ガイコツの群れとの遭遇
セアンたちと離れ離れになってしまったカイトとラージュは、合流できることを祈って行動していた。歩いていると、大量の棺が保管されている部屋に到着した。気味悪そうに二人はこの部屋を通過しようとしたのだが、棺のふたが勝手に開いた。突如感じた魔力を察知し、二人は武器を持って身構えた。棺の中から、ガイコツが現れ、棺の中にあった武器を持って外に出た。ガイコツは周囲を見回すと、両腕を高く上に上げて口を開いた。
「ふぅ……半世紀ぶりの空気はそれなりにうまいな……」
「ああ。ずーっとこの中で過ごしていたからな」
「動けるってのは最高にいいことだな」
喋り始めたガイコツたちを見て、カイトとラージュは目を丸く開けて驚いていた。
「何だ! あの骨、喋られるのかよ。そんなのってありなのかよ?」
「私も驚いたわ。まぁ、魔力で動いているのかもしれないけど」
「魔力って何でもできるみたいだな。変な罠を作ったり、骨を動かしたりとか」
「まだ研究が足りてないのよ。もしかしたら、ガイコツを動かすことができる力なのかもしれないわ」
「そうなんだ。便利な分、それを悪用する奴がいると思うとちょっと怖いな」
と、ガイコツたちを無視して話をしている二人を見て、ガイコツは怒りながら叫んだ。
「コラ! 無視するな! 俺たちの存在を忘れるな!」
「あら、ごめんなさい。カイトとの話に夢中だったのよ」
ラージュはいたずらっぽくこう言うと、ガイコツを見てカイトに耳打ちした。
「骨だけだから、打たれ弱そうね」
「そうだな。一発殴れば粉々に崩れそうだ」
カイトはガイコツを見てこう答えたが、ガイコツたちは二人の話をしっかりと聞いていた。
「聞こえているぞ! 弱そうだって? こっちだって好きで骨だけになったわけじゃないのに! ムカついた、ぶっ殺してやる! 行くぞ野郎共!」
「おお! あんな連中、俺たちの手にかかればあっという間にみじん切りだ!」
「ヒャッハー! 久しぶりに血祭りの開幕だ!」
と言って、ガイコツは剣を持って襲い掛かった。だが、ラージュは大剣を振り回し、ガイコツが手にする剣を粉砕した。
「あら……あらー? 俺の剣、結構高かったのに。それなりに耐久力があったのにどうして?」
「半世紀経っているから、剣が腐ったみたいね。いくら値打ち物でも、時が経てばオンボロね」
「チクショー! こうなったら拳で勝負だ! 男なら、拳で勝負してやる! お前も男なら拳で勝負しろ!」
武器を失ったガイコツは、拳を構えてカイトに向かって行った。呆れたカイトは刀を振り下ろし、ガイコツの右手を斬り落とした。
「アギャアアアアアアアアアア! 右手が! 俺の右手が! あ、でももう死んでいるみたいだから痛くない」
「どっちだよ……これじゃあ勝負にならねぇ」
叫びまくるガイコツを見たカイトは、呆れながら刀を鞘に納めてラージュにこう言った。
「先に行こうぜ、バカの相手なんてしていられない」
「同感。行きましょう、時間の無駄だったわね」
「ちょっと待て! 俺たちは本気を出していない」
その時、別のガイコツの声が聞こえた。改めて二人は周囲を見回すと、部屋の中には無数に棺が置かれていた。それを見たカイトは、ため息を吐いてこう言った。
「参ったなぁ。アホが増えるのかよ」
「みたいね。あのアホをどうにかしないと、先に進めないわ」
しばらく二人は様子を見ることにした。棺のふたは勝手に開き、中から別のガイコツが現れた。
「俺たちの仲間をバカにするのは許さねぇ!」
「お前ら、ここから生きて帰られると思うなよ!」
そう言って、ガイコツの群れは二人に襲い掛かった。
一方、セアンとケアノスはロガンと共に歩いていると、不意にロガンが声を出した。
「そう言えば昔、こんな話を聞いたことがある」
「どんな話?」
興味深そうにセアンが訪ねた。ロガンは思い出しながら、話を続けた。
「この洞窟には昔死んだ仲間を弔うため、棺がある部屋があるらしい」
「本当だったら嫌ね。幽霊の類が出てきそう」
と、棺だらけの部屋を想像したケアノスは、気持ち悪そうにこう言った。ロガンは笑いながら話を続けた。
「噂じゃ噂。ま、昔に海賊が来てあれこれあったからの。ここに住んでいた人たちが殺され、弔う場所がないから結局ここで弔ったと。まぁ、そういう話を聞いたことがある」
「ふーん。だとしたら酷な話だね。私たちはそんなことはしないけど、一部の海賊は野蛮なことを平気でするからねぇ」
セアンは返事をし、周囲を見ながらケアノスとロガンと共に歩き始めた。
「あっけないわね」
「そうだな。やっぱり骨だけだからな」
カイトとラージュは攻撃してバラバラにしたガイコツを見回してこう言った。すると、頭蓋骨が転がりながら二人に近付き、叫んだ。
「やるようだなお前ら! 俺たちをここまでコケにされるとは思わなかった!」
「口だけは達者だな。その状態で何ができるんだ? 早く教えてくれよガイコツさん」
カイトは頭蓋骨を踏み、サッカーボールのように蹴りだした。
「あ、ちょっと待って。こんなことするなんて酷くない? もう止めて。痛い。痛いから。あ、もう死んでいるから痛み感じてないわ」
「カイト、もうこんなアホ共ほっときましょう」
「そうだな。これで完全に完璧に決着がついたし、こんな奴らに用はない」
カイトは頭蓋骨を蹴り飛ばし、ラージュと共に先に進もうとした。しかし、二人は突如強い魔力を感じ、武器を手にした。
「何だ、この魔力。こんな強い奴がいたのかよ」
「アホ共よりも強いわ。気を付けて」
そう話していると、大きな棺のふたが開き、中から巨大なガイコツが現れた。そのガイコツを見て、バラバラになったガイコツが叫んだ。
「うおおおおおおおお! ボッドさんだ!」
「あの人ならあのガキを倒してくれる!」
「こんなになった俺たちの仇を取ってくれ!」
巨大なガイコツはバラバラになったガイコツの方を見て、右手の親指を立てた。
「おう。任せておきな。お前たちの仇、ちゃんととってやるからよ。ここで俺の活躍を見ていやがれ」
ボッドと呼ばれた巨大なガイコツは、大きな足音を鳴らしながら二人の前に立った。
「さーてと、俺の部下をバラバラにした罰、償ってもらおうか。お前たちの体も、部下と同じようにバラバラにしてやる」
ボッドは二人を睨みながらこう言ったが、二人はため息を吐いてこう言った。
「おいおい、あんたらが先に喧嘩を売ったのに逆切れしないでくれよ」
「何言ってもああいう奴は私たちの話を聞かないわよ。仕方ない、こうなったらあんたもバラバラにしてやるわ」
「それじゃあ、さっさとあんたをバラしてこの戦いを終わらせてやる! 覚悟しろよデカブツガイコツ野郎!」
そう言って、カイトはボッドに斬りかかった。しかし、ボッドの骨は以上に硬く、カイトの攻撃を弾き返してしまった。
「うわっ! マジかよ、弾かれた!」
「カイト! 今助けに行くわ!」
後ろに転倒したカイトをラージュは支え、襲い来るボッドの追撃に対し、カイトを抱きかかえてかわした。
「ありがとう、助かった。それより……あいつ、見た目の割に結構強いぞ。この刀、切れ味がいいはずだけど、骨に傷がつかなかった。かなり骨が硬い」
「ええ。カイトの刀が通用しないなんて思わなかったわ。魔力を込めても骨を断ち切れるかどうか……」
二人は後ろに下がり、高笑いしながら迫って来るボッドを見た。
「フハハハハハハハ! 俺に貴様らの攻撃は通用しないぞ! 早く諦めて、俺の体当たりを受けて死ねェ!」
と言って、ボッドは魔力を開放しながら二人に体当たりを仕掛けた。
三人称の小説と一人称の小説、どっちが書きやすいと言われたら、俺は三人称が書きやすいと答えます。理由としては、いろんなサイドの話をかけれるからです。一人称だと、主人公目線でしか物語が展開しないので、敵サイドや別キャラのサイドで話が展開せず、この時点で入れたい伏線とか書きにくいんです。三人称の小説ってなろうじゃあ人気が出にくいって聞いたし……いずれ人気が出てほしいな。
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