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創造の力を手にしたその後


 その日の夜、カイトたちはサビナの宿で休んでいた。洞窟の探検と中での戦いで疲れ果てたカイトたちだったが、セアンは携帯電話で連絡をしていた。連絡の相手が気になったライアは、ベッドの上を転がりながらセアンに近付き、声をかけた。


「誰に電話していたの?」


「サマリオ。この創造の力って、使えば恐ろしいことにも使えるから、シーポリスに保管してもらおうと思って」


「えー。せっかくすごい力を手に入れたのにもったいなくない? 何か使えるかもしれないよー?」


 ライアはもったいなさそうにこう言ったが、ラージュは立ち上がって話に参加した。


「私はセアンの案に賛成。何もない所からいろいろな物を作れる。建物はもちろん、兵器だって作ることもできる。もし、この力を紛失して、バカなことを考えている奴に渡ったら大変なことになるわ。そうなったら世の中大変なことになるわよ」


「俺も同じ考えだ」


 カイトも立ち上がり、背伸びをして話を始めた。


「大きな力を持っていると、変な奴に目を付けられるかもしれない。この力を求めていろいろな奴が襲ってくる。皆強いから大丈夫だと思うけど、連続で戦っていると疲れて、いずれやられてしまう。だったら、俺たちより責任感があって強い組織の元に預けた方がいい」


「そうね。シーポリスなら厳重に守ってくれるわ。私もラージュやカイトの案に賛成。シーポリスに預けた方がいいわ」


 と、ケアノスもこう言った。ライアはカイトたちの話を聞き、シーポリスに預けることに賛成した。


「それじゃ、こいつはサマリオに預けるね。サマリオ、いつサビナに向かえる?」


「今丁度近くの島にいる。明日の昼頃には到着するだろう。昼近くになったら港で待機していてくれ」


「オッケー。それじゃあまた明日。お休みサマリオー」


 その後、話を終えたセアンは携帯電話をしまい、カイトに抱き着いた。


「おわっと、どうした? いきなり抱き着かれたからビックリしたよ」


「今日はもう疲れたから寝よう。一緒に」


「いやちょっとそんなことは、俺も自分のベッドがあるから大丈夫なんだけど」


「そんなことはどーでもいいの。今はカイトと一緒に寝たい気分なの。私が船長なのよー」


 そう言ってセアンは無理矢理カイトをベッドの上に押し倒した。その後、それを見て羨ましいと思ったライアやラージュがカイトに抱き着こうと行動を始めた。それからカイトを取り合うバトルが始まった。あほらしい光景を見たケアノスは少し呆れながらこう言った。


「はぁ、しょうがないわね。ねぇコスタ……コスタ?」


 コスタに同感を得ようとしたその時、ケアノスは気が付いた。今の話の中でコスタが一言も発していないと。どうしたのかと思ったが、コスタは先に自分のベッドの上でぐっすりと眠っていた。


「今日は疲れたからね。いろんなことがあったから」


 爆睡するコスタを見て、ケアノスは小さく呟いた。近くで騒いでいたセアンたちも、いつの間にか眠っていた。ケアノスはカイトや他の姉妹を見て、私も寝ようと思い、布団を被って目をつぶった。




 翌日。サマリオは電話で話した通りに昼頃にサビナに到着した。サマリオは建物が元に戻っているサビナを見て驚いた。それと共に、創造の力の強さを把握した。そんな中、港にいたセアンたちはサマリオが到着したことを知り、近付いた。サマリオはセアンたちに近付き、軽く会釈した。


「やぁ皆。元気そうだね。昨日の出来事はセアンから聞いたけど、大変だったようだね」


「そうなんだよ。昨日は大変だったよ。そんな大変な状況の中で手にしたのがこれ」


 と言って、セアンは像から貰った宝石をサマリオに渡した。宝石を受け取ったサマリオは宝石を見回し、セアンに効いた。


「これが創造の力か。宝石のように見えるが」


「でしょ。でもすごい力が持っているの」


「どうやればいいんだ?」


「ちょっと貸して、使い方を見せてあげる。作りたいものを頭の中でイメージして、魔力を使ってこの宝石に触れれば……」


 セアンは魔力を少しだけ発し、宝石に触れた。その瞬間、サマリオから少し離れた場所に小さな白い四角形の物体が現れた。それを見たサマリオは宝石を見直し、光っていることに気付いた。


「これは本物だな。まさか、こんなものを作る宝石があるとは思わなかった」


「うん。私たちが手に入れたからいいものの、悪い奴が手にしたら大変なことになるよ」


「その通りだね! セアンの言う通り!」


 と、サマリオの後ろから小さな女の子が姿を見せた。突如現れた女の子を見て、カイトは驚いた。


「何だ、あの子? いつの間にいたんだ?」


「いつの間にって、私はずーっとサマリオの背中に張り付いていたけど……あ。そうか、紹介してなかった」


 女の子は急いで地面に降り、カイトに近付いて頭を下げた。


「初めて会うね。私はツリー・カタメソーウ。こう見えてサマリオとは同期なの。サマリオから話は聞いているわ。ピラータ姉妹に気に入られた不思議な子って」


「不思議って……」


 不思議と言われ、動揺したカイトだったが、別世界から来た身として確かにその表現が合っているなと思った。


「今後ともよろしく。で、サマリオ。これからどうするの?」


「すぐに本部に戻る。久しぶりにセアンたちに会ったが、別の仕事があるから」


「そうだね。今度はもっとゆっくりした時に会いたいね」


 その後、会話を終えたサマリオたちは去って行った。ライアは頭の後ろで手を組み、去って行く船を見てこう言った。


「大変だね、サマリオたち。シーポリスの大佐って激務だね。休む暇ってあるのかな?」


「忙しい身だからそんなに休む時はないと思うわ。時間を割いて来てくれたのはよかったわ」


「そうだね。でも、たまにサマリオの元気な姿を見たら安心するんだよね」


 去って行く船を見ながら、セアンたちはこう話をした。




 サビナから遠く、遠く離れた別の地域の小さな島。そこに一隻の大きな船が停船していた。船では、物騒な装備の男たちが船の掃除をしていた。


「ふぃー、掃除も大変だな。毎日毎日こんなことしているし」


「当たり前だ。お頭は綺麗好きだからな。前に血が残っているのを見て、その時の掃除担当の奴に怒鳴っていたじゃないか」


「そうだったな。でもさ、すぐに汚れるのに掃除しても意味ねーと思うけどな。あーあ、掃除よりも敵船の連中を血祭りにして、どこかの島の風俗街へ行って女を抱きてーよ」


「確かにな。ケケケケケ。だとしたら毎日の掃除は無駄ってわけだ。ま、俺も掃除より相手を血祭りにすることと、女を抱くことの方が好きなんだけどな」


「喋るな。キリキリ動け。口より手を動かせバカ野郎」


 と、リーダーらしき人物の声が聞こえた。声が聞こえた瞬間、話をしていた船員は急いで掃除を再開した。リーダーはさぼっている船員を見てため息を吐く中、近くにいた船員の一人がリーダーにこう聞いた。


「リーダー、船長はどこですか? さっきから姿が見えないのですが……トイレですか?」


「今日は会議だ。船長室にいる」


「あー、そうだった。今日は会議って言ってたなー」


 返事を聞いた船員は、思い出したかのようにこう言って掃除を続けた。リーダーの人物は船長室の方を見て、一体どんな会議をするのか気になっていた。


 その船の船長室では、大型パソコンモニターを使って会議が行われていた。机にいるのは船長の男、そして多数あるモニターには別の船の船長の姿が映っていた。しばらく誰も喋らなかったが、一際大きなモニターに人型のシルエットが映り、雑音が響いた。


「待たせてすまない。それではこれより、不定期のブラッディークロー会議を行う」


 ブラッディークローに関しては謎の組織って言う設定ですが、どんな奴らがいるのか、どんな目的で動いているのかは徐々に明らかにしていくつもりです。ボスの正体は誰って質問があると思うけど、その正体は明かす時に明かします。ちなみに正体は設定済みです。


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