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動く屍たち


 シーポリスの援護のおかげで、カイトたちはシーポリスの本部があった場所に到着することができた。そこで待ち受けていたのはエンズが作り出した兵士たち。カイトたちは迫ってくる兵士たちに対し、攻撃を仕掛けた。だが、兵士たちもカイトとセアンに攻撃を仕掛けていた。そのことを察したカイトとセアンは敵の方に振り向きつつ、武器を振るった。放たれた衝撃波が音を発しながら敵の方へ飛んでいき、大勢の敵をまとめて吹き飛ばした。


「この程度でぶっ飛ぶなんて、結構雑魚ね」


「でも数が多いな。あまり力は使いたくないな」


 カイトは周囲を見回し、敵の数を確認してこう言った。そんな中、カイトたちと同じように敵の軍艦を突破したシーポリスの戦士たちが次々と上陸した。


「第三部隊到着しました!」


「俺たち第十七部隊も到着!」


「僕たち第三十三部隊も到着しました」


 戦士たちはメリスに近付き声をかけた。メリスは到着した戦士たちを見回し、こう言った。


「皆、敵は数で攻めてきているわ。一人一人の力は低いと思うけど、数ではこっちが負けてる。だから、敵を倒すときは一撃で倒すように! そして、最後まで気を抜かないように!」


 メリスの声を聞いた戦士たちは返事をし、エンズが作り出した兵士に向かって攻撃を始めた。




 エンズは笑みを浮かべながらこの様子を見ていた。


「ふふ。バカどもがバカ騒ぎを始めたわね」


 と言って、エンズは後ろから気配を感じた。エンズはさらに笑みを浮かべ、後ろを振り返った。


「ようやく動いたわね。創造の力ってのは何でもありだから楽しいわ」


 エンズはそう言って、笑い始めた。


「さーて、こいつらが戦いの場に出たら、どれだけカオスなことになるのか楽しみだわ!」




 カイトたちは兵士たちを倒しつつ、エンズがいると思われる塔まで走っていた。そんな中、一人のシーポリスの戦士が塔から何かが出てきたことを察した。


「ちょっと待ってくれ! 何か塔から出てきたぞ!」


 その言葉を聞いたカイトたちは止まり、コスタは望遠鏡を手に取った。


「え? シーポリス?」


 望遠鏡を使って何かを見たコスタは、思わずこう言った。気になったケアノスはコスタから望遠鏡を借り、確認を始めた。


「確かに、あの人シーポリスの制服を着ているわね……」


「え? マジで?」


 ライアは薄目で確認を始めた。そんな中、同じようの望遠鏡で確認をしていたシーポリスの戦士は驚きの声を上げた。ラージュとメリスがその戦士に近付いて話しかけた。


「どうしたの?」


「あ……あいつ。死んだって報告があったのに……」


「え?」


「死んだはずの戦士が動いているんだ!」


 この言葉を聞いたラージュはまさかと思ったが、その時シーポリスの戦士が悲鳴を上げた。前を見たラージュは、ゾンビと化したシーポリスの戦士が襲ってきたと判断した。


「まさかあの女、本部で殺したシーポリスの戦士を!」


 エンズの外道な行為を察したラージュは憤りつつ、襲ってきたゾンビをぶっ飛ばした。ラージュの大剣の一撃で吹き飛ばされたゾンビは倒れていたが、しばらくしてゆっくりとした動作で起き上がった。


「ラージュの一撃を受けても倒れないなんて……」


 ゾンビの体力を目の当たりにしたライアは、顔を青ざめてこう言った。セアンは歯を食いしばりながらも、ゾンビに銃口を合わせてハンドガンの引き金を引いた。放たれた弾丸はゾンビの頭部に命中し、頭部を破裂させた。


「ごめんね……」


 セアンは頭部を失って倒れるゾンビを見て、小さく呟いた。その直後、無数のゾンビが襲い掛かってきた。


「クソッ! ゾンビがやたらと出てきた!」


 カイトは刀を使ってゾンビを斬ったが、斬られて倒れても、しばらくしたらゾンビは起き上がった。


「やっぱり頭を破壊しないと倒せないのか」


 カイトはそう呟き、ゾンビを斬って後ろに倒し、悲鳴を上げているシーポリスの戦士たちに近付いた。


「おい、大丈夫か!」


「俺は大丈夫です」


「自分も」


 戦士たちは無事をカイトに告げていたのだが、戦士の一人が涙を流していた。


「お……俺は……俺は……」


 涙を流す戦士を見たカイトは、涙を流す理由を察した。その戦士の肩には深くかまれたような跡があり、そこからは紫色の液体が流れていた。


「もう……意識が……ぼーっとしてる……呼吸も……でき……な……い……あ……」


 その戦士は語っている途中で倒れてしまった。しばらくして、その戦士はゾンビとなってしまい、近くにいた仲間に襲い掛かった。


「クッ! ゾンビに噛まれたら即死するのね!」


 コスタはそう言いつつ、スナイパーライフルでゾンビと化した戦士の頭を狙い撃った。


「噛みつきには注意しろ! 噛まれたら一発で死ぬぞ!」


「魔力で攻撃しろ! 接近戦で挑んだら死ぬ確率が高くなる!」


「銃でもいいぞ! 銃を持つ者はゾンビの頭を狙い撃て!」


 戦士たちは遠距離での戦いを挑んだ。だが、一回でも噛まれたらすぐに死ぬという恐怖が戦士を支配してしまい、そのせいで余計な緊張感を生み、実力を出せなくなってしまった。


「う……また外れた」


「チクショウ! 魔力が上手に出せない!」


 戦士たちは自分の実力が出せずに戦うになることで焦り、かえって余計に実力を出せなくなってしまった。そんな中、一人の戦士は迫ってきたゾンビを見てこう言った。


「あいつ……イカナだ。イカナ・ロサマサだ。女好きでバカな奴だったけど……いい奴だったんだよ。どうしてゾンビなんかに……」


 その戦士は涙を流しつつ、手にしていた銃を手から放してしまった。ゾンビを貸した仲間はその戦士に近付き、肩に向かって噛みつこうとした。だが、メリスの剣がゾンビの頭に命中し、後ろに吹き飛ばした。メリスは涙を流す戦士の頬を軽く叩き、我に戻させこう言った。


「悲しいのは皆一緒! 私たちができるのは、ゾンビとなった仲間を倒して安らかな眠りをさせること! それが、私たちができる唯一のことよ!」


 メリスは喝を入れつつ、地面に落ちた銃を拾って戦士に渡した。戦士は涙を拭き、銃を受け取ってこう言った。


「はい……分かりました」


 その時、ゾンビとなったイカナが再び襲い掛かってきたが、戦士は銃を構えてこう言った。


「イカナ。俺があの世に逝ったら、あの世でいい女を紹介してくれよ」


 と言って、引き金を引いた。




 カイトたちはゾンビを倒しつつ、エンズがいる塔に向かって走っていた。


「エンズの奴! 殺したシーポリスの戦士たちを使ってゾンビにするなんて! 卑怯で卑劣なことをするわね!」


「絶対に許せない! 確実にコテンパンにしてやる!」


 セアンとライアは起こりながらこう言った。だが、前を走るカイトは嫌な予感を感じていた。


 本部にいた戦士たちは皆エンズに殺されたとしたら、同じように殺されたあの人もまさか……。


 カイトがこう思っていると、塔の入り口の前に一つの人影があった。敵だろうと察したカイトたちは武器を構えたが、その人影を見たセアンたちは驚いた。


「う……嘘……」


「そんな……」


 セアンたちは自分たちの目を疑った。カイトは目の前の人物から目を背け、嫌な予感が当たってしまったと思った。セアンたちはショックのあまり、手にしていた武器を落としてしまった。落下音を聞いたその人物はゆっくりとセアンたちの方を振り返り、近付いた。


「クソッ! やっぱりこういう展開になっちまったか!」


 カイトは刀を構え、襲ってくる人物の攻撃を弾いてセアンたちにこう言った。


「ここは俺に任せてくれ! セアンたちは、戦いが終わるまで後ろの方で隠れてくれ!」


 セアンたちはカイトの言葉を聞いても、動こうとはしなかった。やはりショックが大きいかとカイトは思いつつ、ゾンビと化したサマリオとの戦いを続けた。


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