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いざ、リベンジへ


 ここ数日、エンズは暇を持て余していた。シーポリス本部が崩壊した事件は全世界でニュースになっていたが、誰もエンズを討伐しようとは思ってもいなかったのだ。あまりにも強すぎると、人は戦意を失うのだなとエンズは思いつつ、ソファーから立ち上がって背伸びをした。


「さて、そろそろ本格的に世界を支配したいけど……邪魔者は確実に消しておかないとね」


 そう呟きつつ、エンズはカイトたちの顔を思い出していた。創造の力があれば世界を支配できるほどの兵器を作ることは一応可能である。だが、そんなことをしたらつまらないとエンズは思っていた。彼女はカイトたちを目の上のたんこぶのような存在だと思っていたが、そういう存在があるからゲームみたいで楽しいとも思っていた。


 エンズが大きなあくびをすると、遠くから魔力を感じた。エンズは少しウキウキしながら望遠鏡を手にして外を見ると、そこにはヴィーナスハンドがあった。


「リベンジをするつもりだね」


 そう呟き、エンズは笑みを浮かべた。周囲を見ると、そこには無数のシーポリスの軍艦があった。


「あいつら、まだあんなにいたのか」


 メリスの部下の一部を殺害したエンズだったが、シーポリスは世界中に展開する組織であることを思い出し、まだ自分に対して牙をむくような奴もいるのだとエンズは考えた。エンズは鼻歌を歌いながらベランダに出て、創造の力を手にした。


「さぁ! 私はここだよ! 倒せるもんなら倒してみなよ!」


 そう叫び、創造の力で無数の軍隊を作り出した。




 ヴィーナスハンドの先端にいるカイトとセアンは、ひたすら前を見ていた。航海を始めてかなりの時間が経過したのだが、エンズが作った軍隊が出てくる気配はなかったのだ。


「あいつ、攻撃を仕掛けてこないな」


「そうだけど、私たちの存在を察したら仕掛けてくるかもしれないわよ」


「このままあいつの元に行けたら……そんな簡単にはならないか」


 カイトはそう呟き、ため息を吐いた。そんな中、上にいるコスタからの連絡が入った。


「皆気を付けて。目の前からエンズが作り出したと思われる軍隊が迫っているわ」


「やっぱりそうなるか」


 カイトはそう呟くと、近くにいるメリスの方を振り向いた。メリスは自分が何をするかすでに理解しており、トランシーバーを手にして叫んだ。


「敵が接近中! あらゆる武器を使ってもいいから、敵を撃破せよ!」


「了解!」


「ブラッディクローのトップにシーポリスの底力を見せてやるぜ!」


「仲間たちの仇討ちだ! 行くぞ皆ァァァァァ!」


 シーポリスの戦士たちの大きな返事が、カイトとセアンの耳にも入った。それからすぐ、シーポリスの軍艦から大砲の音や銃の音が響いた。




 シーポリスの戦士たちは大砲や銃を使ってエンズが作り出した軍隊や兵士を攻撃していた。大砲の弾は火薬を大量に詰めたためか、エンズが作り出した強固な軍艦に大きなダメージを与えていた。


「うおっしゃ! 命中!」


 大砲の狙撃手は弾が軍艦に命中して大爆発した光景を見て、喜んで声を上げた。この一撃でエンズが作った軍艦の一部は破壊され、破壊された個所から様子を見る兵士の姿があった。銃を持った狙撃手はその兵士たちを見て、すぐに狙撃を開始した。


「とにかく撃て! 敵の数を減らせ!」


「鎧みたいなのを装備しているが、首元を狙え! あそこの部分の防御が薄いぞ!」


 狙撃手たちは敵の弱点を見つけ、攻撃を続けた。この攻撃で、敵の数がかなり減った。だが、エンズが作り出した軍隊はまだ大量に存在するのだ。望遠鏡を持ったシーポリスの戦士が、大声で仲間に向かって叫んだ。


「前方に敵が現れています! 大砲が動いている、こちらを狙うつもりだ!」


「上等! バリアを張って敵の大砲を跳ね返せ!」


「了解!」


 バリア発生器の前にいる戦士たちは返事をし、魔力を開放して機械を操った。しばらくして、船を囲むようにバリアが発生した。それでも、敵は大砲を使って攻撃を仕掛けた。


「あいつら、どうして俺たちがバリアを使っているのに、大砲を使っているんだ?」


「作られたばかりで、脳みそがないんじゃないの?」


 と、シーポリスの戦士はこう会話をしていた。放たれた大砲はバリアに弾かれ、敵の船に着弾して大爆発を起こした。その隙に、シーポリスの戦士たちはあらゆる武器を使って敵に追い打ちを仕掛けた。


「このまま敵を沈ませろ!」


「うォォォォォ! 負けるんじゃねぇぞォォォォォ!」


 シーポリスの戦士たちは威勢のいい声を発しながら、攻撃を続けた。仲間の勇ましい活躍を見た別のシーポリスの戦士たちも、大声を上げた。


「負けていられねぇな! 俺たちも仲間の仇を討つんだ!」


「そうだ! その気合いだ!」


「俺たちが何もしなかったら、死んだ仲間に申し訳ない! 気合で戦うぞ!」


 その後、シーポリスの戦士たちはエンズが作り出した軍隊に向かって果敢に攻撃を始めた。




 外からこの様子を見たエンズは、不敵な笑みを浮かべていた。


「バカな奴らね。いくら私が作った雑魚を倒しても、無限に作り出すことができるんだから」


 そう呟き、左手で持っているワイングラスをゆっくりと動かした。そんな中、エンズはあることを思った。


「そうだ、ヴィーナスハンドは?」


 シーポリスの戦士たちの激しい攻撃が目立ったせいで、エンズはヴィーナスハンドの姿を見失っていた。急いで望遠鏡を使って周囲を見たが、自分が作った軍隊はヴィーナスハンドと戦っていなかった。


「まさか……」


 エンズは嫌な予感がした。シーポリスの戦士たちが軍隊と戦う中、カイトたちが乗ったヴィーナスハンドが近くにいるのではないかと考えたのだ。エンズはすぐに兵士たちを作り出し、大声でこう言った。


「侵入者がいるかもしれないわ。見つけたらすぐに殺して私の元に連れてきなさい!」


 エンズの命令を聞いた兵士たちは敬礼をし、すぐに部屋から出て行った。その後、エンズはソファーの上に座り、小さく笑った。


「こざかしい手を使ってくるとは思ってもいなかったわ。ピラータ海賊団、そんなに私と戦いたかったのかしらね……」


 と言って、エンズは創造の力を見てほほ笑んだ。




 シーポリスの戦士たちが軍隊と戦ってくれたため、カイトたちは何とかエンズがいるシーポリス本部跡地に到着した。


「まさか、あんなに立派な建物だった本部が……」


 シーポリスの本部の建物を知っていたメリスは、エンズが作り出したセンスが悪い建物を見て絶句していた。セアンはメリスの肩を叩き、こう言った。


「うなだれる時間はないよ。早くエンズを倒そう」


「あいつ、私たちがここにいるってことを察したかもしれないわ」


「上等! けちょんけちょんにしてやるわよ!」


 ラージュとライアがこう言った。カイトは頷いて周囲を見回し、エンズが作った兵士が自分たちに向かって走ってくるのを見た。


「どうやら、敵はすでに俺たちがここにいるってことを察したみたいだな」


「そのようね。皆、気を引き締めて戦うわよ」


 ケアノスの声を聞いたカイトたちは、頷いて武器を構えた。エンズが作った兵士は槍を振り上げて接近してきたが、カイトは素早く刀を振るって兵士を斬った。


「遅いんだよ」


 斬られた兵士を見て、カイトは小さく呟いた。その時、カイトに向かって攻撃を仕掛けてくる兵士がいたが、セアンがハンドガンで敵を撃った。


「敵は多いけど、そんなに強くなさそうね」


「そうだな」


 カイトはセアンに返事をすると、すでに無数の敵に囲まれていると察した。


「囲まれたけど……」


「ま、雑魚に囲まれてもどうにかなるでしょ」


「そうだな」


 カイトとセアンが話をしていると、敵は一斉にカイトとセアンに攻撃を仕掛けた。


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