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海賊団に仲間入り?


 カイトは夢を見ていた。日本にいた時の夢だった。両親が事故で亡くなった後、一人ぼっちで目覚めた部屋を見回し、カイトは寂しさと空しさを感じていた。いつも聞こえていた親の声は聞こえない。行ってきますと親に言うと、行ってらっしゃいと返事が来る。海斗はその返事を聞いて中学へ向かっていた。だが、それは過去の話である。その時は、行ってきますと言っても返事はなかった。


 何でこんな夢を見るのだろう? 思い出したくない昔のことなのに。


 カイトはそう思いながら、目をつぶった。その後、カイトは親戚の援護もあり、何とか中学を卒業することができた。それから、ずっと働いていた。同年代は高校生になり、部活や仲間との交流で青春を謳歌しているが、カイトはその中でずっと働いていた。仕方ないと思いつつも、カイトは皆みたいに遊んだりしたいと思っていた。




 そんな夢を見ていると、突如鼻に花のような匂いが漂った。そして、背中には誰かに抱かれているのか、何かしらのぬくもりを感じ、顔も何か柔らかいものに当たっていた。


「何だ、こりゃ? どうなってんだか……」


「あ、起きたのカイト? おはよ~」


 突如セアンの声が聞こえた。カイトは目を凝らしてみると、今自分がセアンの抱き枕となっていることを察していた。


「のおぁっ! セアン! 何で俺の横に? と言うか、一緒に寝てたのか? あれ、そんな記憶はないけど……」


「やっぱり、昨日のこと覚えてないの? 疲れてたから記憶がないんだねー、あはは」


 セアンはそう言いながら、欠伸をしながら起き上がった。セアンの服はパンツとへそが見えるくらい短いランニングというとんでもなく過激な服装だった。カイトは慌ててベッドから降りようとしたが、足をぶつけて落ちてしまった。


「いつつ……」


「慌てない、慌てない。落ち着きなよ。どうしてそんなに慌てるのか分からないけど」


「俺に近付くと胸が見えるけど……ちょっと、隠してくれよ」


「ん? ああ、大丈夫。カイトに見られても私あんまり気にしないから」


「少しは気にしなさい。カイトが照れてるでしょうが」


 と、ケアノスが扉を開いてやって来た。カイトに迫るセアンを見て、呆れていたケアノスは手に持っていたタオルをセアンに向けて投げ、セアンはタオルを受け取った。


「昨日は驚いたわ。セアンがあなたと寝るって言って無理矢理寝室に連れて行ったから、変なことをしなくてよかったけど」


「俺はそんなことしないよ。恥ずかしかったり、相手が嫌がるだろうと思って手を出さないよ」


「へー、しっかりしているのね。私たちの同年代の男は皆発情しているからスケベだって私は思っていたから……真面目な子もいるのね」


 ケアノスはセアンを見て、カイトが変なことをしていないと察した。カイトはただ女の子が少し苦手なんだけどなと心の中で呟いた。


「ま、あなたが何もしてないってことは分かったわ。とにかくライアがご飯できたって言っているから、早くキッチンに来てね」


 ケアノスの話を聞き、セアンとカイトはキッチンへ向かった。移動中、カイトはセアンの海賊船を見渡していた。少女だらけの海賊船というわけか、船の中はそれなりに整理されていて、かなり綺麗だった。そんなことを思っていると、キッチンに着いた。


「おはよー、パンとコーヒーが出来立てだからおいしいよー」


 と、エプロン姿のライアがこう言った。すでにラージュがコーヒーを飲んでいて、先に戻ったケアノスがパンを食べていた。皿の数は六枚。その上にパンが置いてあった。


「まさか、俺の分もある?」


「まーねー。お客さんだしね。さ、冷めないうちにどうぞ」


 ライアはそう言ってコーンスープが入ったカップをカイトに渡した。セアンは席に座ってパンを食べていて、ケアノスは食事を終えて食器を洗い棚に持って行っていた。そんな中、カイトはコスタがいないことを察し、セアンにこう聞いた。


「なぁ、コスタって子は? 姿が見えないけど」


「見張り中。マストの上の見張り台にいるよ」


「見張り?」


「今日の見張りの当番がコスタなの。何かあったら、そこのベルが鳴り響くの」


「見張りか。やっぱり必要なんだな。この船、女の子しかいないからか?」


「そうよ。私たち、海賊の世界じゃ有名だから、結構襲われるのよね。まぁ大体返り討ちにするけど。と言っても、コスタの狙撃で敵がヴィーナスハンドに近付く前にやられるけどね」


 洗い物を終えたケアノスがこう言った。その後、カイトは食事を終えて食器を持って行った。そんな中、セアンが声をかけてきた。


「ねぇカイト、これからどうするの? 行く当てとかある?」


「行く当てか……」


 話を聞き、カイトは改めて考えた。このままセアンたちと共にいても、ドラートレのことを知らない自分がいては迷惑になるだろう。それに、海賊とはいえ姉妹の邪魔をしてはいけないと考えた。どこかに旅立つと答えようとしたが、その前にセアンがこう言った。


「行く当てがないならさ、このまま私たちの仲間になっちゃいなよ。転生したのが本当だったら、この世界のこと全然わからないでしょ? だったら、私たちと一緒にいた方がいいって」


 その言葉を聞き、カイトは驚きの声を上げた。セアンの言葉を聞いて、真っ先に賛成の声を上げたのはライアとラージュだった。


「私は賛成! 買い物の時、男手があると楽だから! 重い物を持つ時魔力を使うから、結構疲れるのー」


「私も。女だらけの海賊じゃあ何かしら不安だし、カイトがいれば安心だわ」


「ありがとう二人とも。二人ならすぐに賛成してくれるって信じてたよー!」


 セアンはライアとラージュに抱き付いたが、ケアノスは考えるような声を上げてこう言った。


「でもいいの? 海の生活に対して知識不足みたいだけれど……」


「それは私が教えるから大丈夫、問題ないよ」


 と、セアンはケアノスにこう言った。それと同時に、コスタが欠伸をしながらキッチンに入って来た。


「朝から何が理由で騒いでいるの? 見張り台まで声が響いたわ。あ、カイト。おはよう」


「実はね、カイトをこの海賊団に入れようと思っていてさー」


「私は大賛成、文句なし。それよりライア、コーヒーどこ? 眠気を覚ましたい」


 コスタはそう言って、コーヒーを淹れて飲み始めた。というわけで、カイトはセアンたちの海賊団に入ることに決まった。カイトはこんな簡単に決まっていいのかと思ったが、何も知識がない状態での生活は難しいと思い、セアンたちの選択に甘えることにした。




 数分後、カイトはセアンとライアと買い物に出ていた。そんな中、買い物袋を持ったカイトはセアンにこう聞いた。


「なぁ、改めて聞くけどいいのか俺をセアンたちの仲間に入れても? 邪魔にならないか?」


「大丈夫だよ。それに、カイトはとてもいい人。私の直感ってよく当たるの、カイトが私たちの仲間になっても害にはならないって。むしろ、逆にいろいろと有利になる」


「勘って……それでいいのか? そんな理由で……」


「セアンの勘はよく当たるの。だから船長として、五つ子の長女として皆信頼してるの。もちろん、私も信頼してるの」


 と、ライアが近付いてこう言った。カイトは不安な気持ちがあったのだが、セアンとライアの話を聞き、自分がセアンたちの海賊に入っても大丈夫だろうと思ってきた。そう思っていると、カイトはあの世で女性が言っていた言葉を思い出した。あなたは五つの運命とすぐに出会うと。その五つの運命は、まさかセアンたちのことなのだろう。と、心の中で思った。


 カイトの名前表示は、ドラートレに転生してからはカタカナにしています。理由としては、幼なじみと一緒に異世界転生では、日本から転生した主人公とヒロイン、剣地と成瀬は互いを呼びあう時には漢字ですが、他の異世界のキャラが二人を呼ぶときはカタカナにしています。連載中、それがかなり面倒だったので、次の作品はカタカナ統一にしようと思ったからです。


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