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速さと速さの衝突


 ライアは人形が持つナイフを破壊したのだが、人形は破壊されたナイフを利用し、ライアに攻撃を試みた。危機を察したライアは攻撃をかわしたのだが、武器を破壊してもまた再生すると知った。


「面倒いな……まだ大物がいるってのに!」


 ライアはため息を吐き、ナイフを構える人形に向かって走り出した。人形はライアが接近したことを察すると笑みを浮かび、接近したライアに向かってナイフを突き出した。ライアは体を回転させて攻撃をかわし、右手に持つナイフに魔力を注いだ。


「これでも喰らっとけ!」


 叫び声を上げつつ、ライアはナイフを突き出した。ナイフから鋭い風の刃が放たれたが、人形は二本のナイフを前に突き出し、迫ってくる衝撃波に当てた。衝撃波は人形が持つナイフの刃を粉々に粉砕したが、この光景を見たライアはまずいと思った。宙にナイフの刃の破片が星屑のように散らばる中、人形は笑みを浮かべながら猛スピードでライアに接近した。


「やば……」


 ライアが逃げようとしたその瞬間、宙に浮くナイフの刃の破片は勢いよく人形の元へ集まり、元の形となった。その際、ナイフの破片と人形の間にいたライアは、ナイフの破片に酔って傷を受けた。


「うぐう!」


 切り刻まれたライアは悲鳴を上げ、その場で片膝をついた。この攻撃を予測していたライアは反射的に魔力を使って防御力を上げていたのだ。だが、それでも鋭い刃はライアの体を傷付けた。


「痛いことをするね……あんたのせいで体中傷だらけだよ」


 と、ライアは人形を睨みながらこう言った。人形は笑みを浮かべつつライアに接近し、右手のナイフを振り上げて攻撃を仕掛けた。


「とどめを刺すつもり? こんなんで、私を倒せると思わないで!」


 ライアは叫びながら、左手に持つナイフを素早く振り上げた。ナイフの刃は人形の右腕に命中し、深い切り傷を作った。それを見た人形の表情から笑みが消え、動揺する素振りをした。


「おらッ!」


 隙を見せた人形に対し、ライアは左足を蹴り上げて人形にダメージを与えた個所に蹴りを命中させた。この一撃で、人形の右腕が吹き飛んだ。


「これで片腕ってわけだね。まぁ、あんた生き物じゃないから、再生しても驚きはしないけどね」


 ライアはナイフを構えながらこう言った。人形は笑みを浮かべ、その瞬間に斬られた右腕が生えるように再生した。


「トカゲのしっぽみたい」


 再生する光景を見たライアは、小さくこう言って人形に接近し、首元にナイフを突き刺した。人形は口を大きく開けて痛々しい表情となった。それを見たライアは、確実にダメージを与えていると察した。


「ダメージは受けるってわけね。それじゃあ、このままあんたを倒してやるわ!」


 ライアはナイフを持つ手に力を込め、刃を奥深くねじ込もうとした。だが、人形は魔力を開放し、ライアを吹き飛ばした。ライアは地面に着地し、苦しそうに動く人形を見た。


「吹き飛ばしても、ダメージを与えた以上まともに動けないようだね」


 人形を見て、ライアはそう言うと、再び人形に接近するため走り出した。人形はライアを見て、笑みを浮かべて同じように走り出した。


 あいつも早く動いて攻撃するつもりか。上等!


 ライアは走り出した人形を見て、同じことを考えていると思った。その後、ライアと人形は並走するような形で走り、走りながらナイフを振るって相手を攻撃した。


「グッ! とっとと倒れてよ!」


 両手のナイフを振り回すライアは、笑みを浮かべて同じ動きをする人形に向かってこう言った。だが、この言葉を聞いても人形は倒れなかった。しばらく走っていると、塔のような建物に近付いた。それでも二人は走ること、攻撃することを止めなかった。二人は壁を走るように塔の壁を走り、攻撃を続けた。


「グッ! まだ倒れないの?」


 壁を走る際、魔力を使っているライアは苦しそうな表情をした。人形は笑みを浮かべ、ライアと同じように動き、同じように攻撃を放っていた。このままだと体力で負けるとライアは思ったが、人形の首元を見たライアはあることを察した。


 ナイフは元に戻せるくせに、私が与えたナイフの傷は治ってない。なら!


 そう思ったライアは、迫りくる人形の攻撃を左手のナイフで振り払い、壁を蹴って人形に突進を仕掛けた。


「これで終わってェェェェェ!」


 人形に上乗りになったライアは、無我夢中で人形の首元の傷に向かって、ナイフを突き刺した。ナイフが刺さった瞬間、人形は大きな口を開けた。ダメージを与えたと察したライアは、何度もナイフを人形の首元の傷に向かって突き刺した。しばらくして、人形の傷が粒子状になり、そのまま消えて行った。


「やった……倒した!」


 ライアは人形を倒し、喜んだ。だが、自分が宙にいることを忘れたため、しばらくして地面に激突した。


「あだだ……はしゃぎすぎた……」


 地面にめり込んだライアはそう言いながら、頭にできた大きなたんこぶをさすりながら立ち上がった。




 ケアノスは自分と同じようにレイピアを持ち、攻撃を仕掛ける人形を見て動揺していた。


 どの技も私が使う技。まるで、自分と戦っているみたい。


 そう思いながら、ケアノスは攻撃をかわした。人形はケアノスを見ながらレイピアを突き出し、そこから衝撃波を発した。衝撃波はケアノスに向かって飛んだが、ケアノスは魔力のバリアを張って衝撃波を防御し、その衝撃で後ろに下がった。ケアノスは地面に着地し、迫ってくる人形を見た。


「接近するつもりね」


 ケアノスはレイピアを構え、迫る人形を見た。ケアノスに接近した人形はケアノスに向かってレイピアを突いたが、その動きを察したかのようにケアノスはレイピアを動かした。それから、ケアノスと人形のレイピアの突き合いが始まった。


 これ以上レイピアを突いても、無駄に時間を使うだけ!


 そう思ったケアノスは、魔力を開放してレイピアを振り、人形を吹き飛ばした。人形は空中で一回転し、地面に着地した。そしてその直後、人形は再びケアノスに向かって走り出した。


「何度でも攻撃してやるわ!」


 ケアノスはそう言ってレイピアを構えたが、足を滑らせてバランスを崩してしまった。その際、レイピアの刃は人形の左肩を貫いた。人形は驚いた表情をし、後ろに下がった。


 今の攻撃、どうして命中したの?


 苦しそうに左肩を抑える人形を見て、ケアノスは驚いた。その時、ケアノスは察した。人形は自分たち、ピラータ姉妹を元にして作られたコピーである。使う技、魔力もピラータ姉妹と同じである。だが、バランスを崩した際の攻撃が命中した。それを見たケアノスは、自分が使う技以外の技に対しては、知識がないから対処ができないと考えた。


 予想外の技を放つこと、それに対しての行動をとることができない。なら!


 ケアノスは人形に近付き、レイピアを構えた。人形は動きを対処するようにレイピアを構えたが、ケアノスは何も考えずに適当にレイピアを振るった。その動きを見た人形は驚き、構えを解いてしまった。その直後、ケアノスのレイピアは人形に命中した。


「これで!」


 適当に攻撃を振るったケアノスは、ひるんだ人形を見て動きを止め、魔力を開放して突きを放った。レイピアの突きを受けた人形は後ろに吹き飛び、後ろの壁に激突した。


「これなら……楽に勝てるかも」


 吹き飛んだ人形を見ながら、ケアノスは呟いた。だがその時、ケアノスの脳裏にサマリオとの思い出が浮かんだ。


「いいかケアノス? どんなに有利な状況でも、相手を倒すまで決して気を緩めるな。勝負が終わるまで、相手が倒れるまで、気を引き締めて動け」


 と、サマリオはケアノスにこう言っていたのだ。ケアノスはこの言葉を思い出し、深く深呼吸してレイピアを構えた。


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