ」


「こんな状況で寝られない……ラージュ、せめて服を着てくれよ。頼むから。ドキドキして眠れない」


「ふふ……いいじゃない。私、寝る時はいつも下着姿よ。この方が楽だから」


「せめて時と場所と状況ぐらい察してくれよ!」


 と、カイトは顔を赤く染めて叫んだ。


 しばらく横になっていた二人だが、ラージュがあることを思い、カイトにこう言った。


「ねぇ、この洞窟不思議じゃない?」


「何が?」


「死んだ人間の骨が動いたり、周囲に魔力に似たどす黒い物を感じたり……まるで、怨念か何かがあるような気がするわ」


「俺もそう思った。霊感が強い人だと、霊が出る場所に行ったら何かを感じるって聞いた。それに似た感じかもな」


「ええ。もしかしたら、リティーヒの怨念がこの洞窟に渦巻いていて、いろんな仕掛けやモンスターがいたら……」


「それはそれで少し怖いな。ラージュ、余計眠れなくなったよ」


「ごめんなさい。こういう話は嫌い?」


「嫌いじゃないけど……実際に今起きていることだから……気になって」


「確かにね。早く怪我を治して、皆と合流しましょう」


 と言って、ラージュはカイトを抱きしめた。カイトは苦しそうに、ラージュにこう言った。


「だからこれじゃあ眠れないって……」


 洞窟の話はまだまだ続きます。離れ離れになったカイトたちは合流を目指すが、洞窟は深い。彼らはいつ、合流できるのだろうか?


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