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全知の剣の使い方


 カイトたちは念願の全知の剣を手にすることができた。今、カイトたちはヴィーナスハンドのリビングに集まり、床の上に置いてある全知の剣を見つめていた。


「にしても、本当にきれいな剣だねー」


 と、口を開いたのはセアン。セアンは全知の剣を手にし、握って上に上げた。ケアノスは全知の剣の刃を見て、あることに気付いた。


「刃が鋭くないわね」


「え? どれどれ」


 カイトがケアノスの横に立ち、刃を見て驚いた。


「本当だ。武器としては使えなさそうだな」


「武器よりも、おまじないか占いで使うものかもしれないわね」


 コスタがこう言った。その後、ライアはセアンから全知の剣を借り、じーっと見つめた。


「にしても、これどうやって使うんだろう? 魔力をちょっと込めて握ってるけど、なーんも反応しないよ」


「魔力が弱いんじゃない? ちょっと貸して」


 ラージュはライアから全知の剣を受け取ると、魔力を込めた。カーペットの隅が少しだけ上に浮き、カーテンも強風で煽られているかのように激しく動いた。それでも、全知の剣は反応しなかった。


「魔力は関係ないのね。本当に使い方が分からないわねー」


 魔力を抑えながら、ラージュがこう言った。その時、シーポリスの軍艦からメリスが資料を持って現れた。


「皆。一応全知の剣について調べまわったんだけど……ちょっとこれを見て」


 メリスは資料を机の上に置き、カイトたちに見るように促した。カイトは一枚の資料を手にし、驚きの声を上げた。


「全知の剣のことが書かれたサイトを全部調べたのか」


「ええ。二年前にも皆が調べたって聞いたけど、今は二年前以上にそれなりに情報が書いてあったわ」


「二年もあると、やっぱり情報は増えるんだね」


 ライアはそう言いながら、資料を見た。その言葉を聞いたメリスは、小さくため息を吐いて答えた。


「でも、この情報が正確かどうかは分からないわ」


「その通りね。ネットの世界は嘘が多いから」


 ラージュは資料を読み終え、立ち上がった。


「さて、ずっと頭を使ったら疲れて爆発しちゃうわ。コーヒーとクッキー用意してくるわ」


「それじゃあ私も手伝うよ」


 ライアは読んでいた資料を机の上に置き、ラージュと一緒にキッチンへ向かった。コスタは息を吐き、資料を置いて立ち上がって背伸びをした。


「それじゃあ私は外で軽くストレッチしてくるわ。座りっぱなしだと体が硬くなる」


「分かった。もし、変な奴が周りにいたら教えてくれ」


 カイトの言葉を聞いたコスタは、頷いて返事をした。そんな中、ケアノスだけはずっと資料を見ていた。


「ケアノス、休まなくていいのか?」


「ええ。ただ読むだけなら疲れないから、安心して」


「そうか。けど、休む時は休んでくれよ」


「安心してくれてありがとう」


 ケアノスは笑みを浮かべてカイトにこう言った。カイトは立ち上がって軽く腰を回した。


「さて、トイレに行くか」


「じゃあ私も」


 セアンがカイトの後に続いて立ち上がろうとしたその瞬間、セアンがバカなことをするだろうと予測したケアノスは腕を伸ばし、セアンを引き留めた。


「バカなことをする暇があるなら、私とメリスの手伝いをしなさい」


「へーい」


 セアンは渋い顔をして返事をした。




 その頃、シーポリス本部にて。サマリオはブラッディクロー関連のニュースを調べていた。カイトたちの手によって幹部たちが倒され、そのことを知ったブラッディクローのボスが何かしらの動きをするだろうとサマリオは予測していた。サマリオがパソコンの画面を見ていると、ツリーが部屋に入ってきた。


「おじゃまー」


「どうしたツリー? 私に用事でもあるのか?」


「暇だから相手してほしくてねー」


「見て理解できると思うが、私は暇ではない。暇なら仕事をしたらどうなんだ?」


 サマリオはそう答えながら、パソコンの操作を続けた。そっけない様子のサマリオを見て、ツリーは文句を言いながら近づいた。


「ちょっとー、かわいい女の子が相手してくれって言ってるのよー? そーゆー時は相手するのが相場ってもんじゃなーい?」


「かわいい女の子は自分でかわいいとは言わない」


「それじゃあ私はブスだって言いたいのー?」


「自分で考えるんだ。暇人は暇人を見つけて話をしててくれ」


 態度を変えないサマリオを見て、ツリーは頬をヒマワリの種を詰め込んだハムスターのように膨らませた。


「ケチー。少しはさぼってもいいじゃないのー?」


「お前はさぼりすぎだ。本部にいるんだったら、仕事をしろ。さぼっていると、変な上役に目を付けられるぞ」


「かわいい女の子だから許してくれると思うんだけどなー」


「スケベ野郎だったら許してくれるが、他の野郎は許してくれないだろうな」


 と言って、サマリオはひたすらパソコンの操作をしていた。ツリーはずっとパソコンを操作しているサマリオを見て、パソコンの画面をのぞき込んだ。


「何見てんの? エロ動画?」


「仕事中にそんなものを見るわけがないだろうが。ブラッディクロー関連の情報を集めているんだ」


「そんなのがネット世界に散らばってる?」


「意外とな。それに、幹部も全員倒れたから何かしら動くと思う」


 サマリオがこう言った時、シーポリスの戦士が慌ててサマリオの部屋に入ってきた。


「報告です! ついさっき入った連絡ですが……メリスさんとピラータ海賊団の皆さんが……ついに……ついに全知の剣を見つけました!」


 この報告を聞いたサマリオはすぐに立ち上がり、後ろにいたツリーはその衝撃で後ろに倒れた。


「本当か!」


「はい! 今、メリスさんたちはどうやって全知の剣を使うかいろいろと試しているようです」


「ということは、まだ使い方を知らないのか」


「そうです。ですが、いずれ使い方を理解し、ブラッディクローのボスの正体を暴くのも時間の問題でしょう!」


 シーポリスの戦士は笑いながらそう言った。その話を聞いたツリーはゆっくりと立ち上がり、背伸びをしてサマリオの部屋から出て行った。


「じゃーねーサマリオ。なんか重要そうな話をしてるみたいだから、私はお邪魔みたいねー」


「ああ。すぐに自分の仕事を見つけて作業してくれよ」


「あいあーい」


 ツリーは左手を上に上げ、ぶらぶらと動かしながら去って行った。サマリオはようやく出て行ってくれたと思いつつ、ため息を吐いていた。




 カイトたちは、いろんなことを試して全知の剣を使おうとしていた。宝石部分を叩いたり、刃部分に軽く衝撃を与えたり、棒術のように振り回したりと、いろんなことをした。だが、全知の剣は反応しなかった。


「うーん。何をやっても無駄ねー」


 ケアノスは砂浜の砂を全知の剣にかけてこう言った。カイトは海水が入ったバケツを全知の剣の上に流したが、それでも反応しなかった。


「砂をかけても、海水をかけても反応しない。魔力にも反応しなかったしなー」


「火であぶってみる?」


 ライアがライターを持ってこう言った。ケアノスは、それはまずいと言い、ライアにライターをしまうように言った。そんな中、ラージュがいろんな液体が入った小瓶を持ってやってきた。


「とりあえず、私が調合した薬をかけてみましょうか」


「それもやめて。紫色の煙が上がっている変な薬をぶっかけるわけにはいかないわ」


 異臭がするため、ケアノスは鼻を抑えながらこう言った。その時、大人なオモチャを持ったセアンが全知の剣に近付いた。


「剣が男なら、これらに反応するかもー」


 セアンは鼻歌を歌いながら大人なオモチャを全知の剣の握り手の下に近付けたが、ケアノスが大人のオモチャをすべて奪い取り、海に向かって投げ捨てた。


「あああああ! 結構高かったのに!」


「あんなくだらないものを買うのに無駄なお金を使わないで!」


 ケアノスがセアンを叱っていると、海を見ていたカイトは海から何かがくる気配を感じた。


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