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素早い動きを追え


 ケアノスと敵の若い男は、武器を振り回しながら攻撃をしていた。そのためか、レイピアとショートソードがぶつかり合い、周囲に激しい金属のぶつかる音が響いていた。


「へっ、やるじゃん! レイピアのような細い武器で、俺とやりあうなんてな!」


 若い男はそう言うと、後ろに下がって魔力を開放した。ケアノスは敵が攻撃を仕掛けてくると思い、レイピアを構えた。


「俺の名はモンキ! お前を殺す男の名前だ!」


「あっそう。丁寧に名乗ってくれてありがとね」


 ケアノスはそう言って、魔力を開放するモンキを睨んだ。モンキは声を発しながらケアノスに接近し、頭突きを放った。ショートソードによる攻撃だと考えていたケアノスだったが、モンキが裏をかいて別の攻撃をするだろうとも考えていた。


「おーらーよ!」


 モンキは勢いよく頭を振るったが、ケアノスは冷静に攻撃をかわした。その後、ケアノスはモンキの後ろに回り、レイピアで攻撃を仕掛けた。


「グアッ! おいおい、冷静じゃねーか」


「そりゃーそうよ。あんたが変なことをするだろうと思っていたし」


 攻撃を受けたモンキはケアノスの方を振り返ったが、ケアノスはすでに次の攻撃の準備をしていた。


「まだ攻撃するつもりか。それじゃ俺も、もういっちょ本気で!」


 モンキは周囲に氷の刃を発し、ケアノスに向かって投げた。ケアノスは飛んでくる氷の刃をかわしたが、氷の刃はケアノスを追いかけるように飛び続けた。


「追尾機能付きか」


 いつもの手段だなと思いつつ、ケアノスは後ろの木の中へ向かった。飛び回る氷の刃は気に激突し、砕け散った。


 これで攻撃は終わったか。


 氷の刃の攻撃を防いだと思ったケアノスだったが、モンキが笑いながらこう言った。


「引っかかったな! あの技はお前をここへおびき寄せるための策だったんだよ!」


「策ねぇ。作戦を相手に告げる?」


 ケアノスは呆れながら、木の上にいるモンキにこう言った。モンキは何も言わず、上から氷の針を放ってケアノスに攻撃を仕掛けた。勢いを付けて落ちてきたため、ケアノスは油断し、避けるタイミングが遅れてしまった。


「グッ!」


 ケアノスは魔力を開放し、飛んでくる氷の針を消した。だが、一部の氷の針は魔力解放の際に発生する衝撃波を耐え、ケアノスの服や靴に突き刺さった。


「これは……まずいわね」


 危機感を持ったケアノスは、急いでその場から離れ、風の刃を放って木の上にいるモンキに攻撃を仕掛けた。


「ハッ! 悪いが、そんな攻撃は俺には通用しないぜ!」


 と言って、モンキは他の木に素早く飛び移った。その時、ケアノスは察した。木の中はモンキにとっては、都合がいい戦場であると。


「ハーッハッハ! お前はここで死ぬ! ここの木がお前の墓になるのだ!」


 モンキは素早く移動しながら、高笑いしていた。ケアノスは呆れてため息を吐き、魔力を開放した。


「はぁ……あんた、本当に猿みたいな脳みそをしているわね」


 この言葉を聞いたモンキは、少し苛立ったが、このままケアノスを殺すため、周囲に無数の氷の針を作り、ケアノスに向かって放とうとした。


「誰が猿みたいな脳みそだ! お前はそんな男に! これから! 殺されるんだぜェェェェェ!」


 と言って、モンキは勢いを付けて腕を振り下ろそうとした。だが、突如バランスを崩して地面に落ちた。


「な……ああ……何故だ?」


 地面に落ちたモンキは、尻をさすりながら周囲を見回した。移動で使っていた枝が、地面の上に落ちていた。


「ま……まさか……」


「あんたの考えは浅すぎるのよ。木の枝を使って移動するなら、木の枝を切り落として行動を防げばいいのよ」


 ケアノスはそう言いながら、切り落とした木の枝を手にして、モンキに向かって投げた。魔力を使っていたためか、木の枝は勢いがあり、そのままモンキの足に突き刺さった。


「がァァァァァ!」


「あんたがバカみたいな高笑いをしている中、気付かれないように魔力を開放して見えない風を木の枝に向かって放ったのよ。少しでも傷を付けていれば、枝を踏んだ瞬間に落ちるようにね」


 この言葉を聞き、モンキは舌打ちをした。


「クソが。もう少しでお前を殺せるはずだったのに」


「何言ってんのよ。最初からあんたには勝ち目がない戦いだったのよ」


 と言って、ケアノスは強烈な一閃をモンキに向かって放った。攻撃を受けたモンキは吹き飛び、その場で倒れて気を失った。




 リラゴたちは先に遺跡に向かったセアンたちを追いかけるため、走り続けていた。


「ピラータ姉妹より早く遺跡に向かえ!」


「このままだと追いつけない。遺跡に向かって奴らに追いついた後、戦うしかない!」


「とにかく走れ! 走り続けろ!」


 プイーエ海賊団の船員は叫びながら走り続けていた。しばらく走り続けると、リラゴたちの前に遺跡が現れた。


「あれが遺跡か!」


「人の姿がない。ピラータ海賊団の奴ら、先に入りやがったな!」


「急ごう!」


 プイーエ海賊団の船員は、そのまま遺跡に入った。そんな中、リラゴはあることを考え続け、近くにいる船員にこう言った。


「私は入り口の前に残るよ」


 この言葉を聞いた船員は、驚いた。


「どうしてですか? リラゴさんがいないと、ピラータ海賊団とまともに戦えないですよ」


「後ろにいた奴らのことを忘れるな。あいつら、チンパたちを倒したようだ」


「チンパさんたちが……」


 船員はチンパたちがやられたことを知り、驚いていた。リラゴは頷いた後、言葉を続けた。


「チンパたちを倒した奴が、これからやってくる。私は一度引き返して、そいつらを倒す」


「一人で大丈夫ですか?」


「あいつらはチンパたちと戦って、体力も魔力も消費しただろう。疲労した奴相手なら、三人でも百人でも私は余裕で戦える。先に行くんだ」


「はい。分かりました」


 船員はそう言って敬礼をし、急いで遺跡の中へ向かった。リラゴは後ろを振り向き、戻り始めた。




 そんな中、キータマ島に近付く一つの船の姿があった。その船の帆には、シーポリスの紋章が描かれていた。


「メリスさん。そろそろキータマ島に到着します」


「教えてくれてありがとう。準備はできているわ」


 船員に言葉を返しながら、メリスは立ち上がった。部屋から出たメリスは外を見ると、プイーエ海賊団の海賊船を見つけた。


「あれはプイーエ海賊団の船ですね。あいつらは、ブラッディクローとのつながりがあります」


 船員の言葉を聞いたメリスは、望遠鏡でプイーエ海賊団の海賊船を見て、中や周りに誰もいないことを察し、船員にこう言った。


「誰もいないようね。今のうちに潰しましょう」


「了解!」


 メリスの命令を聞いた船員は、大砲の用意をした後、プイーエ海賊団の海賊船を沈めた。その後、メリスが乗る船は港へ向かった。そこで、ヴィーナスハンドの姿を見つけた。


「ヴィーナスハンド。やっぱりここに皆がいるのね」


「魔力を感じません。セアンさんたちは島へ向かったようですね」


「プイーエ海賊団と遭遇して戦っているかもしれません。急いで停泊させて、遺跡に向かうわよ!」


 メリスの命令を聞いた船員たちは、急いで船を港に停泊させた。その後、船員たちは各々の武器を持ち、外に飛び出した。


「船員全員準備ができました!」


 船員の声を聞いたメリスは外に出て、整列する船員に近付いてこう言った。


「遺跡の場所は把握しています。セアンたちはすでに向かっているかもしれないわ。途中で合流するのが一番ベストだけど、後で遺跡の中で合流するかもしれないわ。遺跡の中は危険! それと、プイーエ海賊団と遭遇するかもしれません。とにかく! 全員注意して行動すること!」


「はい!」


 船員の返事を聞いたメリスは、遺跡に向かって動き始めた。


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