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終わりの時


 セアン、コスタ、ライア、ラージュはエンズがカイトとケアノスの相手に集中している隙を見計らい、エンズの背後から攻撃を仕掛けた。セアン、ライア、ラージュは同時に刃の衝撃波を発し、コスタは魔力で作った魔力の弾丸を放った。エンズは攻撃に気付いたのだが、避ける暇もなかった。


「へぇ、酷いことをするわねぇ」


 エンズが冷や汗を流しながらこう言った直後、セアンたちが放った攻撃はエンズに命中した。攻撃を受けたエンズは魔力を使ってすぐに傷の手当てを行ったのだが、服の首元がかなり破けてしまった。


「魔力で服は治らないのに」


 少しだけ露わになった胸元を見ながら、エンズはため息を吐いた。カイトは刀を持ち、ケアノスと一緒にエンズに攻撃を仕掛けた。エンズは左手に魔力を発し、カイトの一撃を防いだ。カイトは歯を食いしばり、刀に力を込めていた。そんなカイトの表情を見て、エンズは挑発するように笑みを浮かべた。


「どう? 私のおっぱい? でかいし美しいでしょ?」


「ババアの偽乳に興味はねぇよ! 気持ち悪い!」


 カイトは叫び声をあげ、力を込めて刀を振り下ろした。カイトの攻撃でエンズの左手を斬り落とすことに成功したが、エンズはカイトをバカにしたように笑いだした。


「私の体の一部を斬り落としても無駄なのよ! またくっつけることができるんだから!」


「だけど、完全に動かせるまでには時間がかかるんだろ?」


 カイトは笑みを浮かべてこう言った。その笑みを見たエンズは笑い声を止めてしまった。その隙に、ケアノスがレイピアを構えてエンズの胸元にあるコルボコントロールに向かって攻撃を仕掛けた。ケアノスの攻撃に気付いたエンズは、急いで上半身を後ろに反らしたが、動きを予測していたセアンが上空に飛び、カトラスを下に向けていた。


「汚いおっぱいを見せないでよ!」


 エンズに向かって、セアンは急降下を始めた。ものすごい勢いで落下するセアンを見たエンズは冷や汗を流しつつ、上半身を元に戻しつつ後ろに下がった。攻撃を外したセアンはそのまま地面に激突したが、エンズの背後にいたラージュが大剣を手にして迫っていた。


「これで避けたと思った?」


「クッ! 小賢しい手を考える!」


 エンズは創造の力を使い、巨大な竜を創り出した。竜を見たラージュは大剣を力強く振り下ろし、竜を真っ二つにした。これでラージュの攻撃を止めることができたと思ったエンズだが、ライアがエンズの懐に接近していた。


「くーらーえェェェェェェェェェェ!」


 叫び声を上げながら、ライアは両手のナイフを振り回した。最初の攻撃を受けたものの、エンズは創造の力で巨大な盾を作り、ライアの攻撃を防いだ。


「んなっ! こんなの作らないでよ、卑怯だよ!」


「戦いに勝つためには、卑怯な手を使うことも必要よ!」


 文句を言うライアに対し、エンズは笑いながらこう言った。その直後、発砲音が響き、コスタが放った弾丸が後ろから迫った。エンズは弾丸をかわしたのだが、コスタの弾丸は跳弾で、エンズが作った盾に当たって反射し、エンズの左の太ももを撃ちぬいた。


「グッ!」


「悔しい。コルボコントロールを狙ったのに」


 魔力で宙に浮いているコスタは舌打ちをし、地面に降りた。その後、エンズは鬼のような形相で地面に降りたコスタに接近し、攻撃を仕掛けた。


「よくもやってくれたわね。これはお返しよォォォォォ!」


 叫び声を上げながら、エンズは創造の力で二階建ての家と同じ大きさの大剣を創り出し、コスタに向かって振り下ろした。だが、途中でカイトとセアンが現れ、エンズの大剣を破壊した。


「悪あがきは止めろよ、みっともない顔がもっとみっともなくなるぞ」


「厚化粧が崩れるわよ。時間あげるから、化粧を直したら?」


 カイトはため息を吐き、セアンは笑みを浮かべながらこう言った。エンズは大剣の破片を見て呆然としていたが、再び怒りの炎を燃やし、大剣の破片をいくつか手にしてカイトとセアンに向かって投げた。カイトは飛んでくる破片をかわしてエンズに近付いたが、下から巨大な壁が現れ、カイトに激突してそのまま上がった。


「おーっほっほ! あんたの彼氏が上に行っちゃったわよ! さぁ? どうする?」


「カイトなら大丈夫よ。ツリー時代からカイトのことを知ってるんだったら分かるでしょ? この程度でカイトは死なない!」


 セアンは叫びながらカトラスを振り下ろした。エンズはセアンの攻撃をかわしたが、後ろから迫るケアノスとライアとラージュの姿を見て、笑みを浮かべた。


「一気に勝負を仕掛けるつもり? 面白いわねぇ!」


 エンズは笑いながらそう言って、セアンたちを見回した。ケアノスはレイピアを使ってエンズに何度も攻撃を仕掛けたが、エンズはその攻撃をかわした。


「隙あり!」


 ケアノスの攻撃をかわしたエンズは、反撃をしようとしたのだが、上から回転しながらライアが攻撃を仕掛けた。この攻撃で、エンズは右手を失った。


「だーかーらー、手を斬り落としても私は……」


「さっきの左手、治してないよね?」


 ライアの言葉を聞き、エンズははっとした表情になった。激しい攻撃が続いたせいで、斬り落とされた左手の治癒を忘れてしまったのだ。


「あ……」


「隙あり!」


 ラージュは叫び声をあげ、力強く大剣を振り下ろした。エンズはこの攻撃に気付くことができず、そのまま攻撃を受けてしまった。


「が……がぺぺ……」


 ラージュの大剣の刃は、エンズの頭にめり込んでいた。攻撃後、すぐにラージュは大剣を手にして後ろに下がった。


「こ……この女……」


 エンズは声を震わせながら、ラージュに近付いた。その時、上空からカイトが現れ、勢いを付けて刀を振り下ろした。カイトの攻撃はエンズの背中に命中し、大量の血を流した。


「があっ!」


「これだけ攻撃しても、コルボコントロールを破壊しないと意味ないんだよな」


 カイトは苦しそうに声を上げるエンズを見て、小さく呟いた。その時、セアンとコスタがカイトの方を見ていた。コスタが持つスナイパーライフルを見て、カイトはすぐにコスタが何をしたいか理解した。ケアノスたちもすぐに理解し、セアンがコスタの方を向いた。


「これがラストチャンスだと思って! やるよ!」


「ええ!」


 コスタはセアンに向かって発砲した。勢いよく回る弾丸はセアンに向かって放たれたが、セアンはその弾丸をケアノスに向けて弾いた。ケアノスは飛んでくる弾丸をライアに向かって弾き、ライアもその弾丸をラージュに向かって弾いた。


「カイト、お願い!」


「ああ、任せろ!」


 ラージュが弾丸を自身に弾いたことを察したカイトは、魔力を開放し、エンズの方を見た。


「これで……全部終わらせる!」


 カイトは叫び声を上げながら、飛んできた弾丸をエンズに向かって弾いた。弾かれた弾丸はエンズの胸元にあるコルボコントロールに向かって飛んだ。


「なぁ……ぐっ!」


 エンズは避けようとしたのだが、頭に受けた一撃が大きいせいで、動きを取ることができなかった。そして、弾丸はコルボコントロールを貫いた。




 エンズが作った兵隊と戦っていたメリスたちだったが、突如兵隊たちの動きが止まり、塵となって消えた。


「え……え?」


「何がどうかしたんだ?」


 シーポリスの戦士たちは、いきなり塵となる敵を見て動揺した。メリスは魔力を探知し、あることを察した。


「エンズの魔力が……消えた!」


 メリスがこう言った直後、全知の剣の声が響いた。


「メリスさん。この場から離れてください。カイトさんたちがエンズを倒しましたが、この要塞はエンズが創った要塞。創造主を失った今、崩壊してしまいます」


 この言葉を聞いたメリスは驚き、すぐにシーポリスの戦士に撤退命令をした。


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