壁をぶち壊せ
落とし穴に落ちたセアンとケアノスは、落ちた先でロガンと名乗る老人と知り合い、共に行動を始める。先に進む中、セアンたちは罠によって閉じ込められてしまった。しかも、床から水が噴射し、早く抜け出さなければ窒息してしまうという命の危険にさらされていた。そんな中、セアンは壁を破壊して抜け出そうと行動を始めた。
セアンは魔力を込めた弾丸を放った。激しい音を鳴らしながら弾丸は放たれたが、壁に激突して破裂音を出し、消滅した。セアンは弾が命中した箇所を見て、声を漏らした。
「傷はできたけど、貫通しないね。やっぱり分厚いか」
「まだ威力が弱いのかしら。セアン、もう一発撃てる?」
「うん。任せておいてよ! それじゃあ二発目、いっきまーす!」
と言って、セアンは二発目の弾丸を放った。しかし、これも一発目と同じように貫通することはなかった。
「ふーむ。どうやら思っていたよりも予想以上に分厚くて頑丈ですなー」
「そんなこと言っている場合じゃないわよ! どうするのよ! 二発で打ち抜くことができないんなら、このまま水攻めされて死ぬしかないじゃない!」
強いセアンの魔力を使った弾丸でも、壁は貫通しなかった。また慌て始めたケアノスを見て、ロガンは壁を触りながらこう言った。
「ただ無暗に壁を傷つけても意味はない。どこか薄い所がある。そこを狙って集中して撃てば、壊れるはずじゃ」
「薄い所か……確かにそうだね。ケアノス、壁を叩いて。音が違う所が多分薄い場所だと思うから」
「分かったわ。私はこっちの方を調べるから、セアンはそっちの方をお願い」
「オッケー。変だと思ったらすぐに返事してね!」
ロガンの言葉を聞き、セアンとケアノスは壁を叩き始めた。頑丈な壁だが、全てが頑丈というわけではない。どこか薄く、弱い所があるのだ。その場所があると信じ、三人は壁を叩いて調べた。
数分後、水はセアンたちの腰のあたりまで来ていた。ケアノスは焦りながら壁を叩いていたが、セアンとロガンはこんな状況でも恐ろしいくらいに冷静だった。
「まずいわね……水が増えると調べる範囲も狭くなるし……」
「そういうこと考えないの。何がなんでも絶対にここから抜け出してやるって考えてね」
焦りだしたケアノスにセアンがこう言ったその時だった。セアンが壁を叩くと、軽い音が鳴ったのだ。
「軽い音だ。ここだ! 今すぐ撃つからちょっと待っててね!」
セアンはハンドガンを構え、軽い音がした場所を撃った。弾丸は壁に命中し、穴をあけた。
「おお! お見事! これでこの罠から脱出できる!」
「まだだよ。ここから出れるほどの大きさになるまで穴を広げないと! さーて、もう一発!」
セアンは続けて二発弾丸を放ち、壁を貫通させた。その後、セアンは貫通して穴を開けた個所に蹴りを入れ、穴を大きく広げた。貫通した結果、壁がもろくなって蹴りを入れただけで崩れるようになったのだ。ケアノスとロガンもセアンに協力し、穴を蹴って広げた。
「よし! この大きさならここから出られるよ!」
「助かった。あー、窒息して死ぬかと思ったわー」
「スリルを味わうのは久しぶりじゃ」
大きく広げた穴から、三人は密室から脱出した。脱出した後、三人は濡れた服を絞っていると、開けた穴から水が流れた。そこから、部屋の中にいた海賊と冒険家の死体が流れた。
「こんな所で死ぬなんて、なんだかかわいそうね」
「ライバルは減ったけど、せめて何かしてあげられないかな?」
地面に流れ着いた死体を見て、セアンとケアノスはこう言ったが、ロガンは立ち上がって歩き出した。
「死人にあれこれしても意味はない。それで死んだ人間は蘇らないし、それで死人がありがとうと礼を言うわけでもない」
「うーむ。確かにそうだけどさ、それじゃあちょっと非情じゃないの、ロガンさん」
セアンがこう言うと、ロガンはため息を吐いて言葉を返した。
「長年生きていると、命に係わる残極な選択を迫られるのじゃよ。ワシの場合、それで他の人が命を落としたこともある」
この言葉を聞き、セアンはロガンの過去が気になった。急いでロガンの元に向かって話をしたが、ロガンは笑ってごまかした。ケアノスはロガンという老人が、一体どんな人物なのか気になっていた。
カイトは暗い所で気が付いた。体中に痛みが走るが、体の動きに異常はなかった。痛みを我慢しながら何とか起き上がり、周囲を見渡した。
「いつつ……俺も体が強くなったのか? 普通だったら死んでたけど……」
転生して魔力を持ち、創造の力を持つ像などとの戦いを経験した結果、体や魔力が強くなったのかとカイトは思った。だがその時、右手の指に柔らかな感触がした。
「何これ? 柔らかいし温かい」
「あぁん……カイト、こんな所で発情しちゃダメよ」
目を凝らして見ると、右手にはラージュの胸があった。それに気付いたカイトは慌てながら後ろに下がり、ラージュに向かって土下座した。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! 暗くて分からなかったから、本当にごめんなさい!」
「別にいいわよ。今夜の相手をしてくれたら許すわよ」
ラージュの言葉を聞き、カイトは少し動揺したのだが、意を決した顔でラージュにこう言った。
「俺も男として覚悟する。だけどセアンたちに何て言えばいいのか……」
「冗談よ、冗談。真に受けないで」
と、ラージュは笑いながら立ち上がった。その後、二人は周囲を確認し、今二人だけの状態だと認識した。
「俺たち以外に周りに人はいないようだな」
「ええ。先に向かった海賊と冒険家がいると思ったけど、私たちみたいに罠に引っかからなかったようね」
「経験を積めば、罠がどこにあるのか把握できるのかな?」
「だと思うわ。でも、カイトより長く海賊家業をやっている私たちでも落とし穴に引っかかるから、経験を積んでも難しいわね」
「そうか……でも、中には罠がどこにあるかって分かる人がいるのかな?」
「その知識に詳しい人なら分かると思うけど……まぁ、ここって暗いし、暗さで目が慣れてもどこに罠があるかちゃんと把握できないからね」
そんな話をしながら、二人は先へ向かった。入口付近と比べ、二人が落ちた先は暗く、魔力を使って明かりを灯してもちょっとしか周りを確認できなかった。
「ラージュの言う通り、ここってかなり暗い所だな。光を灯しても全然見えない」
「奥深い所まで落ちたか、まだここまで人が来たことがないエリアかもね」
「そうだったら不安だな。何が起こるか分からないし、モンスターもいるかもしれない」
「そうね。不気味な空気もあるし、きっと何かあるかもしれないわ……あら」
話の途中で、ラージュは周りを見てカイトにこう言った。
「あれ見て、棺みたいよ」
「棺? 何でこんな所に?」
カイトは周囲に棺があることを確認した。木でできているせいもあるか、棺の一部は腐っていてボロボロになり、変色していると思われる箇所もあった。それを見たカイトは恐怖を覚えた。
「うわ……結構な数が置いてあるな。古い棺かな? 結構ボロボロだ。それより、何でここにあるんだろう?」
「さぁ? もしかしたら、ここって昔は墓場だったのかしら?」
「だとしても、奥深くに棺なんて置くか? なんか嫌な予感がするけど」
「そうねぇ。とにかく先へ進みましょう。中身が気になるけど」
「おいおい、腐った死体だったら俺嫌だぜ。臭いで吐きそう」
二人は話をしながらこの場から急いで立ち去ろうとした。だが、二人が棺に近付いた瞬間に棺のふたが勝手に動き始めた。その瞬間、二人は棺の中から魔力を感じた。
よく思えば、ボーボボはギャグマンガとしてもバトルマンガとしても結構参考になる部分が多い。いろんな技を持った個性的なキャラ、そしていろいろな仕掛けがあるバトルステージ。亀ラップやボーボボの滅茶苦茶な過去話、天の助の扱いなどのギャグが人気だけど、バトル面に関して見直すのも面白いと思います。
好きなボーボボのキャラは首領パッチです。こんな作者の作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします。




