港での激闘
カイトたちがブラックソードとの激闘を終えた同時刻、一足先にシブヤ島に到着していたガーティブとロスは、傘下の海賊団の指揮をしていた。そんな中、ガーティブが深いため息を吐いた。
「嫌な知らせか?」
「その通りです。こちらに向かっていたブラックソードの一つの船が、ピラータ海賊団によって壊滅しました」
この言葉を聞き、ガーティブとロスの部下たちは動揺した。だが、動揺したのは一部の部下たちで、話を聞いて戦意をむき出しにする部下もいた。
「仲間の仇討ちだ! ガーティブさん、俺たちはいつでもやれるぜ!」
「ピラータ海賊団の話は聞いています! とびっきりの美少女がいるんですってね! 俺たちが始末してきますよ!」
「うっひっひ。倒した後はお楽しみってことですねぇ」
部下たちの言葉を聞き、ガーティブは再びため息を吐いてこう言った。
「君たちは最初に言ったように、先に遺跡へ向かってください。僕も一緒に行きますので」
「もう少し大きい声で言えよ。あいつらに聞こえてねーぞ」
ロスがガーティブの肩を叩いてこう言った。その後、ガーティブは部下を連れて遺跡に向かうことにした。
「ではロスさん。これが今生の別れにならないようにしてください」
「物騒なことを言うなよ。俺が死ぬと思っているのか?」
「何が起こるか分かりません。人なんて、簡単に死んでしまいますから」
「恐ろしいことを言うなよお前。俺が死ぬと思っているのか? 俺はとびっきりの美女をたくさん抱くまで死なねーよ」
「たくさん抱いていると思うのですが」
「満足してねーんだよ。俺のことは心配するな。あいつらを倒したら、合流すっから」
「はぁ……まぁ、気を付けてください」
ガーティブはため息を吐いた後、部下を連れて遺跡へ向かった。ガーティブたちを見送った後、近くに置いてあるエロ雑誌を手にし、読み始めた。
ブラックソードとの戦いから数分後、カイトたちはシブヤ島の港に到着した。カイトたちはヴィーナスハンドから降り、周囲を見回した。
「あいつらはいないようだな」
「でも、もうあいつらがいるかもしれないよ。気を付けよう」
カイトとセアンがこう言う中、メリスはシーポリスたちに指示を送っていた。
「一班は私たちと一緒に行動。二班は近くの町へ向かい、海賊の被害があったら支援と海賊の討伐。三班は船に残って本部からの情報を待ち、速やかに他の班に連絡をしてください。もちろん、私たちからの連絡を受けたら、それもすぐに本部へ送ってください」
「了解しました!」
メリスの指示を聞いた戦士たちは、同時に敬礼し、各々の動きを始めた。メリスはカイトたちの方を向き、こう言った。
「こっちは準備できたわ」
「よし、それじゃあ行こう」
セアンの言葉を聞き、カイトたちは頷いた。
カイトたちは遺跡へ向かい、動き出した。移動中、カイトは周りを見て被害がないか調べていた。
「あの時のことを思い出しているのね」
と、コスタがこう聞いた。カイトは頷き、ドンパチ島で起きた虐殺のことを思い出した。先にガーティブとロスがこの島に上陸したのであれば、同じようなことが起きるとカイトは思ったのだ。
「ああ。もし、あいつらが暴れてたら俺たちが何とかしないと」
「今のところ、暴動はなさそうだよ」
ライアが周囲を見てこう言った。カイトたちは町の中を歩いているのだが、町の人たちは普通に過ごしていた。
「何もしないで遺跡に向かったのか?」
「それか、広い場所で戦うつもりかもね」
セアンはカイトにこう言った。この言葉を聞き、カイトはそうかもしれないと思った。
町を抜けて田舎道を歩いていると、突如カイトは魔力を感じた。
「皆」
「うん」
セアンは武器を持ち、カイトに答えた。セアンたちも魔力を感じており、すぐに戦える隊形になった。その直後、木の上から矢が飛んできた。
「ずいぶんと古典的な武器ね」
と言って、セアンはカトラスを振るって矢を切り落とした。その直後、新しい矢が放たれたが、カイトがバリアを張って防御した。
「今のうちに遠距離戦の準備を!」
カイトの言葉を聞き、シーポリスの戦士は銃を用意し、構えた。戦士たちが構えたのを見たカイトは、口を開いた。
「バリアを解きます。その瞬間に、攻撃をお願いします!」
「了解!」
「では……解除します!」
こう言って、カイトはバリアを解除した。そのタイミングに合わせるかのように、シーポリスの戦士は銃の引き金を引いた。放たれた弾丸は木の上に向かって飛んでいき、潜んでいた海賊に命中した。
「があっ!」
「クソッ! かすかな魔力でも俺たちの居場所を察知しやがったか!」
「腕は本物のようだ。おい! 奇襲作戦は失敗だ! 叩くしかねーぜ!」
海賊たちの声の直後、彼らの仲間が茂みの中から現れ、カイトたちに襲い掛かった。ライアはナイフを構え、迫る海賊の帽子を見てこう言った。
「あいつら、ブラックソードの海賊機と同じマークが描かれた帽子をしてるね」
「じゃあ仲間ってことよ。とにかく、あいつらが襲ってくるんだったら、こっちもやるしかないわよ」
コスタはそう言って、スナイパーライフルを手にして迫る敵を撃った。仲間が撃たれたことを察した敵の海賊は、笑みを浮かべてこう言った。
「スナイパーライフルか。一発撃てばリロードに時間がかかるはずだ。その隙に狙うぜ!」
敵はコスタを狙おうとしたのだが、コスタはスナイパーライフルを回しながら素早くリロードをしていた。
「んなっ! そんなリロード方法ってありかよ!」
「ありなのよ」
コスタはそう言って、再び攻撃をした。その後、カイトたちが武器を構えながら上から攻撃を仕掛けた。
「クソッ! 上から奇襲か!」
「お前らも同じようなことをやったじゃねーか!」
カイトはそう言いながら、周りにいる敵の海賊を斬りかかった。セアンはカトラスとハンドガンを使い、次々と敵を倒していき、ケアノスはメリスと協力して敵を倒した。
「数が多いわね」
「敵は今回のメダルを取るために、全力のようね」
ケアノスとメリスはそう会話をする中、大剣を持ったラージュが現れた。
「数が多いなら、この大剣でぶっ飛ばすだけよ!」
と言って、ラージュは体を回転させて大剣を振り回し、次々と敵を斬り飛ばしていった。
「ギャァァァァァァァァァァ!」
「何だ、この滅茶苦茶な女は!」
「こんなやり方で攻撃されるとは!」
「それにやられる俺たちも俺たちだけど」
海賊たちは悲鳴を上げながら、倒されていった。ラージュは攻撃を止め、周りを見回した。
「一応敵は倒れたけど、まだ他の敵がいるわね」
「えー? まだいるのー?」
「総力戦ね。これは」
遠くからカイトたちに向かって走ってくる海賊を見て、シーポリスの戦士たちがこう言った。
「メリスさん。ここは我々に任せて、ピラータ姉妹の皆さんと一緒に遺跡へ向かってください」
「戦って分かりました。あいつらは私たちだけでも倒せます」
部下の言葉を聞き、メリスは驚いた。
「あなたたちだけで? 敵は、まだまだ出てくるわよ」
「だからです。雑魚の相手で消耗して、それで幹部と戦えますか?」
「まだ、大ボスがいることを忘れないでください」
メリスは部下たちの言葉を聞き、頷いた。
「分かったわ。新しい命令よ、私たちが戻ってくるまでに全員生きていること」
「了解です」
「必ずメダルを手にして、戻ってきてくださいね」
「うん! それじゃあ、後は任せた!」
セアンはそう言うと、武器をしまって走り出した。カイトとケアノスは慌ててその後を追い、コスタとライアとラージュはメリスの部下にこう言った。
「メリスのことは私たちに任せてください」
「戦いが終わったら、おいしいごはん用意するから」
「怪我をしたら、私に任せてね」
そう言うと、コスタたちも走り出した。
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