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故郷に再び帰ると告げて


 ブラッディークローの会議はパソコンを使って行われていた。このパソコンはブラッディークローに所属するパソコンに詳しい専門家が作った特殊なパソコンで、外部からのハッキングすることが決してできない特殊なプログラミングが搭載されており、セキュリティ面がバッチリとしてあるのだ。なので、ブラッディークローの一員は安心して会議ができるのだ。ボスと言われた人物は他の会議参加者と違い、顔が隠れて表情が分からなかった。そのせいもあり、参加者は緊張していた。


「今回の会議は、サビナの島にあると言われていた創造の力の件だ」


 この言葉を聞き、参加者の一人が冷や汗をかいた。この参加者は過去にサビナに攻め込んだ時にいた人物だが、あの洞窟で仲間が死んでいくのを見て、恐れて逃げてしまったのだ。そのことを思い出して冷や汗をかいていたのだが、ボスはその人物の心境を気にせず、話を続けた。


「以前、サビナの島に襲撃して創造の力を手にしようとしたが、失敗して傘下の海賊団が一つ潰れてしまった。そうだろ、参加していた船長さん?」


 ボスがこう言うと、冷や汗をかいていた一人が裏声で返事をした。緊張感のあまり、喉がうまく出なかったのだ。別の参加者は苦笑していたが、ボスが静かにしろと言ったと同時に、苦笑は止まった。


「失敗した過去は覆せない。それと、人は失敗する生き物だ。それを糧にして、今後の働きの参考にしろ。話を戻す。その創造の力はピラータ姉妹の海賊団が手にし、シーポリスに渡った」


 この言葉を聞き、参加者はざわついた。一部の参加者もあの洞窟へ入っていて、死を恐れて逃げていたのだ。なので、あの罠だらけの洞窟のことを知っているのだ。


「創造の力を手にしただと? どうやって奥へ到達したのだ?」


「おいおい、あの罠を解除したのか? 一体どうやって」


「あいつらは若いし、女だ。そんな奴らが力を手にするとは」


「静かにしろ。話を続けるぞ」


 ボスの一言で、参加者は口を閉じた。静かになった後、ボスは話を続けた。


「話を続ける。創造の力がシーポリスに渡った以上、手にすることは難しい。しかし、隙を見てシーポリスを襲い、力を奪う」


「お言葉ですが、どのタイミングで奪うのですか? シーポリスはいくつも施設を持っています。そのうちのどこに創造の力があるか分かりません」


 参加者の一人が、手を上げてこう言った。ボスはこの質問を聞き、少し考えてこう答えた。


「創造の力がどこに保管されるか分からない。だが、あの大きな力を小さな場所に保管するのはありえない。きっと、シーポリス本部に保管されるだろう。奪うタイミングは考えなくていい。私が隙を見て創造の力を奪い取る」


 この言葉を聞いた参加者は、了解の声を上げた。その後、ボスは時計を見てこう言った。


「今回の会議はこれで終了。各自、会議が終了したと同時にパソコンの電源を消すように。また、次の会議を行う場合はいつも通りにメッセージを送る。次の会議にあなたたちの顔をまた見られることを祈る」


 と言って、ボスの回線は切れた。参加者たちは急いで会議のアプリを終わらせ、パソコンの電源を落とした。




 サマリオは創造の力を手にしたことをシーポリスの上司に伝えていた。話を聞いたサマリオの上司は、創造の力の宝石をサマリオから貰い、本部に持って行った。


「ひとまず、これで一安心だ。本部に保管されるなら、あの大きな力は奪われることはないだろう」


 サマリオはこう呟き、上司の部屋から出て行った。創造の力のことをセアンから聞いていたサマリオは、その力が悪しき者の手に渡らないことを安堵していた。そんな中、ツリーの部屋を通りかかった時、扉が開いてツリーが姿を見せた。


「あ、用は終わったの?」


「ああ。創造の力は本部で保管される。そこなら悪人の手に渡らないだろう」


「だね。流石にシーポリスの本部に攻め込むバカはいないわ」


 ツリーはそう言って、笑いながら扉を閉めようとした。そんな中、サマリオの目にツリーの部屋の中が入った。


「おい、相変わらず汚い部屋だな。身長に合わない服があるし、パソコンの電源が点いたまま。不衛生な生活じゃあダメだぞ」


「そう? 服はいずれ背が大きくなるし、パソコンの電源はシーポリスの方から電気代払ってくれるからいいじゃない」


「いいわけあるか。あとでちゃんと掃除と整理をしろ」


 そう言ってサマリオはため息を吐いた。だが、ツリーは話を聞かず鼻歌を歌いながらどこかに行っていた。


「おい、話はまだ終わってないぞ! 部屋の整理は?」


「これから仕事だから後回しー」


 と言って、ツリーは去ってしまった。去っていくツリーを見て、サマリオはため息を吐いた。




 数日後、旅立ちの支度をしていたカイトたちが、サビナの港のヴィーナスハンドにいた。


「食料よし、水もよし。電気も充電バッチリ。これなら半年は持つ」


 旅立ちの支度が整ったのを確認したセアンは、カイトたちの方を振り返った。


「こっちはオッケーだよ。いつでも出港できるよ」


「了解! 俺も準備はできたから、いつでも行けるぜ!」


 カイトたちが言葉を返した後、セアンは創造の力によって建物が戻った故郷、そして島の人々を見た。


「建物は戻ったけど、まだ完全に復興したわけじゃない」


「ええ。まだまだ私たちにはやることがある」


 コスタはそう言って、島を見た。建物は戻ったが、資源の問題がある。建物が戻っても、まだ十分住めるレベルには達していないのだ。


「島の人たちが安全に暮らせるように、賞金首を捕まえて、宝を集めて金にして島に送らないと」


「そうだね。私たち強い人が頑張らないと!」


「時間がかかっても、やり遂げる。いつか絶対に!」


 ピラータ姉妹の言葉を聞き、カイトは心の中で改めて決心した。運命のつながりを感じたピラータ姉妹を、必ず守り抜くと。その後、セアンの合図によって船は出港した。


「それじゃあまた来るよー!」


 と、大声でセアンはこう言った。それからコスタたちが手を振る島の人々に向かって、手を振っていた。


 出港して数分が経過し、サビナの島が見えなくなった。カイトはセアンに近付き、こう言った。


「セアン、寂しくないか? 何だか静かだけど」


「全然。何度も立ち寄って何度もこうやって旅立ったから。でも寂しくない。姉妹がいるし、今はカイトがいる」


「俺がいる……か。そう言われると何だか恥ずかしいな」


「もー、照れないでよー。カイトがいて安心するのは本当だから、あまり気にしないでね」


 と言って、セアンは笑顔でカイトにこう言った。その直後、見張りをしていたコスタの声が聞こえた。


「二時の方向に船発見。海賊船の模様」


「敵が来たようだね。コスタ、あいつらは私たちの存在に気付いている?」


 セアンがこう聞いた直後、海賊船の方向から砲弾が飛んで来た。カイトは魔力を解放して砲弾を撃ち落とそうとしたのだが、その前にコスタが放ったライフル弾が砲弾を撃ち落とした。


「どうやら私たちの存在に気付いているみたいだね」


「そうだな。さて、暴れるか?」


 カイトは刀を取り、海賊船を睨んだ。セアンはカイトが戦う気満々だと知り、大声で叫んだ。


「行くよ、皆! あの海賊船をぶっ倒すよ!」


 セアンの声を聞き、武器を持ったケアノスたちが飛び出した。カイトは魔力を解放して氷を発し、敵の海賊船に命中させた。そして、無理矢理敵の海賊船をヴィーナスハンドに近付けた。


「さーて! 一気に攻め込んでぶっ潰すよ!」


「ええ。腕が鳴るわね」


「ヘヘッ! 相手が強いといいな!」


「そんなことを言わないのライア。油断してるとやられるわよ」


「話は終わりだよ。行くよ、皆!」


「おう!


 セアンの声を聞いた後、カイトたちは一斉に敵の海賊船に乗り込んだ。


 次回から新しい章が始まります。今回の章は最初ってことでカイトやセアンたちピラータ姉妹がどんなキャラで、どんな過去を持っているかって紹介をするような感じで書きました。これからは宝探しやブラッディークローに関係する海賊との戦いを繰り返しながらやって行きます。


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