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歯車は勢いよく回る


 全知の剣が目を覚ました翌日、ベーキウたちは洗い終えたヴィーナスハンドへ戻り、改めて話をすることにした。


「全知の剣……さん? えーっと、どうやって呼べばいいんだ?」


 カイトが机の上に置いてある全知の剣を見て悩んでいると、全知の剣の宝石が赤く光り出した。


「普通に全知の剣と呼べば大丈夫です。名前に関しては、あなたたちが勝手に決めても問題ありません」


「そうだね……まぁ、ずーっと全知の剣って言ってたから、それでいいかな?」


 セアンの言葉を聞いた全知の剣は、再び赤く光ってこう言った。


「あなたたちに問題がなければそれで大丈夫です。それで、何か私に聞きたいことがあるんですか?」


 全知の剣の質問に対し、ケアノスは少し考えてこう聞いた。


「一つ質問。あなたは今、どれだけのことを知っているんですか?」


 問いを聞いた後、全知の剣はこう答えた。


「今現在起きていること、全部把握しています」


「じゃあ、このニュースも?」


 ライアはテレビで流れている事件を全知の剣に見せた。今、ニュースではどこかの国で悲惨な殺人事件が起きたが、証拠がなくて警察が困っていると流れていた。そのニュースを見た全知の剣は、しばらく間をおいてこう答えた。


「この事件の被害者、シグラム・マーフィーアを殺害したのはゼオラム・ファラオーンです。ゼオラムは殺害する目的で、シグラムが住むアパートの窓を破壊して侵入し、帰宅したシグラムを待ち伏せて鋭利な包丁でシグラムの体を突き刺し、殺害。その後は人目が付かないように急いで窓から逃げ、近くのエグマイル山に逃げました。凶器となった包丁は、エグマイル山にある滝の下に投げ捨てられました」


 全知の剣の説明を聞いたメリスは、すぐにこのことを別のシーポリスに伝え、すぐに警察に報告するように指示した。その数分後、速報があったのか、ニュースキャスターが慌てて原稿を手にし、読み始めた。


「速報です! シグラム・マーフィーアさんを殺害したとして、知人のゼオラム・ファラオーンが逮捕されました! ゼオラム・ファラオーンは現場近くのエグマイル山に隠れていて、報告を受けた捜査員が山を調べ、隠れていたゼオラム・ファラオーンを逮捕しました! なお、凶器となった包丁は滝の下にあったと情報があります!」


 この言葉を聞いたカイトたちは歓喜の声を上げ、拍手を始めた。


「すごいすごいすごい! あっという間に犯人を見つけちゃったよ!」


「全部のことを知っていますから」


 目を輝かせるライアに対し、全知の剣はこう言った。その後、ラージュは何かを思いついたような表情をし、全知の剣に近付いた。


「ねぇ、カイトは何回私たちのことを考えて……」


「何言ってんのよ!」


 とんでもないことを口にしたラージュに対し、ケアノスはラージュの口をふさぎ、コスタは全知の剣に近付いてこう言った。


「今のあほらしい質問には答えなくていいから」


 とは言ったものの、ちょっと気になったためコスタは小声でこう言った。


「で……カイトの性事情に関してちょっとだけ教えてほしいな……」


「あなたたちのことを思い浮かべながら、何回か……」


「言わなくていい! 言わなくていいからァァァァァァァァァァ!」


 カイトは大声を上げながら全知の剣を手にし、振り回した。その様子を見たセアンは笑みを浮かべながら、顔を完熟したトマトのように真っ赤にしながら照れているカイトに近付いた。


「全部が終わったら、後で……ね?」


 セアンの笑みを見たカイトは、大きなため息を吐いた。




 シーポリス本部。本部の奥深くにはカイトたちが依然見つけ、サマリオに預けた創造の力が頑丈な守りの中、保管されていた。特定の人間でなければ発動するセンサーが周囲に張られており、創造の力の前には一部の人間しか開けられないパスワード式の鍵がある。そのパスワードの桁は十桁であり、一か八かで開けようとしたら一生できないレベルであり、一度間違えたら警報が鳴る仕掛けがあるのだ。


 そんな頑丈な守りがある中、一つの影が創造の力に近付いた。センサーが赤く光り出して影を照らそうとしたのだが、センサーは突如火花を散らし、その場に落ちた。その影はパスワード式の錠に近付き、手をかざした。すると、錠は開き、その場に落ちた。影は扉を開け、中にある創造の力を手にしようとした。その時、後ろから殺気を感じた。


「知らなかったのか? もし、センサーが何者かの手によって破壊されたら、すぐに連絡が送られるようになっているんだ」


 影の後ろにいたのは、武装した部下を引き連れたサマリオだった。サマリオは手にしたライトを影に当て、その正体を見て驚いた表情をした。


「お……お前は!」


 サマリオが声を出した直後、影はサマリオたちに向かって動いた。




 その後、落ち着いたカイトたちは改めた様子で全知の剣にこう言った。


「それじゃあ本題に入るよ」


「本題? ブラッディクローに関してですね」


 全知の剣の返事を聞き、カイトたちは頷いた。


「あいつらの目的って何? 昔に作られたぶっ飛んだ力の道具を集めて世界征服でもしたいっての?」


 ライアがこう聞くと、全知の剣はすぐに答えた。


「その通りです。彼女らの目的は世界征服です。彼女は古代に作られた不思議な道具を手にし、その力を使ってこの世界を牛耳るつもりです」


 この言葉を聞き、カイトは転生前に見ていたマンガやアニメを思い出した。


「世界征服とか……本気でそんなことをしようとする奴がいるのか」


「彼女の場合は、ただのわがままですが」


 全知の剣の言葉を聞き、あることに気付いたメリスが口を開いた。


「彼女って……ブラッディクローのボスは女ってこと?」


「そうです。ブラッディクローのボスは女です。そして、昔から生きている魔女でもあります」


 この言葉を聞き、ライアは二年前に参加したあるイベントを思い出した。


「そうだ! 魔女はいる! 二年前、私がオーシムボで料理のイベントに参加したことを覚えてる?」


「ああ。確かゴクラクバードの卵が優勝賞品だったイベントだよな」


「それにさ、魔女っぽい人がいたでしょ!」


 ライアの言葉を聞き、カイトは魔女だと自己紹介をした老婆が参加していたことを思い出した。


「ああ! 確かに魔女って名乗った人がいた気がする! まさか、あの人がブラッディクローのボスか?」


「いえ、グラム・リムダーではありません。ブラッディクローのボスの名は……」


 その時、メリスの携帯が鳴り響いた。メリスは頭を下げて謝った後、急いで外に飛び出した。全知の剣は少し間を開けた後、ブラッディクローのボスの名前、そして正体を告げた。話を聞いたカイトたちは目を開け、絶句した。それからしばらく、カイトたちは驚きのあまり、身動きすらできなかった。




 電話のため、一度外に出たメリスは改めて話を始めた。


「すみません。今、席を外しました」


「め……メリス……メリス少佐……はぁ……はぁ……」


 電話の相手のシーポリスの戦士は、慌てているのかかなり荒い呼吸をしていた。心配したメリスはその様子に驚きつつ、こう言った。


「何かあったの? とりあえず、深呼吸して落ち着いて話をして」


「すみません……落ち着いていられません。今……今……本部で大変なことが起きました」


「大変なこと?」


 メリスは電話相手の戦士の様子がかなり混乱し、慌てているため、大きな事件が起きたと把握し、覚悟を決めた。


「一体何が起きたの?」


「お……落ち着いて聞いてください……創造の力が何者かに奪われました。そして……サマリオ大佐が何者かによって……殺されました」


 サマリオが殺された。この言葉を聞いたメリスの動きは止まり、手にしていた電話を落としてしまった。

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