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創られた軍隊


 カイトたちは時間をかけ、シーポリス本部があった場所に近付いた。メリスは外を見て、目を丸くして驚いていた。


「そんな……シーポリス本部が……」


 その様子を見たカイトは、周りの光景が変化してしまったことを察した。


「あそこに、シーポリス本部があったのか」


「ええ。まさか、創造の力で……」


 メリスは禍々しい雰囲気を放つ要塞を見て、カイトに説明をしていた。セアンはカイトに近付き、こう言った。


「とにかく行こう。このまま突っ込むよ」


 セアンの言葉を聞いたケアノスは驚き、セアンに近付いたが、ケアノスが何を言いたいのか理解しているセアンはケアノスの方を向いた。


「隠れながら近づこうって言いたいんだね。でも無駄だよ。あいつは私たちがいるって察しているようだし」


「確かに隠れながら進むって言いたかったけど……」


「ケアノス。セアンの言う通りよ。あいつはすでに攻撃を始めてるわ」


 望遠鏡を持っているコスタがこう言った。コスタは望遠鏡をケアノスに渡し、急いでスナイパーライフルを手にして攻撃を始めた。ケアノスは望遠鏡を見て、要塞から黒い鎧を身に着け、禍々しいオーラを発した軍団が武装した船に乗って接近していることに気付いた。


「もう私たちがいるってことに気付いているってわけね」


「そう。コスタ、狙撃お願い」


「了解」


 コスタはセアンに返事をすると、そのまま狙撃による攻撃を続けた。メリスは部下に攻撃を命令し、ケアノスとともに敵の様子を見た。


「あいつらの船、結構早く動くわね」


「コスタの狙撃が効いてない。早く動いて、防御力もある。厄介ね」


「近付いた時に叩きたいけど、今の状況じゃああいつらの強さが分からないわね」


「とにかく今は遠距離戦を仕掛けて、船を沈めて敵の数を減らしましょう」


 ケアノスとメリスが話をしている中、シーポリスの戦士が歓声を上げた。シーポリスの攻撃により、一部の敵の船を沈めることに成功したのだ。


「とりあえず一隻は落とせたわね」


「これで敵の数が減ればいいんだけど……」


 ケアノスとメリスは沈んでいく敵の船を見て、小さく呟いた。




 エンズは魔力の鏡で外の様子を見ていた。沈む船を見て、ワイングラスを手にして笑みを浮かべた。


「愚かね。船を落としても私の兵隊はそんなことでは死なないわ。もし、数が減ったとしてもまた創ればいいのよ」


 と言って、手の中にある創造の力に魔力を込めた。その直後、エンズの目の前に無数の黒い塊が発生し、それらは人の形となっていった。


「さぁ行きなさい、兵隊たちよ。あの忌々しい海賊と生き残りのシーポリスを始末してきなさい」


 エンズの命令を聞いた兵士たちは、敬礼をした後エンズの部屋から出て行った。エンズは海の方を見て創造の力に魔力を込め、兵士たちのために大きくて大量の武器が搭載された軍艦を作り出した。兵士たちはその軍艦に乗り、カイトたちに向かって軍艦を動かした。その様子を見たエンズは椅子に戻り、再び座った。




 シーポリスの激しい攻撃はまだ続いていた。ライアとラージュは武器を持ち、敵がいつヴィーナスハンドやシーポリスの軍艦に潜入しても、戦えるように構えていた。


「私たちの出番あるかな?」


「あるわよ。あいつらがそう簡単に倒されると思っていないわ」


 ラージュがそう言うと、後ろの方から気配を感じた。ライアはラージュの様子を見て後ろを振り返ると、そこには這い上がってきた兵士がいた。


「敵がいたァァァァァ!」


 ライアは叫んだが、その前にラージュが兵士に近付き、大剣を振り下ろした。この一撃で兵士は倒れ、そのまま塵となって消えた。


「とりあえず一発で倒すことができたけど……」


 ラージュは周りを見ながら大剣を構えた。ライアは魔力を探知し、すでに何人かの兵士がヴィーナスハンドの周りを取り囲んでいることを察知した。


「うわぁ、いつの間にか敵に囲まれてるよ」


「セアン! 敵がいるけどどうする? このまま突っ込む?」


 ラージュに質問を聞かれ、セアンはすぐに答えた。


「そりゃーもちろん、このまま突っ込む!」


 セアンの返答を聞き、ケアノスはすぐにヴィーナスハンドを前進させた。メリスはトランシーバーで部下に前進するように命令をすると、剣を手にした。


「私も戦う」


「ありがとう。でも、シーポリスの軍艦に行かなくていいの?」


「私の部下は強いわ。並大抵のことじゃあ倒れない」


「分かった。それじゃあ一緒に戦って!」


 セアンがこう言うと、海にいた兵士たちは一斉にヴィーナスハンドに乗り込んだ。カイトは目の前に着地した兵士に対し、刀を振るって攻撃した。カイトの刀は兵士に命中し、一撃で倒すことができた。


「立派な鎧を装備しているくせに、一発でやられるんだな」


「そうだね。こいつら、意外と雑魚だね」


 セアンはカトラスとハンドガンを駆使し、敵を蹴散らしていた。そんな中、敵の船がヴィーナスハンドに接近していた。


「あいつら、直接私たちを叩くつもりだよ」


「上等! かかってきなさい!」


 セアンは敵の船を見てライアにこう答えたが、その直後にシーポリスの軍艦が敵の船に体当たりを仕掛けた。


「このちっこい船の相手は我々に任せてください!」


「こいつら結構雑魚です! 秒で片付けます!」


 メリスの部下はそう言って、敵に攻撃を始めた。


 戦いが始まって時間が経過した。ヴィーナスハンドに乗り込んできた兵士は倒したのだが、要塞から現れる敵の数は減ることがなかった。


「クッ、あいつら……いくら弱いとしても数が多すぎる」


「創造の力がある限り、無限に沸いて出てくるからね」


 カイトとセアンは額の汗をぬぐいながらこう言った。そんな中、巨大な敵の軍艦が迫ってきた。


「やっぱりデカブツを出してきたわね」


 コスタはそう言って、急いで操舵室にいるケアノスにこう言った。


「急旋回して! 敵が突進をしてくるわ!」


「了解! 皆、海に落ちないようにどこかに捕まってて!」


 ケアノスはそう言うと、急いで旋回して敵の体当たりをかわした。ヴィーナスハンドと敵の軍艦の距離が近くなったタイミングで、敵の軍艦から兵士がヴィーナスハンドに向かって飛び降りてきた。


「くるって予想してたよ!」


 カイトはそう言いながら、ヴィーナスハンドに着地した兵士に攻撃を仕掛けた。戦いのさなか、セアンとライアがカイトに加勢し、一緒に敵に攻撃を始めた。そんな中、敵の軍艦の様子を見ていたライアは何かに気付き、ケアノスにこう言った。


「あいつら、また近付いてくるつもりだよ! 逃げることってできる?」


「やってみる!」


 敵が再び近づいてくることを察したケアノスは、ヴィーナスハンドのスピードを上げようとした。だが、敵の軍艦の速度が上だった。あっという間にヴィーナスハンドとの距離が縮まってしまったのだ。


「また近付いてくる!」


「あいつら、私たちが全滅するまで何回でも同じことをするわね」


 迫ってくる敵の軍艦を見て、ライアとラージュがこう言った。その時だった。シーポリスの軍艦が敵の軍艦に向かって突進を仕掛けたのだ。


「あなたたち!」


 部下の身勝手な行動を見て、メリスは驚いた。すぐにトランシーバーを手にし、部下に連絡を仕掛けた。


「ちょっと、大丈夫?」


「大丈夫です! 今のうちにエンズの要塞に向かってください!」


 部下の言葉を聞き、メリスは少し悩んだ。だがその時、別の敵の船から無数の大砲が放たれ、その一部がヴィーナスハンドに命中した。


「うおあっ!」


「キャアッ!」


 爆発の衝撃で、ヴィーナスハンドの一部が吹き飛び、破片や火の粉を浴びたカイトたちが傷を受けた。


「皆!」


 メリスはカイトたちに近付いたが、敵の容赦ない攻撃は休むことなく続いていた。


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