キリサキフィッシャーとの戦い
カイトたちはリティーヒの宝が眠る洞窟に突入した。だがその直後、先に洞窟に向かった海賊と冒険家を惨殺したモンスター、キリサキフィッシャーの群れと遭遇。襲い掛かってきたキリサキフィッシャーは、前にいたセアンを目標にして攻撃を仕掛けた。
「おっと。危ない」
セアンは後ろに下がり、キリサキフィッシャーの攻撃を回避した。その際、キリサキフィッシャーのヒレがセアンの服にかすり、少し切り裂いてしまった。
「おっそろしいヒレだね。でもね、そんな単純な攻撃じゃあ私は倒せないよ!」
セアンは魔力を少し開放し、風を放って目の前にいたキリサキフィッシャーを切り裂いた。セアンの攻撃によって斬り刻まれた仲間を見たキリサキフィッシャーは、甲高い叫び声を上げた。
「凄い声だ。滅茶苦茶うるさい! 鼓膜がいかれる!」
「感情をあらわにした時、かなり甲高い声を出すって聞いたわ。でも、これはうるさいわね」
と、耳を抑えながらカイトとケアノスが会話した。そんな中、後ろにいたコスタがスナイパーライフルで群れの一匹の額を打ち抜いた。
「話している場合じゃないわ。奴を倒さないと、まだ被害者がたくさん出るわよ」
「コスタの言う通り。ささっと倒しちゃおうよ! それで、先に行こう!」
「その通りね。ヒレは固いから攻撃が通るかどうか分からないけど、こいつらの体はそんなに硬くないわ。とにかく体を狙って攻撃して!」
ライアとラージュは各々の武器を手にし、キリサキフィッシャーに襲い掛かった。カイトとケアノスは二人を見て、武器を持って攻撃を始めた。
カイトがキリサキフィッシャーを斬っていると、後ろからキリサキフィッシャーが襲い掛かって来た。ケアノスはカイトが目の前の相手に集中しているせいで、後ろの相手に気が付いていないと察し、声を出した。
「カイト、後!」
「何!」
カイトは後ろを振り返り、ヒレを振り下ろそうとしているキリサキフィッシャーを確認し、急いで刀を突いて攻撃した。刀で体を突かれたキリサキフィッシャーは甲高い声を上げながら血を流し、全身の力が抜けたようにぐったりとした。だが、仲間が倒された光景を目撃していたキリサキフィッシャーが、鳴き声を上げながらカイトに襲い掛かった。だが、カイトは素早く刀を抜いて刃の向きを変え、後ろにいるキリサキフィッシャーの体に刀を突き刺した。
「カイトやるぅ!」
カイトの行動を見ていたセアンが歓声を上げた。ケアノスは、カイトが成長しているのだと心の中で思った。
ピラータ姉妹とカイトの活躍によって、現れたキリサキフィッシャーはすぐに殲滅された。後ろでカイトたちの戦いを見ていた他の海賊と冒険家は、茫然とこの光景を見ていた。
「す……すごい。あっという間に戦いが終わったぞ」
「キリサキフィッシャーの群れをたった数分で……」
「数分? 一分もかからなかったようだが」
「俺たちじゃあ敵わなかったキリサキフィッシャーを簡単に倒すなんて、ピラータ海賊団。かなり強いと言われていたが本当だったのか」
彼らはカイトたちの力が本物だと知り、茫然と立っていた。その時、セアンは何かに気付いて後ろに振り向き、叫んだ。
「ぼさっとしてないで武器を構えて! 奴らはまだいる!」
「何!」
「まだ奴らがいるのか!」
この声の直後、近くの湖から何かが飛び上がる音がした。そしてそれは地面に着地し、海賊と冒険家に襲い掛かった。
「グッ! 仲間がいたのか!」
「ここは奴らの住処ってわけか!」
「気を付けろ! 水面に泡が立っている。まだ奴らがいるぞ!」
水場にいたキリサキフィッシャーの仲間が現れ、襲い始めた。海賊と冒険家は抵抗したが、力がない者は次々と殺されてしまった。
「クソッ! よくも俺の仲間を! お前らは俺がぶっ殺してやるぞ!」
仲間を殺された海賊は、感情に任せてサーベルを振り回した。だが、キリサキフィッシャーのヒレに当たったサーベルの刃は金属音を鳴らし、上空へ飛んだ。
「は……刃が折れただと。ヒレが硬いと言っていたが……まさか……」
「安物のサーベルじゃあ奴のヒレには敵わない! 逃げて!」
と、レイピアでキリサキフィッシャーを突き倒しながらケアノスは叫んだ。だが、海賊にはその言葉が届かず、仲間の仇であるキリサキフィッシャーによって斬り殺された。
「クッ……えぐいことをしやがる。何もそこまでやらなくてもいいのに」
「奴らも住処を荒らされまいと戦っているのよ」
コスタの言葉を聞き、カイトはあることを思いついた。
「奴らは住処を守るために戦っているなら、早くこの先に行くか、逃げよう!」
「そうだね。ここで時間を使っていたらもったいない!」
カイトの話を聞いたセアンたちは、急いで奥へ向かった。
「あ! 逃げるのか!」
「先に行くなら俺たちも!」
「宝が俺たちを待っているんだ! 持って帰るまで死んでたまるか!」
と、カイトたちの後を追うように海賊と冒険家も戦いを止めて先に向かった。だが、一部の海賊と冒険家は、後ろに下がった。
「俺は止める。こんな所で死にたくない」
「私も逃げる。冒険家は卒業します」
「命が欲しい。諦めも肝心だ」
そう言いながら、非力な海賊と冒険家は急いで洞窟から出て行った。静かになった時、キリサキフィッシャーは仲間の死体と斬り殺した海賊や冒険家の死体を運び、水の中へ潜って行った。しばらくして、水面の一部が赤く染まった。
カイトたちは息を切らせながら走っていた。カイトは後ろを振り向き、キリサキフィッシャーが追って来ないことを知って安堵の息を吐いた。
「ふぅ、奴らは追いかけてこないようだ。よかった」
「カイトの言う通り、奴らは住処を守るために戦っていたみたいね。にしても、ちょっとやりすぎだと思うけど」
「もし、守るために戦っていただとしたら、倒したキリサキフィッシャーには申し訳ないわ……戦う必要がなかったからね」
コスタの話を聞いたラージュは、コスタに近付いてこう言った。
「キリサキフィッシャーは仲間の死体を食べるみたいよ。あいつら、共食いする習性があるらしいの」
「そんなこと言わないでよ。想像しただけでウエッってなる」
話を聞いていたライアは、気持ち悪そうに舌を出した。休んでいると、カイトたちのように先に向かった海賊と冒険家がカイトたちを追い越した。
「あ! 追い越された! 早く行かないと!」
焦ったライアは急いで立ち上がり、走ろうとした。セアンとケアノスはライアを見て急いで追いかけた。
「ライア! 焦るのはまずいよ! 変な罠があるかもしれないよ!」
「何があるか分からないから、ちゃんと考えて行動しないと……」
二人がライアを追いかけた時、セアンの足元からカチッと音がした。その音を聞いたセアンとケアノスは不審に思い、足元を見た。だがその直後、二人の足元が開いた。
「嘘……罠?」
「やっぱり、ただの洞窟じゃないのね」
二人は急いで地面を掴もうとしたが、落とし穴に落ちてしまった。カイトは穴に近付いて様子を見たが、すでにセアンとケアノスの姿は見えなくなっていた。
「セアン! ケアノス!」
「まずいわね、早く二人を追いかけないと!」
「うん。二人が大丈夫だといいんだけど」
落ちた二人を追いかけるため、カイトたちは先に行こうとしたが、地響きが鳴り始めた。
「うわわわわ! 今度は何だ! 何が起こるんだ?」
「まさかまた、落とし穴? 止めてよねもう!」
ラージュがこう言った直後、カイトとラージュの足元が開き、二人は落ちてしまった。
「カイト! ラージュ!」
「そんな……また……」
落ちて行く二人を救おうとしたコスタとライアだったが、反応が遅く助けることはできなかった。そんな中、後から来た冒険家が二人に近付いた。
「大丈夫か? 大変なことになってしまったな……」
冒険家は穴だらけの通路を見て、こう言った。
この話で出てきたキリサキフィッシャーの名前の由来なんですが、鋭いヒレで相手を切り裂く魚ってことでこんな名前を付けました。この作品に限らず、出てくるモンスターの名前はかなり適当です。
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