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エンズとの対面


 サマリオと永遠の別れのあと、メリスは部下を助けるために部下の元へ向かった。カイトたちはエンズとの決着をつけるため、彼女がいると思われる塔の前にいた。


「いよいよだね」


 セアンがこう言うと、カイトたちは頷いた。カイトたちはすでに戦う覚悟を決めたと判断したセアンは、勢いよく塔の扉を開いた。中に入ったカイトたちは、入り口周辺を見回していた。


「何もないね」


 ぽつりと呟くように、ライアがこう言った。カイトは刀を手にし、何が起きてもいいように常に気を引き締めていた。そんな中、突如笑い声が響いた。


「そんなに緊張しないでよ」


 この声を聞いたカイトは、苛立ちを感じた。セアンは上を見上げ、怒鳴った。


「ツリー……いや。ブラッディクローボス、エンズ! 上にいるのね!」


「その通り! 私はこの塔の上にいるわ。逃げも隠れもしないからさっさと上がってきなさい」


「上等! 今すぐにお前の元へ向かってやる!」


 セアンは叫んだ後、カイトたちの方を見た。カイトたちは頷き、走って階段を駆け上り、エンズがいる最上階へ向かった。扉を開けた先には、黒くて大きなソファーの上に座るエンズの姿があった。


「それが本来のあんたの姿なのね」


「その通り。バカなガキのふりを長年するの、結構疲れたわよー」


 と、エンズは笑いながらこう言った。その時、コスタは素早くスナイパーライフルを手にして発砲し、カイトは刀から衝撃波を発した。エンズはため息を吐き、飛んでくる弾丸と衝撃波をかき消した。


「いきなり攻撃しないでよ。野蛮ねぇ」


「お前に野蛮とか言われたくない!」


「人を殺したくないけど……お前は別だ!」


 カイトとコスタはそう言ったが、ケアノスは二人を落ち着かせた。


「あの女を見て苛立つのは私も同じよ。だけど、怒らないで。あいつのペースに引き込まれるわ」


「あ……ああ」


 カイトは深呼吸し、一度落ち着いた。エンズは笑い始め、ソファーから立ち上がった。


「さて、あんたらはやる気満々のようだし……これ以上焦らしても面白くはないわね」


 と言って、エンズは創造の力を使って五体の人形を作り出した。カイトは何かをするつもりだと判断し、刀を強く握ってエンズに斬りかかった。


「激しい子ねぇ! いきなり私に斬りかかってくるなんて! 私、激しい子は大好きよ!」


「俺はお前みたいなクソババアは大っ嫌いだ!」


 セアンは急いでカイトに近付こうとしたのだが、エンズが作った人形がセアンに襲い掛かった。


「グッ!」


「セアン!」


 ラージュは大剣を持ってセアンを助けに行こうとしたが、目の前には同じような大剣を手にした人形が立っていた。


「この人形……もしかして……」


 人形を見たラージュは、あることを察してセアンたちに向かって叫んだ。


「皆! この人形、私たちと同じ武器を使うわ! あの女、わざと私たちと同じ力を持つ人形を作ったかもしれないわ!」


「ゲエッ! もしかして使う技も同じってこと?」


「その通り!」


 話を聞いていたエンズは、大声で笑いながら叫んだ。カイトはエンズの口に向かって刀を突き刺したが、エンズは笑みを浮かべた。


「ひはいわへぇ」


「刀が刺さったまんまじゃあ何言ってんか分かんねぇぞ」


「ひゃはふひへほ」


 カイトはエンズの腹を蹴り、その反動で無理矢理エンズの口から刀を抜いた。エンズは咳き込み、カイトにこう言った。


「痛いわねぇ。昔、暇つぶしでナンパした男のあれを咥えたことがあったけど、あれより強烈だったわぁ」


「あんなもんと俺の刀を比べんなよ」


 カイトはそう言って、再びエンズに斬りかかった。セアンは心配そうにカイトを見ていたが、視線に気付いたカイトはセアンにこう言った。


「何とかこいつにダメージを与えておく。セアンは目の前の敵に集中してくれ!」


「うん! 死なないでね、カイト」


「セアンもな」


 カイトはそう言って、エンズを外に向かって蹴り飛ばした。




 ラージュは人形の動きを見て、本当に自分と同じ動きだと思っていた。人形の攻撃の衝撃で、部屋の中にあったワイングラスや置物の破片が周囲に舞っていた。


「グッ! ここじゃあ戦えないわね」


 部屋の中では不利だと思ったラージュは、接近してきた人形の頭を掴み、強く壁に押し当てた。そして、無理矢理壁を破壊しつつ部屋の外に飛び出した。部屋の外には、足場がなかった。


「さぁ、このまま下に落ちましょう!」


 ラージュは人形に上乗りし、そのまま下の階に落ちて行った。下の階に落ちたラージュは人形から降り、様子を見た。


 私たちの体力、魔力、技をコピーした人形なら、この程度で倒れないはず。


 そう思ったラージュは、確実に人形を破壊するために、倒れている人形に接近した。だが、接近したと同時に人形は大剣を振り回しながら起き上がった。ラージュは攻撃をするだろうと予測していたため、すぐに大剣を使って人形の攻撃を防御し、後ろに下がった。


「やっぱりこうすると思った」


 ラージュはそう呟くと、大剣を構える人形を睨んだ。人形の口元が急に避け、笑みを浮かべるような形になった。それを見たラージュは不気味だと思ったが、すぐに我に戻った。


「戦いを快楽に感じているのね。気持ち悪い。性格までは、コピーできないってことね」


 笑みを浮かべた人形を見たラージュはそう言って、人形に攻撃を始めた。攻撃を受ける人形は、大剣を使ってラージュの攻撃を対処していた。


「はあっ!」


 ラージュは連撃の締めで、力を込めて大剣を振り下ろした。それに対し、人形は大剣を上に上げて攻撃を防御し、大剣を振るってラージュを吹き飛ばした。ラージュは空中で態勢を整え、人形を睨んだ。人形は宙に飛んだラージュに向かって、走っていた。


「追撃するつもりね」


 敵の動きを察したラージュはすぐに床の上に着地し、素早く横に走って人形の攻撃をかわした。攻撃をかわされたことを把握した人形はすぐにラージュの方へ視線を移し、攻撃を終えてすぐに大剣を構えてラージュに向かって走り出した。


「タフねぇ」


 回避行動を終えたラージュは、すぐに大剣を構えて迫る人形を睨んだ。人形は大剣を振り下ろして攻撃をしたが、ラージュは素早く横に移動して攻撃を回避した。その隙にラージュは大剣を突きの構えにし、人形の脇腹に向かって大剣を突いた。大剣の剣先は人形に命中し、脇腹から素材らしきものが飛び散った。だが、人形は攻撃を受けても動きは変わらなかった。人形は大剣を手にし、力を込めてラージュの方に向かって振るった。


「なっ!」


 ラージュは予測していなかった。たとえ人形でも、ダメージを受けたら動きは遅くなるだろうと考えていたのだが、動きは変わらなかったのだ。動揺したせいで、ラージュは攻撃を受け、勢いよく後ろに吹き飛んだ。


「ガハッ!」


 壁に叩きつけられたラージュは悲鳴を上げ、その場に倒れた。人形は再び笑みを浮かべ、大剣を構えてラージュに近付いた。


 このまま私を殺すつもりか。


 そう思ったラージュは、人形がやったように起き上がるときに大剣を振るって反撃しようと考えた。人形が近付いたタイミングに合わせ、大剣を振るった。だが、人形はラージュの攻撃を大剣で防いでいた。


「そう簡単には攻撃が当たらないか……」


 ラージュがそう呟くと、人形はラージュの大剣を吹き飛ばし、倒れているラージュに向かって大剣を振り下ろした。ラージュは魔力を開放し、急いで後ろに下がって攻撃をかわした。


 参ったわね。すぐに倒してカイトの元へ向かいけど……すぐに終わらすことができないわね。


 そう思いながら、ラージュは大剣を持って立ちあがった。


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