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コスタとの会話


 ピラータ姉妹の海賊団に入ったカイトは雑用などをこなし、セアンから剣術や魔力のことを学んで行った。ピラータ姉妹ともすぐに打ち解け、順風満帆な異世界の生活が始まるのだろうとカイトは思っていた。が、一つだけ気になることがあった。コスタのことである。セアン曰くコスタは冷静で無口な性格であるせいか、まともにカイトと話をしたことがないのだ。


 その日、カイトはコスタとどうやって話そうか考えていた。しかし、無口なコスタがどんな趣向を持っているのか分からず、話の切り出しをどうすればいいのか、その答えが見つからなかったのだ。


「うーむ、どうしたものだか」


「どうしたの、カイト?」


「悩みがあるなら聞くけど?」


 と、掃除中のセアンとライアが声をかけてきた。カイトはコスタのことを言うと、セアンは笑いながらこう言った。


「コスタと話をしてないのが気になっているのね。まー、しゃーないよ。コスタはあまり人と接するタイプじゃないし」


「私たち五つ子だけど、性格だけはバラバラなのよねー。双子とか三つ子とか、そんな感じなのかしらね」


「でもさ、コスタだけ仲間外れなのが、気になって……」


「うんうん。カイトのその気持ち、私は分かるわ」


 と、窓からケアノスが顔を出してこう言った。


「カイトが入った時から、コスタあまり顔を出さないじゃない? セアン、あんた今日の見張りコスタと代わりなさいよ。そうすれば明日の朝からカイトとコスタが話をできると思うし」


「私が? すぐに寝ちゃうよ? それでもいいの?」


「それもそれで問題ね……」


 ケアノスの言葉を聞いたカイトは、あることを思いついた。


「見張りだったら、俺がコスタと一緒に見張りをするよ。それなら話ができる機会も増えるだろうし」


「一晩寝ずに見張りすることになるけど、それでもいいの? 最初の頃は結構きついよ」


 ライアが不安そうにこう言ったが、カイトは日本にいた時、夜中のバイトを行っていたことがある。そのため、夜通しの仕事には慣れていた。不安なライアに対し、カイトはこう言った。


「大丈夫だ。ここに転生する前は夜中に仕事をしていたことがあったから」


「大変だったのね。私たちと同じ年で、夜中に仕事をするだなんて」


 話を聞いたセアンは、カイトの肩を叩いてこう言った。




 その日の昼、夜の見張り中に眠らないようにカイトは昼寝をしていた。それから夜になり、カイトはコスタがいる見張り台へ行こうとした。その前に、ラージュが二つのコーヒーカップを持って近付いてきた。


「セアンとケアノスから話は聞いたわ。これ、私が用意したコーヒーよ」


「ありがとうラージュ」


「夜の海は少し冷えるから、ホットにしておいたわよ。コスタと一緒に飲みなさい」


「ああ。いろいろとありがと」


「ええ。初めての見張り、頑張ってね。何かあったらすぐに教えてね」


 と言って、ラージュは去って行った。その後、カイトはコーヒーカップを持ってコスタの元へ向かった。


「おーいコスタ、俺も見張りに……」


「誰!」


 不審者かと思ったコスタは、手にしたスナイパーライフルをカイトに向けた。驚いたカイトだったが、カイトだとすぐに分かったコスタはスナイパーライフルをしまった。


「ごめん、不審者かと思った……」


「気にすんなよ。それよりも、今日は俺も一緒に見張りするから」


「え……うん」


 コスタはそう言って、座っていた場所から少し離れた。カイトが座りやすいように場所を空けたのだ。カイトはその場所へ座り、簡易的に作られた机の上にコーヒーカップを置いた。


「これ、ラージュが用意してくれたコーヒー。一緒に飲もうぜ」


「ラージュが用意したの? 変な薬とか……入ってないよね?」


 と、コスタはコーヒーを嗅いでこう言った。その行為を見て、カイトは苦笑いでこう言った。


「変な薬は入っていないと思うけど……ラージュならやりかねないのか?」


「ラージュは一度、間違えてコーヒーに超強力な目覚ましの薬を入れたことがあるのよ。そのせいで、三日は眠れなかった」


「マジか」


 ここまで会話した時、カイトはあることに気付いた。コスタと普通に話ができていると。


「ははっ」


「どうしたの?」


「皆から冷静だとか無口だとか言われているけど、普通に話せるなーって。上手く話せるか少し緊張してたのに」


 カイトの言葉を聞き、コスタはコーヒーを一口飲んでこう言った。


「カイトが話しかけてくれるから、こうやって話をしているの」


「でも普段はさ……」


「皆が賑やかでうるさいから、まともに話ができないの。でも、いざとすれば話をするわ」


 コスタの言葉を聞き、カイトは普段の日常を思い出した。セアンやライアが騒ぎ、ケアノスが怒り、ラージュが変な薬であれこれする。騒いでばっかりでまともに話をする状況ではないのだ。


「確かに……あの状況じゃあ話はできないな」


「でも、私のことも考えてくれていたのね。ちょっと嬉しい」


 と、コスタは静かにこう言った。コスタの感情を知り、カイトは少し照れた。コスタはコーヒーを飲んで、カイトの方を向いた。


「異世界から来たって聞いたけど、本当なの?」


「ああ。日本って所で俺は生活をしてたんだ。海で溺れた子供を助けた後、鋭い枝が付いた丸太に激突して死んだ」


「一度死んだの……え? 死んだ?」


 コスタは慌ててカイトに光を当て、影があることを確かめた。安堵の息を吐くコスタを見て、カイトは少し笑ってこう言った。


「死んだって言っても、俺は転生してこの世界に来たんだ」


「異世界転生ってわけね。まるで漫画」


「この世界にも異世界転生の話があるのか……」


「ええ。アニメもやってるわ。面白い話だったらたまに見てる」


 と言って、コスタは小さな端末をカイトに見せながら操作した。端末の画面には、アニメが流れていた。


「いろいろあるんだな、この世界って。日本と変わらなくて少し安心した」


「ニホンって世界にもアニメとか端末機器があるのね」


「ああ。いろいろあるぜ」


それから、二人は見張りをしながら話を続けた。カイトは日本について、コスタはドラートレに関しての歴史や文化などの話をしていた。そんな中、コスタが何かに気付いて望遠鏡を覗いた。


「海賊船だ……」


「マジか。どこにあるんだ?」


「あそこ、明かりが照らされているでしょ。どうやら、マストの所にランタンみたいなのがあるようね」


「どれどれ……おっ、あれか……」


 カイトの目には、うっすらと薄く判断できる船らしき物体が映っていた。よーく見ると、帆にはバナナのような骨でクロスを作り、その中央にはドクロのマークが描かれていた。


「あいつら、どこの海賊団だ?」


「バンナーナ海賊団。あいつらは夜中に活動する連中よ。ほとんどの人は夜に寝てるから、その隙に他の海賊団や船を襲う卑怯者よ」


 と、コスタは近くにあった賞金首の海賊のリストを見てこう言った。カイトはすぐにセアンたちに連絡をし、コスタはスナイパーライフルでバンナーナ海賊団の様子を調べた。


「セアンたちに連絡は?」


「今やった。すぐに攻撃の準備に取り掛かるって。そろそろ出てくると思う」


 コスタの返事を聞いた後、下の部屋から武器を持ったセアンとライアが飛び出し、周囲を見渡す光景が見えた。それを見たカイトは、動きが早いなと思った。そんな中、コスタがカイトにこう言った。


「準備ができたみたいね。それじゃあ私が奴らに先制攻撃をするって言っておいて」


「ああ。気を付けろよ、相手にも狙撃手がいるかもしれないし」


「うん。心配してくれてありがとう、カイト」


 コスタは笑顔でそう答えた。


 最初の章はヒロインの紹介をメインに構成していますが、他の話とは違ってこの章だけはプロットを作っていません。ですが、キャラ設定は作っていたので、それを元に作りました。プロットなしで話を書くのは賢者様以来です。ちなみに、賢者様は全編通してプロットを作っていません。


 この話が面白い、最高だと思ったら高評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします。よろしくお願いします!

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