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創造の逆は破壊


 ヴィーナスハンドの修理が終わるまで、カイトたちは宿でどうやってエンズを倒すか、創造の力を対処するか話をしていた。


「あいつを倒すにしても、創造の力が本当に厄介だねー」


 ライアはコーヒーを飲んでこう言った。その言葉を聞いたカイトたちは困った表情をし、うなり声を上げた。


「確かにな。何でも創ることができる。それがいかに滅茶苦茶でとんでもない力なのか身に染みたよ」


「シンプルなものほど強いってわけね」


 カイトの言葉に合わせて、ラージュがこう言った。そんな中、あることに気付いたセアンが全知の剣を持った。


「ねぇ、創造の力を対処するにはどうしたらいい?」


 セアンの行動を見て、ケアノスはあっけにとられた。最初から、何でも知っている全知の剣に聞けばこの件はあっさり解決するからだ。全知の剣は宝石を赤く光らせながら、答えた。


「簡単なことです。創造の力で創られたものを壊しながら進めばいいだけのことです」


「は……破壊?」


 答えを聞いたカイトは、恐る恐る答えた。目を点にするセアンたちだが、全知の剣は話を続けた。


「あの力は何でも創ることができます。机、椅子などの家具はもちろん、大人な人たちのためのアダルトグッズ。そして、武器や兵器も想像だけでできあがります。ですが、所詮物は物。形あるものは壊すことができます」


「壊せばいい。そんな簡単な答えでいいのね」


 コスタの問いに対し、全知の剣は宝石を光らせてこう言った。


「そうです。物事を難しく考えると、答えは出ません。簡単に考えれば意外と困難が解決することもあるんです」


 この言葉を聞いたメリスはそうだったのねと呟きつつ、椅子のよりかさった。カイトも簡単な答えだと思いつつ、安堵の息を吐いた。だが、真剣な顔のセアンがこう言った。


「壊せばいいって簡単に言うけど、エンズの奴もこの答えにたどり着いていると思うから、そう簡単に壊すことはできないかもね」


「そうね。きっと、あいつも対処をしてくるはず」


 セアンとケアノスの会話を聞き、浅はかな考えを持ってしまったとカイトは思った。


「それじゃあ話はまとまったし、後はヴィーナスハンドの修理が終わるのを待つだけ」


「そうね。でも、ただ待つだけじゃ意味がないから、あいつを倒すためにも鍛え直さないと」


「ケアノスの言う通り。次こそ、必ずあいつを倒す」


 その後、話を終えたカイトたちは準備運動を軽く行い、外に出て行った。




 エンズは暇を持て余していた。暇つぶしのため、自分が作り出した二つの軍隊を戦わせ、自分はその戦いの様子を見ていた。エンズの耳には、大砲の音や銃の発砲音が聞こえ、かすかに刃と刃がぶつかり合う音が聞こえた。最初、エンズはこの様子を見ていたのだが、徐々に飽きてきた。


「やっぱり同じ力だと見どころがないわね。やっぱり、派手にしないと」


 そう呟くと、エンズは創造の力を使って巨大なロボットのようなものを出した。二つの軍隊はロボットの存在に気付き、一斉にロボットに攻撃を始めた。だが、ロボットは放たれる弾丸や砲弾の爆発を受けても、ひるむこともなく、傷が付くこともなかった。そして、ロボットは右手で近くにあった軍艦を下から持ち上げ、ひっくり返した。軍艦の上にいた創られた兵士たちは真っ逆さまに海に向かって落ち、消滅した。もう一方の軍艦はロボットに向かって突進し、爆発した。ロボットもこの爆発を受けて左足を失い、バランスを崩して転倒した。


「あっさり終わるのね。つまらない」


 あっという間に終わった戦いを見て、エンズは強大な魔力で作った塊をロボットと軍隊の上に放ち、消滅させた。その後、エンズは大きなソファに座り、腐りかけているサマリオの死体を見た。


「そろそろ腐ってきたわね。うざいハエも出てきたし」


 エンズはそう言って、サマリオの死体にたかるハエに向かって火の魔力を放ち、塵にした。その時、エンズの脳裏に面白いアイデアが浮かんだ。


「そうね。またあいつらがくるだろうし、その時に面白いことをしてあげましょう。あいつら、きっと驚くわね」




 カイトたちは打倒エンズのため、鍛え直していた。カイトは木刀を持ち、同じように木刀を握っているセアンを見ていた。


「手加減しないぞ」


「オッケー。それじゃあ私も」


「手加減の有無はどうでもいいけれど、魔力を使わないでね。物が壊れるから」


 ケアノスの言葉を聞いたカイトとセアンは頷き、同時に走りだした。カイトとセアンの木刀が同時に振り下ろされ、ぶつかり合った。互いの木刀がぶつかったと認識したカイトとセアンは後ろに下がり、二回目の攻撃を放った。この攻撃も、相殺で終わった。


「やるね、カイト」


「セアンもな」


 短い会話を交わした後、セアンは後ろに下がってカイトと距離を開けた。カイトは次の攻撃のため、距離を開けたと考え、すぐに前に走り出した。セアンは迫るカイトを見て、笑みを浮かべた。


 何かを仕掛けてくる!


 セアンの笑みを見たカイトは、動揺しつつも、攻撃のためにセアンに向かって走り続けた。セアンはカイトの方を見て、勢いよく木刀を投げた。


「んなっ!」


 回転しながら飛んでくる木刀を見たカイトだったが、すぐに自分が持っている木刀を振り上げて飛んでくる木刀を弾いた。だが、この一瞬の隙にセアンはカイトに接近し、背後から抱きしめつつ前に倒した。


「がっはっ!」


「あっはっはー。私の勝ちだねー」


 地面の上に倒れているカイトを強く抱きしめながら、セアンはこう言った。カイトは悔しいと思ったが、セアンがなかなか離れなかった。


「なぁ、そろそろ離れてくれねーか? もう一度摸擬戦やろうぜ」


「えー? 摸擬戦よりもあっちの本番やろうよ」


「おい、今はくだらないジョークを言ってる場合じゃないんだぞ」


「だからこそだよ。気を引き締めるのも必要だけど、緩めることも必要だよ。固くなった状態で戦っても、あいつに勝てないよ。さぁ、敗者は勝者の言いなりになりなさーい」


 と言って、セアンは無理矢理カイトのズボンを下ろそうとした。だが、ケアノスのレイピアがセアンの頬をかすった。


「次は私と戦う?」


「すみません、ふざけてました」


 ケアノスの殺気あふれる表情を見て、セアンは冷や汗を流しながらこう言った。


 その後、カイトたちの摸擬戦は続いた。数時間後、カイトたちは傷だらけになって、ばててその場で倒れていた。


「あー。疲れた」


「結構戦ったな、俺たち」


 ライアとカイトは息を切らせながらこう言った。ケアノスは右手を上に上げ、呟いた。


「これで、少しは強くなったかしら?」


「だといいんだけど。でも、何もしないよりましよ」


 ケアノスの一言に対し、ラージュがこう言った。コスタは空を見て、セアンにこう言った。


「私たち、勝てるかな?」


 コスタの問いに対し、セアンはすぐに答えた。


「勝てるかなじゃない。勝たないといけないの。エンズの奴を放置してたら、世界が大変なことになる」


「セアンの言う通りだな」


 話を聞いていたカイトが口を開いた。セアンたちは、一斉にカイトの方に注目した。


「勝たないとダメだ。エンズの奴がこれから何をするか分からない。今、シーポリスが崩壊したんだ。戦えるのは俺たちしかいない」


「そうね。全知の剣もあるし、いざとなったら弱点を聞いて戦いましょう」


「ラージュの言う通りね。とにかく、やれることはやって、あいつにリベンジするわよ!」


 セアンの言葉を聞いたカイトたちは返事をし、立ち上がって再び鍛錬を始めた。それから数日後、無事にヴィーナスハンドの修理が終わり、カイトたちはすぐにエンズ討伐に向かった。


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