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危険な力


 サビナの島の洞窟の最深部に到達したカイトたち。そこにいたのは創造の力を守る像。この力を求める野蛮な奴らや欲深い奴らをなくすため、カイトたちは像に戦いを挑む。


カイトは攻撃を仕掛けるため、高く飛び上がった。だが、カイトが動く先に像が反撃を行った。像の動きが予想より早かったため、カイトは動揺して一瞬だけ動きが止まってしまった。


「は……早い!」


「むぅぅぅん!」


 強烈な像の張り手が、カイトに向かって放たれた。巨大な手による張り手を受ければ、大きな傷を負うと察したカイトは、刀に魔力を発して渦を作り、凍らせて巨大な盾を作り出した。


「ほう。渦を凍らせて盾にしたか。動揺していたが、すぐに我に戻ったのか」


 像はカイトの行動を見て感心しつつ、攻撃を続けた。攻撃は防御された。だが、張り手を出した際の勢いは落ちておらず、手の平にぶつかったままのカイトを後ろの壁に激突させようとした。


グッ! まずい! このままじゃあ壁に激突する!


 カイトは後ろを見ながら心の中で叫んだ。像がこのまま自分を壁に激突させるという考えを察し、すぐに離れようとした。しかし、張り手の勢いで発する風が強いせいで身動きが取れなかった。そんな中、大剣を構えたラージュが高く飛び上がり、像の腕に大剣を振り下ろした。


「このデカブツ、カイトから離れなさい!」


 ラージュの大剣は像の腕に命中した。だが、ラージュの予想よりも像の腕は固く、切断することはできなかった。


「いい一撃だ。だが、この攻撃じゃあ私の手を切り落とすことは不可能だぞ」


 宙にいるラージュを見た像は、カイトを壁に激突させた後、左手を振り下ろしてラージュを床に向けて突き飛ばした。


「キャアアアアアアアアアアアアア!」


「ラージュ!」


 床にめり込んだラージュを助けようとしたセアンとライアだったが、像は二人を見つけて踏み潰そうと左足を上げた。


「その少女と共に、葬ってやろう」


「潰されてたまるか! お前みたいなデカブツは後ろへ倒れろ!」


 セアンは魔力を開放し、強風を発した。左足を上げた像は強風を受け、バランスを崩して倒れそうになった。


「むぅ……これはまずい」


 像は創造の力を使い、背中に当たるように柱を発し、バランスを保った。この隙にセアンとライアはラージュを助け、その場から離れた。


「ラージュ、大丈夫?」


「な……何とか……生きているから安心して……グッ!」


 と、答えたラージュだったが、体を動かす素振りはせず、苦しそうな表情になっていた。


「何とかじゃないよ。今の攻撃で骨が折れたでしょ」


「え……ええ……何本か逝ったわ。戦うのは不可能に近いわね」


「今の攻撃を受けて無事じゃないのは分かる。ラージュ、魔力で回復できる?」


「や……やってみる」


 ラージュは魔力を開放し、折れた体の骨の治癒をしようとした。だが、魔力を解放した際に痛みが走ったのか、なかなかラージュは治癒することができなかった。このことを察した、セアンはライアにこう言った。


「ライア、ラージュを連れて後ろに下がって」


「どうするのさ? もしかして、一人で戦うつもり?」


「そのつもり。あのデカブツを抑える。それで、カイトを助けてくる」


 そう言うと、ケアノスがため息を吐きながらセアンの横に立った。


「一人でどうにかできる相手じゃないでしょ。コスタに援護してって言ったから、二人であいつを倒しましょう」


「ケアノス、相手は結構強いよ。もしかしたらやられるかもしれないけど一緒に戦う?」


「もちろん、私も戦うわよ。ラージュがやられた。この始末はちゃんとあの像に返さないといけないからね」


「そうだね。それじゃあ二人であいつをぶっ倒そう」


「二人じゃないわ。三人よ。コスタも援護するって言っていたからね」


「あちゃー。失礼しちゃった。デカブツを倒した後でコスタに謝ろう」


「会話が長いぞ。戦うつもりがあるならさっさと来るがいい」


 像の言葉を聞き、セアンとケアノスは武器を構えなおした。


「長話しちゃったね。それじゃああいつを倒しましょうか」


「ええ。ササっと終わらせるわよ、セアン」


 会話を終え、セアンとケアノスは像を睨んだ。ライアは二人に頼んだと言って、ラージュを連れて後ろへ下がった。




 一方、攻撃を受けて壁に激突したカイトは、何とか壁から抜け出していた。体に痛みを感じていたが、カイトは魔力を使って痛みを抑えながら動いていたのだ。


「ぐ……イテテ……あのデカブツ、やりやがったな……おかげで酷い目に合ったじゃねーか……ツツツ」


 小さくぼやきながら壁から抜け出すと、セアンとケアノスの魔力を感じた。今、セアンとケアノスが前に出て像の相手をし、コスタが後ろから援護をしていると状況だと知り、急いでセアンとケアノスの所へ向かった。だが、その前に像はカイトが動き出したことを察し、カイトの方に振り返った。


「ほう。あの一撃を耐えたか。ただの小僧だと思っていたが、予想を外したか」


「そうだよ、そう簡単にくたばってたまるかよ! デカブツ、ぶっ倒してやる!」


 カイトは刀を持ち、高く飛び上がった。像は宙にいるカイトに向けて再び張り手の攻撃を放った。


「またさっきと同じ張り手の攻撃か。お前の動きはもう分っているぞ!」


 そう言うと、カイトは魔力を開放して周囲に水を発し、凍らせた。足場のように宙に浮いている氷を見て、像は一瞬戸惑った。


「氷が浮いているだと? お前、何をするつもりだ?」


「一度経験してみれば分かるさ!」


 カイトは中の氷を踏み、別の氷に向けて飛んで行った。像は宙に浮いた氷を利用し、移動の軌道を変えて攻撃すると考えた。


「高い技術の技だが……創造の前には無に等しい!」


 そう言うと、像は魔力を開放して地面を殴った。その際、強い地響きが起きたため、近くにいたセアンとケアノスは転倒した。


「うわっ! 何をするの! 結構荒いことをするね、あんた!」


「そんなこと言っている場合じゃないわ! なんだかまずいわセアン、一度引くわよ!」


 ケアノスは素早く立ち上がり、尻もちをついた状態のセアンを連れて後ろに下がった。その瞬間、目の前に白く巨大な槍が現れた。


「うわっ! 刺されるところだった……」


 現れた槍を見て、ケアノスは驚いていた。床から現れた白く巨大な槍は、カイトが発した氷を次々と壊していった。


「どうだ、これでお前の策は封じられたぞ!」


「そうでもないさ。あんた、先のこと考えてないだろ」


 カイトの答えを聞き、像は不審に思った。そして、自分で起こした行動が逆にカイトを手助けしてしまったと後悔した。カイトは氷の代わりに白く巨大な槍を蹴って飛びながら移動していたのだ。


「私の力を利用するとは……やりおる」


「俺もまずいって思ったけど、前の世界にいた時にやっていたゲームで壁を蹴りながら移動する操作があった。魔力があれば、その再現も楽にできるってわけだ!」


 そう言いながら、カイトは像の首元に飛びついた。カイトが近くにいると察した像は、慌てながら動き回った。


「む! 小僧! そこから離れろ、今すぐに!」


「急に焦りだしたな。この辺りに弱点があるってわけか」


「グッ……」


 正論を言われ、像は返す言葉を見つけることができなかった。像は首元にいるカイトを遠ざけるため、創造の力で刃を作り、カイトに向けて放った。


「いいから離れろ、小僧! でないと、この刃でお前を斬ってやるぞ!」


「やだね! 誰がそんな小物みたいな脅しに引っかかるかよ! このままお前をぶっ倒してやる!」


 像に対してカイトはそう言うと、首元のどこかにある弱点を探し始めた。


 しょっちゅうカイトたちがダメージを受けて倒されるけど、すぐに回復して戦線復帰する場面がこの作品では多いです。と言うか、自分の作品でこの手のパターンが多いです。どうして死にかけているのにすぐに回復するの? そんな疑問に答えます。魔力でどうにかしているからです。上手く魔力を使えば、治癒速度を早くすることができるからです。


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