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追い詰められたのは


 像の首元に着地したカイトは、首付近にあると思われる像の弱点を探し始めた。そこに弱点があると察したのは、カイトが首元に着地した時に、像が慌て始めたからだ。分かりやすいと思いつつ、カイトは走り始めた。


「何かしらあるはずだ。このデカブツの弱点が! だとしたら、そんなに慌てねーっての」


 そう呟きながら、カイトは走り始めた。しかし、目の前に白い刃が飛んで来た。


「おわ! 何だ今のは!」


 カイトは驚いたが、飛んで来た白い刃をかわすことができた。後ろへ飛んで行く白い刃を見て、カイトはこの攻撃が像の仕業であると察した。


「あのデカブツ、何が何でも弱点を見つけさせないつもりか。悪いが、俺たちはあんたを倒すぞ!」


 何が何でも弱点を早く探し出し、早くこの戦いを終わらせようとカイトは思った。それから再び走り出したが、またもや白い刃が現れてカイトの行く手を阻んだ。


「かかって来い! お前がどんな手を使おうが、俺はあんたの弱点を見つけるぞ!」


 飛んでくる白い刃に向かって、カイトはこう叫んだ。




 セアンとケアノスは、攻撃の目的が自分たちではなく、首元にいるカイトに集中していることを知り、治療中のラージュの元に戻って行った。


「どうしたの、二人とも? カイトが像の所にいるようだけど」


「ちょっと気になったことがあったからね。それよりラージュ、怪我は大丈夫?」


「骨は治ったわ。もう戦えるから心配しないで」


「ああちょっと、無理しないでよ。治ったって言ってもすぐに動けるわけじゃないのに」


「動けるレベルまでに回復したわ」


 心配するライアをよそに、ラージュは大剣を持って立ち上がった。


「大丈夫って言っているじゃない。でも、心配してくれてありがとね、ライア。で、今カイトはどこにいるの? カイトに攻撃が集中してるらしいけど」


「あのデカブツの首元。何故かカイトに攻撃は集中しているの。見て、白い刃が動き回っているでしょ。そこにいるっぽい」


 セアンの話を聞き、ライアは慌てて像の方を向いた。像の攻撃は激しくなっていて、首元にいるカイトが無事かどうか分からなかった。


「なんか攻撃が激しくなっているよ、早く助けに行かないと!」


「でも、どうしてカイトに攻撃が集中しているのかしら?」


「そこに何かがあるからだよ。だから、あの像は私たちより優先してカイトに攻撃しているってわけ。早く行こう!」


 会話を終えたピラータ姉妹は、急いでカイトの援護へ向かった。




「うわあああああああああああああああああ! そんなのありかよォォォォォォ!」


 カイトの後ろからは、無数の白い刃が襲って来た。刀で斬って弾こうとしても、刃は消えなかったため、カイトは首元をぐるぐる走り回って白い刃から逃げるしかできなかった。だが、逃げるだけじゃダメだとカイトは思い、カイトはあることを考えた。


「グッ、一か八か!」


 襲ってくる刃をかわすため、カイトは下に飛び降りた。像の首下には、宝石のような物が埋め込まれている。そこの周りの装飾物に手をひっかけ、床に激突するのは避けられた。


「そこか!」


 像は創造の力を使い、柱を作って首元のカイトをどかそうとした。だが、カイトは床からせりあがる柱を見て、タイミングを見計らって飛び移ろうと考えた。


「今だ」


 カイトは魔力を解放し、高く飛び上がって柱の上に飛び移ることができた。そして、柱が伸びあがるため、再び首元に移動できるチャンスができた。


「もう一度首の所に行けるな」


「行かせはせん!」


 像がこう言った後、カイトが飛び移った柱は急に消滅した。


「え……嘘……そんなのってありか?」


 カイトが小さく呟いた後、カイトの体は下に落ちて行った。このままじゃあ落ちるとカイトは思ったが、白いオーラがカイトの真上に生まれた。


「そのまま潰してやる」


 像がそう言った後、白いオーラは形が変わり、巨大な重りと姿に変えた。重りにぶつかったカイトは何とか重りを破壊しようとしたが、重りは固く、破壊するのは難しいと感じた。


「ぐ……ヤベェ……」


 このままだと、上の重りによって潰されてしまう。だが、体が自由に動けない今、どうすることもできない。絶体絶命の中、カイトはセアンの魔力を感じた。


「カイトー! 今助けるよー!」


 セアンの声と共に、発砲音が響いた。セアンのありったけの魔力を込めた弾丸は、カイトの上の重りを破壊した。そして、ラージュが猛スピードで落下するカイトを救い出した。


「お待たせ、旦那様」


「ありがとう。それよりラージュ、怪我は大丈夫か? 骨が折れたって聞いたけど」


「ええ。無事よ。骨折はちゃんと治ったから安心してね」


 心配するカイトに向かって、ラージュはウインクをした。会話後、カイトとラージュはセアンたちの元に到着した。カイトは呼吸を整えた後、セアンにこう言った。


「みんな助かったよ。死ぬかと思った。そうだ、もしかしたら俺、あいつの弱点が分かったかもしれない」


「私も分かったかもしれないの。奴の弱点は首元のどこかにある。だから、そこにいるカイトに攻撃が集中した。弱点の近くに敵がいれば、デカブツだろうが何だろうが慌てるからね」


 セアンの話を聞き、弱点のことを理解しているなら話が早いとカイトは思った。


「皆、どうにかして首元に行くぞ。もう少しでこの戦いに決着がつく!」


「うん!」


「私も頑張る」


「さて、もうひと踏ん張りってところね」


「終わりまで耐えてね、私の体!」


「この戦いが終わったら、ちゃんと休むこと。それまで、もうちょっと頑張ってね!」


 ピラータ姉妹の返事を聞き、カイトは再び像の元へ向かった。だが、弱点のことを把握したカイトたちに白い槍が襲い掛かった。


「おわっ!」


「キャア!」


「白い刃の次は槍が飛んで来るのね」


 突如飛んで来た白い槍をかわしていたカイトたちだったが、カイトの後ろから白い四角形の物体が飛んで来た。


「ガッハァッ!」


「カイト!」


 カイトの悲鳴を聞いたセアンは、カイトの方を振り向いたが、動きを合わせるかのようにセアンの下から白い柱が現れ、セアンの腹に激突した。


「グファッ!」


「セアン! クッ! もう何でもありなの、創造の力ってのは!」


 ケアノスは周囲を見回し、次にどこから像の攻撃が飛んで来るか予測を始めた。そんなケアノスの様子を見た像は、笑い声を上げながらこう言った。


「どこに攻撃が来るか考えているようだが、考えても無駄だ。私の攻撃は自由自在、どこからでも攻撃ができるぞ!」


 そう言った後、ケアノスの上から白い長方形が現れ、落下した。が、コスタが素早くライフルで白い長方形を撃ち抜き、破壊した。


「ありがとうコスタ」


「油断していたら危険な相手ね……ここはもう一度逃げよう。ライア、カイトとセアンをお願い!」


「うん!」


 ライアは倒れたカイトとセアンを連れ戻そうとしたが、足元から白い光が発した。


「なっ……」


 動揺したため、ライアは一瞬だけ動きが止まってしまった。そして、ライアの足元から現れた白い槍がライアに命中し、傷を与えた。


「うわあああああああああああ!」


「ライア!」


 上に吹き飛んだライアを助けようとしたケアノスだったが、左右に現れた長方形がケアノスを挟んだ。


「グハァッ!」


 攻撃を受けたケアノスは、そのまま下に落ちてしまった。ラージュはコスタの元へ向かい、話しかけた。


「追い込まれたわね……」


「うん。どうにかしないと」


 カイト、セアン、ケアノス、ライアが倒されてしまった。目の前の強敵をどう対処するか、どうやって弱点を攻撃するか。そもそも弱点はどこにあるのか。二人は戦い中に浮かんだ難問をどうか解決するか考え始めた。


 創造の像ってどのくらいでかいって思う人もいると思います。大体の大きさは奈良の大仏と同じくらいの大きさだと思ってください。高評価とブクマをお願いします!

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