シーポリスの戦い
シーポリスの戦士たちは、カイトたちが先に向かって走り出したことを確認し、互いの顔を見合わせて笑顔を作った。その笑みを見た敵の海賊は、バカにしたように笑い始めた。
「おいおい、おかしくなった挙句、頭のねじがぶっ飛んじまったか?」
「違うぜ。お前たちの運命が悲惨なことになるなって思ったら、笑いが止まらなくてな」
帰ってきた言葉を聞き、敵の海賊の額には青筋が浮かんだ。
「何だと?」
「メリスさんが俺たちに向かってこう言った。あなたたちだけでも大丈夫って。つまり、お前たちは弱く見られているってことだよ」
「雑魚相手なら、力まなくても大丈夫かもしれない」
この言葉を聞いた敵の海賊の一人が、叫び声をあげた。
「クソが! 黙って聞いてりゃぁ調子に乗りやがったことを言いやがって! 俺たちブラックソードを格下だと思ってんじゃねぇぞ!」
その言葉を聞いた海賊の仲間が、次々と荒い口調でこう言った。
「そうだ! 俺たちはエロティカピンク! 聞いて驚け、俺たちはブラッディクロー幹部の一人、ロスさんの傘下の海賊団だ!」
「テメーらシーポリスなんて、秒で虐殺してやるぜ!」
と言って、敵の海賊たちは襲い掛かった。シーポリスの戦士たちは銃を構え、迫ってくる敵の海賊を撃った。
「んなっ! いきなりかよ!」
「口喧嘩の最中に準備してたってわけか!」
敵の海賊たちは、撃たれながら叫んだ。そんな中、攻撃を察した一部の海賊が高く飛び上がり、上空から武器を振り下ろして攻撃を仕掛けた。その動きを見たシーポリスの戦士が、声を高くしてこう言った。
「対空用意!」
「攻撃、開始します!」
銃を持った戦士たちの後ろにいた戦士が、銃を上に向けて発砲した。空から攻撃を仕掛けた敵の海賊たちは防御することも回避することもできず、銃弾を浴びてしまった。
「ウガァッ!」
「クソが!」
「用意周到なこった……」
攻撃を浴びた敵の海賊たちは、次々と地面に落ちた。その光景を見ていた敵の海賊の仲間は、歯ぎしりしながら武器を持ち、走り出した。
「おい! やけになるな!」
敵の仲間の一人が叫んだが、この言葉を聞いた敵の海賊は振り向いて言葉を返した。
「こうなったらやるしかねーだろうが! このまま捕まるんだったら、せめて何人かぶっ殺して捕まってやる!」
「玉砕覚悟のつもりか?」
「そのつもりだ!」
そう答えた後、敵の海賊はシーポリスに斬りかかった。だが、一対多数の状況になり、すぐに敵の海賊は剣で斬られ、銃で手足を撃たれた。
「無茶苦茶なことを……」
「でも、あいつらを倒すなら無茶なことをやらねーといけない」
「そうだな。こうなったら、俺たちもやるぞ!」
その後、敵の海賊たちは一斉にシーポリスに向かって走り出した。この様子を見たシーポリスの戦士は、ため息を吐いてこう言った。
「銃の用意!」
「ハッ!」
銃を持った戦士はリロードを素早く終わらせ、迫ってくる敵の海賊に向かって発砲した。放たれた銃弾は敵の海賊を打ち抜いたのだが、一部の敵が銃弾を回避、あるいは運よく銃弾に当たることはなかった。
「無傷の奴がいるな。リロードを終わらせ、次の攻撃を始めるぞ!」
「ハッ!」
銃を持った戦士はリロードを行ったのだが、その前に敵の海賊が魔力や銃を使って攻撃を仕掛けた。この攻撃を受けた一部のシーポリスの戦士が、悲鳴を上げながら倒れた。
「今の攻撃で何人やられた?」
「五人です! 死人はいません!」
「後ろに下がらせて手当を行え! 敵の海賊がこちらに接近している、槍を持って対処しろ!」
攻撃を受けたシーポリス側は、適切に指令を飛ばしていた。戦士たちはその指示に従い、素早く行動した。
「くたばれ、シーポリスゥゥゥゥゥ!」
敵の海賊の一人が、シーポリスの戦士に接近して剣を振り下ろそうとした。だがその前に、シーポリスの戦士が手にしていた槍が敵の海賊の腹を貫いた。
「ガハァッ!」
敵の海賊は短い悲鳴を上げ、その場に倒れた。
「おいおい、容赦しねーのかよ」
「ピラータ姉妹は敵を殺さないのに!」
敵の海賊は、仲間の死体を見て悲鳴を上げた。その声を聞いたシーポリスの戦士は、冷たくこう言った。
「俺たちは優しくない。こちらの命を狙おうとする輩がいたら、反撃するだけだ」
「あまりやりたくないが、こんな状況では仕方ないだろう」
シーポリスたちの返事を聞き、敵の海賊たちは怒りの叫び声をあげた。
「この野郎が! テメーらは全員ぶっ殺して、はらわたをぶちまけてやる!」
「泣き叫んでも容赦しねーぞ!」
敵の海賊の怒りの咆哮を聞いたシーポリスたちは、武器を構え、魔力を開放して叫んだ。
「それはこちらのセリフだ!」
「お前たちのような野蛮で品がなく、罪を負った奴には容赦はしない!」
その後、シーポリスと敵の海賊による激しい戦いが行われた。
数人の部下を引き連れて遺跡にきたガーティブとロスは、遠くから響く音を聞いていた。
「港の方で激しい戦いが始まったみたいですね」
「あいつら、生きていればいいんだけどよぉ」
ロスはペットポトルの中のお茶を飲みながらこう言った。ガーティブはため息を吐き、ロスにこう聞いた。
「本当にいいんですか? あなた一人に足止めを任せても」
ガーティブの不安そうな声色を聞いたロスは、笑ってこう言った。
「大丈夫だって。俺がそう簡単にくたばると思ってんのか? 同じ幹部なのに、信頼されてないね俺。悲しいよ」
「悲しませるわけにいったわけではありません。ピラータ姉妹は二年前より強くなっています。リラゴさんを倒すほどのレベルがあります。あなた一人だけでは……」
「おいおい、俺をリラゴと一緒にするなよ」
ロスは立ち上がり、ガーティブの肩を叩いて言葉を続けた。
「俺は常にクールなんだ。リラゴのように常にカッカしてない」
「リラゴさんをイライラさせていたのは、常にあなたのような気がしますが」
「うぐ……そういうことを言わないの。とにかく、俺は大丈夫。お前は安心して遺跡に入って、メダルを取ってこい」
「はぁ……分かりました」
「気の抜けそうな返事はするな。気合入れてけ、気合があればどうにかできる」
「根性論でどこまでいけるか分かりませんけど……」
ガーティブがこう言った直後、ロスは遠くから魔力を感じた。
「早く行け。あいつらが近付いてきた」
「ロスさん……」
「俺のことは気にするなっつーの。もし、俺が倒されたとしても、いつものようにクールにふるまえよ」
ガーティブは槍を持ち、右手でブイサインを作った。その姿を見て、ガーティブは頷いてこう言った。
「分かりました。必ず生きて再開しましょう」
「おう」
ガーティブはロスの返事を聞いた後、部下とともに遺跡に向かって走り出した。
ガーティブと部下が遺跡内に入って数分後、カイトたちが姿を現した。ロスは笑みを浮かべ、槍を回した。
「よー。待ちかねたぜピラータ海賊団。どうやら、シーポリスのエロいねーちゃんもいるようだが、一緒に戦うつもりだな」
「エロいって……あなたにそんなこと言われたくありません!」
メリスは体を手で覆いながらこう言った。その姿を見て、ロスは笑い声を上げながら槍をカイトたちに向けた。
「野郎は殺す。女の子は生かして俺のオモチャにする……そう言いたいけれど、今はそう言うことを言っている場合じゃないな」
「当り前よ! この変態スケベ野郎!」
「ウイークの仇は、ここで討たせてもらうわ!」
「覚悟しなさい、変態野郎!」
セアンたちはこう言って、武器を構えてロスに向かって走り出した。カイトは刀を握り、心の中でこう呟いた。
ウイーク……もし、力を貸すことができるのなら、俺たちに力を貸してくれ!
そう呟き、居合の構えでロスに接近した。
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