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ウイークの仇討ち


 二年ぶりにロスの顔を見たカイトは、心の中で怒りを爆発させていた。二年前、カイトたちの目の前でウイークがロスの手によって惨殺された。助けることができなかった。その後悔の気持ちと、ロスへの怒りが今のカイトの力になっていた。


 カイトは居合を放つため、ロスに接近した。先にロスに向かって走っていたセアンは、カトラスをロスに向かって振り下ろした。ロスは槍を使って防御し、セアンの後ろにいるライアを見た。


「おーおー、多人数で俺をボコすつもりか。まぁ、カワイ子ちゃんだから問題ないけど」


 そう言って笑みを浮かべると、ロスはセアンの腹に蹴りを放って蹴り飛ばし、ライアの攻撃を防御した。


「ぐっ!」


「悪いねぇ。俺はマゾじゃないから、痛いの大嫌いなんだよ」


 攻撃を防御されたことを察したライアはセアンを連れて後ろに下がり、ロスから距離を取った。


「ほーん。後ろに下がったねぇ」


 ロスはそう言うと、下から迫るカイトの姿を見つけ、攻撃しようとした。だが、その前にカイトの居合が放たれた。


 早い。


 カイトの斬撃を見て、ロスは心の中でこう思った。避けることも、防御することもできないことを察したロスは、仕方なく居合を受けることにした。


「一発入ったか……」


 攻撃を終えたカイトは、素早く後ろに下がってロスの様子を見た。カイトの居合切りはロスの腹に命中していて、傷が深いせいで血がかなり流れていた。


「二年前よりいい攻撃じゃねぇか。それなりに鍛えたってことだな」


 ロスはため息を吐いてこう言ったが、その直後にコスタの銃弾がロスの腹に命中し、それに合わせてケアノスがロスに接近し、魔力を開放してレイピアをロスの腹に向かって突いた。


「グウッ!」


 攻撃を受けたロスは、悲鳴を上げて後ろに下がった。だが、ロスの背後に迫っていたラージュの大剣がロスに直撃した。


「グワァァァァァ!」


 ラージュの攻撃を受けたロスは、悲鳴を上げながら大きく吹き飛んだ。




 吹き飛ばされたロスは、その場で大の字で横になっていた。


「あーあ、俺の予想より強くなってるよ……こりゃ、本気を出さないとまずいな」


 と言って、ロスは魔力を開放して傷を手当てし、走ってくるカイトとセアンを睨んだ。


「俺がやられたらガーティブが心配するからな。悪いが、やられるわけにはいかねーんだよ」


 ロスは槍を構え、カイトとセアンに向かって走り出した。


「あいつがくる」


「うん。私たちとやるつもりだよ! カイト、気を付けてね!」


「ああ!」


 カイトとセアンは短い会話をした後、槍を振り下ろしてくるロスの攻撃を防いだ。


「セアン!」


 カイトはロスの槍を防ぎながら、セアンの名を叫んだ。セアンは左手のハンドガンでロスの腹に銃口を合わせ、引き金を引いた。


「チッ」


 ロスは攻撃を止め、セアンが放った弾丸に対して槍を振るって弾き飛ばし、素早くセアンに向かって槍を振り下ろした。


「ヤベェ!」


 カイトはロスの足を蹴り、転倒させた。だが、転倒した直後にロスは素早く立ち上がり、刀を持って迫るカイトを睨んだ。


「下手な小細工をするじゃねーか」


「その小細工を受けて、情けなく転倒したくせに」


「あまりそういうことを言うなよ。恥かくだろうが」


「悪事に加担している時点で、立派な恥だろうが」


 カイトとロスはこう言うと、同時に武器を振り下ろした。その後、カイトとロスは武器を振り回し始めた。セアンはロスの動きを見て、ハンドガンの引き金を引いた。発砲音を聞いたロスは、一瞬だけセアンの方を見た。


 今だ!


 カイトはこの一瞬を見逃さなかった。カイトはロスの足を蹴ってバランスを崩させ、刀を力強く振り下ろした。


「ガハァッ!」


 斬撃を受けたロスは、悲鳴を上げた。その直後、セアンが放った弾丸がロスの脇腹を打ち抜いた。


「グッファッ!」


 セアンが放った弾丸を受けたロスは、後ろに吹き飛んだ。


 こいつはやべぇ。マジで俺を殺しにかかっている。


 ロスは傷の手当てをしながら、心の中でこう思った。だが、遠くにいるコスタがスナイパーライフルの引き金を引いた。放たれた弾丸はロスの右足を貫いた。


「ガッ……ガァァァァァ!」


 銃弾を受けたロスは、足を抑えながら悲鳴を上げた。その後、カイトとセアン、そして合流したケアノスたちが傷を負ったロスの元へ走り、攻撃を仕掛けた。


 チッ……もう少し魔力を使わないと、半殺しにされちまう! 仕方ねぇ!


 ロスは舌打ちをし、体内の魔力を放出した。この魔力を感じ、カイトは冷や汗をかいた。




 カイトは魔力を開放したロスを見て、ついに本気を出したと思った。


「気を付けて皆。あいつ、本気を出したわ」


 ケアノスがこう言った直後、ロスがケアノスに接近した。


「危ない!」


 セアンはロスの動きに反応し、ハンドガンの引き金を引いた。ロスはセアンの方を見て、飛んでくる弾丸を槍で叩き落し、セアンに接近した。


「悪いねぇ、そんなオモチャの鉄砲が俺に通用しないんだよ」


「うるせぇ!」


 カイトはロスに向かって飛び蹴りを放った。だが、ロスは左腕でカイトの飛び蹴りを防御し、左腕を地面に向かって振り、カイトを地面の上に叩き落とした。


「ガハッ!」


「まずはお前からだ、小僧!」


 ロスは倒れたカイトに向かって、槍を突き刺した。カイトは攻撃を受ける前に体を転がせて攻撃を回避したが、完全に回避することはできず、ロスの槍はカイトの背中をかすった。


「グッ!」


「かすっただけか。惜しい」


「惜しくないわよ!」


 セアンはカトラスを力強く振るったが、ロスは槍を素早く動かし、セアンの攻撃を防御した。セアンは後ろに下がろうとしたのだが、ロスはセアンに向かって槍を突いた。


「ガッ!」


「今回は命中」


 ロスはセアンに攻撃を命中したことを察し、笑みを浮かべた。その隙にコスタがロスに向かってスナイパーライフルを発砲したが、ロスは左手を動かして飛んでくる弾丸を受け止めた。


「なっ!」


「悪いねぇ。本気を出したら、こんなの通用しないんだよねぇ」


 と言って、ロスは弾丸を地面に向かって投げ捨てた。その後、カイトとライアが魔力を開放してロスに接近し、攻撃を仕掛けた。だが、ロスはカイトとライアの攻撃を防御することはせず、すべて回避した。


「なっ……」


「これだけ攻撃しても、回避するなんて」


「悪いねぇ、今の俺から見たら、君らの攻撃はスロー再生しているようにとろく見えるんだよ」


 ロスはカイトとライアにそう言うと、風の刃を放って攻撃を仕掛けた。早く動く風の刃を見切ることができず、カイトとライアは攻撃を受けてしまった。その直後、ケアノスとラージュがロスに接近し、同時に攻撃を仕掛けた。だが、ロスは槍を使って攻撃を防御し、大声を発した。


「キャァッ!」


「なっ!」


 ロスの体から、衝撃波が発した。吹き飛ばされたケアノスとラージュは後ろに吹き飛んだが、ロスは素早く動いて吹き飛んだケアノスとラージュに追撃を放った。


「グッ!」


「つ……強い」


 攻撃を受けたケアノスとラージュは、血を吐きながらその場に倒れた。




 周囲に倒れているカイトたちを見て、ロスはため息を吐いた。


「おい。やられたふりをするなよ。まだ、終わっちゃいねーだろ?」


「まぁな」


 そう言って、カイトは立ち上がった。カイトは口の中の血を吐き出すと、刀を構えた。その後、セアンがあくびをしながら立ち上がり、魔力を開放した。


「やっぱり強いな、あんた」


「そりゃー幹部だからね。そう簡単にやられないよ、俺は」


「そりゃそうだ」


 カイトはそう言って、刀を握り直した。攻撃がくることを察したロスは槍を構え、カイトを睨んだ。


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