絶体絶命の中で
たった一瞬のうちにカイト、セアン、ケアノス、ライアが倒されてしまった。だが、まだ四人は完全に意識を失っていなかった。だが、後ろにいて攻撃を受けなかったコスタとラージュは絶望していなかった。何故なら、四人から強い魔力を感じたのだ。この魔力を感じ、カイトたちはまだ死んでいないと把握した。
「よかった。四人は死んでないけど」
「あの攻撃を受けて、動ける状況じゃあないね。回復するまで、私たちであいつを抑えないといけないわね」
「そうね。今は後手に回りましょう。生きて奴に勝つことが大切ね」
会話後、コスタとラージュは急いで倒れている四人を回収し、後ろに下がった。像はこの一瞬の動きを見て、関心の声を漏らしていた。
「ほう。状況を判断して下がったか。いい判断だ」
像の声を無視し、ラージュは四人の治療を始めた。治療を受けたカイトやケアノス、ライアは痛みをこらえる表情をしたが、セアンがラージュの方を見た。セアンの視線に気付いたラージュはセアンの方を見て話しかけた。
「気が付いたセアン? 私の声は聞こえる? 返事はできる?」
「何とか。声は出されるけど、出すと痛い……ツツツ」
と、苦痛の表情のセアンが返事をした。カイト、ケアノス、ライアは苦しそうな声を上げていて、返事をすることも動くこともできる様子ではなかった。
「あのデカブツ、滅茶苦茶強いよ。弱点は分かったけど、どこにあるのやら」
「攻撃方法が厄介ね。自由自在に自分の思う物を出せたり消したり、攻撃にも防御にも使える」
「出る場所を把握できない。それが辛いね。分かれば対処ができると思うけど」
「うーん……でも、魔力がなければあの技を使えないと思うけど……あの像に魔力ってあるのかな?」
セアンの言葉を聞き、コスタは像の撃破方法を考えた。あの像に魔力があるのなら、いずれきっと魔力が切れるはず。その隙に弱点を探し、攻撃すれば勝てる。しかし、攻撃を続けてきた像からはまだ強い魔力を感じ、弱点の場所を完全に把握できていない。
だが、首のどこかに弱点はあるとコスタは考えていた。カイトが像の首回りで走り、像がカイトをどかすことに集中している光景をコスタは見ていた。これを見たコスタは、首回りに弱点があると予想していた。
しかし、これはあくまでもコスタの予想である。この状況を打破するため、あることを考えたコスタは立ち上がって口を開いた。
「ラージュ、皆を任せていい?」
「何をするつもりなの、コスタ? 変なことを言ったら全力で阻止するから」
「あいつの弱点を探してくる。首回りのどこかに奴の弱点はある。分かったらすぐに戻って皆に伝えるから。ラージュは皆の治療を集中して。それじゃあ、行ってくる!」
そう言って、コスタはスコープ付きのライフルを持って走り出した。突如走り出したコスタを見て、像は少し笑った。
「ほう、自暴自棄になったか。一人で私に勝てると思うなよ!」
像は答えを導き出せなかったコスタが、自暴自棄を起こして攻撃を行うだろうと考えた。しかし、その考えは外れていた。コスタはカイトが見つけた首元の弱点の場所を見つけるため、そしてセアンたちの回復の時間稼ぎを行おうと考えたのだ。
「一人で私の創造の力を対処できると思わない方がいいぞ。ほらっ、受けるがいい!」
像が腕を動かすと、コスタの足元が白く光った。足元が光ったのを察したコスタは、急いで横に飛んだ。その瞬間、元いた場所から白い柱が現れた。
「うわ……遅かったらあの柱に命中していた」
もし、動きが遅かったらと考えたコスタは、冷や汗を流した。その直後、再び足元が光出した。コスタは光が発したことを察し、急いでその場から離れた。
「クッ! 攻撃の隙ってのがないの?」
相手の攻撃はまだ続いている。コスタは魔力を開放し、ひたすら早く走って攻撃をかわした。だが、コスタの動きに合わせるかのように、白い柱も早い動きで床から現れていた。
「私の攻撃は自由自在だ。いくら早かろうが、かわすことは絶対にできない!」
と、像は自慢げにこう言った。コスタは像に対してこの野郎と思いつつ、ひたすら走った。しばらく走っていたコスタは体力が尽きそうになり、息が乱れてきた。そんな限界状態で走っていたコスタだったが、像のうなじ部分に小さな青い光を見つけた。
「む? そこか!」
像はコスタが後ろに回ったことを察し、急いで攻撃を仕掛けた。青い光を見つけたコスタは白い柱をかわしつつ、ラージュの元へ急いで戻って行った。あの光が弱点だ。そう思ったコスタは早くこのことを伝えないとと思っていた。
ラージュは急いで戻って来るコスタを見て、何かがあったのだと察した。コスタは横になって深呼吸をしながら、口を開いた。
「はぁ……はぁ……久しぶりに走った……もう少し鍛えておけばよかった」
「お疲れ様コスタ。あなたのおかげで十分な時間ができたわ」
「ありがとうコスタ。おかげで完全に回復したよ」
カイトの声を聞き、コスタは上を向いた。自分が作った時間のおかげで、セアンたちが完全に回復したのだ。
「後は私たちがやるわ」
「コスタ、ゆっくり休んでいて」
「後はやっちゃうよー!」
戦線復帰して、再び像と戦おうとするカイトたちを見て、コスタは急いで声を出した。
「待って! あいつの弱点、あったかもしれない」
「弱点が? 一体どこに?」
興奮するセアンだったが、コスタが一呼吸するのを見て、少し待った。コスタは自分の呼吸が落ち着いたのを確認した後、話を続けた。
「あいつのうなじ部分に青くて、小さな光を見つけたの。私が後ろに回ったら像が急いで攻撃を始めたから、多分あれが弱点だと思う」
「それだけ分かれば十分! あとは私たちがやるよ!」
話を終えた後、セアンはカイトたちと合流した。
「あいつの弱点はうなじの青い光だって」
「あいつの首元を走っていた時は気が付かなかったな。逃げるのに夢中で分からなかったのかな」
「そういうのってなかなか気が付かないのよね。でも、狙いが決まった以上、そこを狙うしかないわね」
「あれが弱点だったらいいなー」
「そうだね。それよりも、どうやってあいつの所に近付こうか」
セアンがそう言うと、カイトが声を上げた。
「俺が行ってくる。水を伸ばして凍らせて、あいつの首元まで飛んで行く」
「最初の攻撃のあれね。でも、二回目は警戒されるわ」
「なら、私たちで像の邪魔をすればいい」
ライアの言葉を聞き、ケアノスは頷いた。
「そうね。カイトの方に警戒されなければいいわね」
ケアノスがこう言った直後、白い柱が突如現れた。カイトたちは攻撃が来るだろうと予測し、横に飛んで攻撃を回避した。攻撃は回避されたが、カイトとセアン、ケアノスとライアの二組に分断されてしまった。だが、セアンはこの分断を好機と見ていた。
「丁度いい! 話通りケアノスとライアであいつの邪魔をして! 私とカイトであのデカブツの所に飛んで行く!」
「セアン、任せたわよ。カイト、無茶しないでね」
「オッケー!」
「ああ、できる限りしないように頑張るよ!」
ケアノスの言葉を聞いたカイトとセアンは、大きな声で返事をし、魔力を開放した。
「それじゃあカイト、一発お願い!」
「おう!」
カイトは刀を握り、強く振り払った。振り払ったと同時に勢いよく水が放たれ、一瞬で凍った。
「セアン、ちゃんと掴まっていろよ」
「もちろん」
セアンは返事をして、カイトの背中に掴まった。カイトはセアンが自分の背中を掴んだのを感触で確認すると、凍った水の上を走り出した。
創造の力の元ネタはありません。この話を書いている時に、いろんな所から柱や槍を出す奴が敵ならかなり強くて話が盛り上がるだろうと思って考えました。この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします!




