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心強い言葉


 カイトたちがエンズと激しい戦いを繰り広げる中、全知の剣はヴィーナスハンドのリビングに大切に置かれていた。置いてけぼりにされた全知の剣だったが、強い察知能力でカイトたちとエンズの戦いを知ることができた。


 このままだとカイトさんたちがやられてしまう。それはだけは防ぎたいですね。


 そう思った全知の剣は、赤い宝石を光らせた。




 エンズの猛攻を防いだカイトたちだったが、決定打がないまま戦いが続くとまずいことを察し、速攻でエンズのコルボコントロールを破壊しなければと考え、エンズが首からぶら下げるコルボコントロールに向かって攻撃を始めた。だが、エンズは元からカイトたちの狙いがコルボコントロールであると察しており、その攻撃を見抜いていた。


「悪いけど、ここには攻撃させないわよぉ」


 エンズは挑発するような口調、態度をしながら首元にあるコルボコントロールを見せびらかした。それに向かってセアンはハンドガンを発砲し、コスタも急いでスナイパーライフルに持ち替えて狙撃した。カイトやケアノスたちは魔力を使って攻撃したのだが、それらの攻撃は道中に現れるエンズが作った巨大な壁に塞がれた。


「キャハハハハハ! そう簡単に攻撃させると思ってたのバーカ! 敵に弱点を晒すおバカさんがこの世に存在するわけないでしょうが!」


「このクソババア!」


「本当に腹が立ったわ! 斬ってやる!」


 カイトとセアンは魔力を開放し、エンズに向かって飛びかかった。その時だった。


「落ち着いてください。あの女は皆さんを挑発して熱くさせて、動きに隙を作らすつもりです」


 突如、全知の剣の声が聞こえたのだ。その声を聞いたカイトとセアンは動きを止め、周囲を見回した。その隙を見計らい、エンズは創造の力で剣を作り、カイトに迫った。


「カイトさん。あの女はあなたを狙っています」


「ああ。教えてくれてありがとう」


 カイトはエンズを睨み、放たれる斬撃をかわした。それを見たエンズは動揺した表情をし、その隙にセアンがエンズに向かってカトラスを力強く振り下ろした。


「グッ!」


 斬られたエンズは後ろに下がり、すぐに傷の手当てをした。


「全知の剣、あなたって遠くにいる人と話せるの?」


 セアンがこう聞くと、しばらく間をおいて全知の剣の声が響いた。


「はい。少しラグがありますが、言葉が通じます。この声が聞こえるのは、私を手にした人だけ」


「そっか。それじゃあこの声はあいつには聞こえないのね」


「その通りです。セアンさん、今は戦い中です。エンズは創造の力を使い、攻撃を仕掛けます。ハンドガンでエンズの左手を狙ってください」


 その後、セアンは全知の剣に言われたように素早くハンドガンでエンズの左手を撃った。エンズは武器を作って左手で持とうとしていたため、少しの隙があった。突如飛んできた弾丸を見たエンズは動揺し、その動けないわずかな時間のせいで弾丸を受けてしまった。


「チッ!」


 エンズは舌打ちをし、創造の力を使って無数の槍を創り出し、カイトたちに向かって放った。それを見たコスタはスナイパーライフルを使って破壊しようとしたが、コスタの耳にも全知の剣の声が聞こえた。


「コスタさん。ただの弾丸ではあの槍を破壊することができません。あの槍は市販の弾丸より硬いです」


「じゃあ、それより硬く、鋭利に作られた魔力の弾丸の方がいいってわけね」


「その通りです。それと、作るのは一つで十分です。槍は大量にありますが、セアンさんとカイトさんに向かって飛んできているのは一本だけ。二人が対処できない一本のみを破壊すれば大丈夫です」


「残りの槍は二人が破壊するってわけね」


「はい」


 コスタは言われた通りにすぐに魔力の弾丸を作り、スナイパーライフルにリロードした。そして、全知の剣が言うカイトとセアンを狙い、対処できない一本の槍を見つけ、引き金を引いた。弾丸は勢いよく飛んでいき、その一本の槍を破壊した。


「んなっ!」


 その様子を見ていたエンズは動揺し、驚いた表情をした。その時、武器を持ったケアノスとライアがエンズに接近した。


「ケアノスさん、ライアさん。二人がこの位置でコルボコントロールを破壊するのは不可能です。ですが、エンズの戦力を削ることが可能です。エンズは攻撃してもダメージは受けず、その傷はすぐに治ってしまいますが、強い攻撃を受けた分の治療速度は遅いです。大きなダメージを与えれば、それだけ隙の多い時間ができます」


「了解!」


「アドバイスありがとう」


 ケアノスとライアは礼を言った後、魔力を込めてエンズに攻撃を仕掛けた。


「グッ! クソにたかるハエみたいにうざったいわね!」


 怒りを露わにしたエンズは魔力を開放し、周囲にいるケアノスとライアを吹き飛ばした。ケアノスは地面に着地した後、エンズの様子を見た。エンズが受けた傷は徐々に治っているのだが、治癒速度はかなり遅かった。そのことに気付いたケアノスは大声で叫んだ。


「お願い!」


「任せて!」


 上から聞こえたのは、ラージュの声だった。ラージュは魔力と力を大剣に込め、エンズに向かって振り下ろした。それを見たエンズは冷や汗を流し、少しだけ左に動いた。その直後、ラージュの大剣がエンズの体にめり込んだ。




 エンズが創り出した戦士たちと戦っているメリスたちは、戦士の動きが鈍くなったことを察した。


「おい、敵の動きが鈍くなったぞ」


「本当だ。さっきより遅いぞ」


 シーポリスの戦士が話をしていると、突如敵の戦士の体が塵となって消えた。それを見たシーポリスの戦士は驚いたのだが、メリスはあることを察した。


 セアンたちがエンズに致命傷を与え、その影響で創り出された戦士が消えてしまったのだと。


 そう思ったメリスは動揺する戦士を見て、大声を発した。


「皆! 今のうちに敵を一掃するわよ! 弱くなったとしても、確実に倒さないと意味がないわ!」


 メリスの声を聞いた戦士たちは笑みを浮かべ、武器を持って大声を発した。


「そうだな! 皆、あともう少しだ!」


「セアンさんたちが頑張っているんだ。俺たちももうひと踏ん張りだ!」


「行くぞ!」


 戦士たちは戦意を燃やし、敵に向かって走り出した。




 連続して攻撃を受けたエンズは、後ろに下がって受けた傷を治療しようとしていた。だが、後ろに下がったと察したセアンはハンドガンでエンズに向かって発砲し、コスタも同じようにスナイパーライフルを使って攻撃を仕掛けた。弾丸を受けるエンズはコルボコントロールを守りながら後ろに下がった。


「クソッたれ! 面倒なことを!」


 エンズは右手を床に付け、カイトたちに向かって攻撃を仕掛けた。カイトたちは何かすると察したが、再び全知の剣の声が聞こえた。


「エンズが足元から攻撃を仕掛けてきます。今すぐ横に散らばってください」


「はい」


 カイトたちは横に散らばり、エンズの攻撃をかわした。エンズは自身の攻撃が当たらず、思い通りに戦えないことで苛立っていた。


「クソが! 何かがおかしい、一体何がどうなってやがる!」


 エンズはやけになり、滅茶苦茶な攻撃を仕掛けた。


「皆さん、エンズはかなりやけくそになっています。ですが、冷静になれば攻撃をかわせます。そして、やけになった戦士は大きな隙ができます。その隙にコルボコントロールを破壊してください」


 全知の剣の言葉を聞いたカイトたちは頷き、エンズの攻撃をかわしつつ、確実にエンズを倒すために距離を縮めた。


「クソがァァァァァァァァァァ! 調子に乗るなよ、雑魚がァァァァァァァァァァ!」


 エンズは怒りの咆哮を発しながら、魔力を開放した。


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