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プイーエ海賊団急襲!


 翌朝、カイトたちはジュンコに礼を告げ、遺跡に向かって移動を始めた。


「あいつらがこっちにいなければいいんだけどなー」


 ライアはそう言いながら、海の方を見た。いくつか船は浮かんでいるのだが、海賊船らしき船は見当たらなかった。


「変な魔力を感じたら、あいつらがきたって思った方がいいわね」


「この町はどうする? ジュンコさんたちは関係ないから、巻き込まれちゃうわ」


 ケアノスとコスタが話をした時だった。タイミングを見計らったかのように、重装備の戦士たちが姿を現したのだ。彼らはカイトたちに挨拶と一礼をした後、去って行った。


「町の方は大丈夫かもしれないな」


 カイトは重装備の戦士たちを見て、こう言った。




 カイトたちが遺跡の方へ向かって数時間が経過した。リラゴが乗るプイーエ海賊団の船が、砂浜に到着したのだ。


「港を使わなくていいんですか? 武力で無理矢理言うことを聞かせれば、手っ取り早いと思うんですが」


 船の停泊作業を行っている船員が、リラゴにこう言った。リラゴはその船員に近付き、こう言った。


「今、ブラッディクローは表社会でそれなりに名前が通っちまっているんだ。下手に港を使うことはできねーんだよ。今の状況で使ってみろ、すぐにシーポリスに連絡される」


「確かに……で、これからどうするんですか?」


「プイーエ海賊団の腕利きの戦士と、私が島に上陸する。残りは私らが上陸した後、別のところで待機。連絡があるまで動くな」


「分かりました」


 返事をした後、船員は作業を続けた。数分後、リラゴと腕利きの戦士たちが上陸したことを確認した船にいる船員は、すぐにキータマ島から離れた。


「うし。それじゃあささっと遺跡を探して、メダルを取るか」


 リラゴの言葉を聞き、戦士たちは一斉に返事をした。


 上陸後、リラゴたちは周りを見回しながら歩いていた。その時、戦士の一人がこう言った。


「リラゴさん。仕事が終わったら、夜の町を歩いていいですか?」


「あん? なんでそんなことを聞くんだよ」


 リラゴが振り向きながらこう聞いた。質問をした戦士は下種な笑みを浮かべながら、問いに答えた。


「この島は風俗店がいっぱいあるってことで有名なんです。一度はこの島に行きたいって思っていたんですよ」


「女を抱きたいのか。ま、手っ取り早く仕事が終わったら、いくらでも女を抱け」


「いいってことですね。ありがとうございます」


 戦士は頭を下げてこう言った。話を聞いていた戦士たちは、嬉しそうに声を出した。


 しばらく歩くと、リラゴたちは小さな町に到着した。戦士の一人が武器を手にしようとしたのだが、リラゴがその手を止めた。


「止めな。下手に騒ぐとシーポリスがやってくる。それに、ピラータ海賊団がいるかもしれない。今は戦うタイミングじゃない」


「そ……そうですか。すみません」


 戦士は申し訳なさそうにそういうと、武器をしまった。その後、リラゴたちは宿へ向かい、中にいる人に話を聞いた。


「すまないが、聞きたいことがあるんだ」


「はへぇ?」


 リラゴの声に反応したのは、顔全体が真っ赤になっている男だった。この直後、リラゴは話しかける相手を間違えたと察した。この男は酒を飲んでいたのだ。


「何じゃぁ? ゴリラのようなねーちゃん。俺に何の用ら?」


「かなり酔ってるな、ろれつが回ってない……」


 深い酔いしている男を見て、戦士の一人が呆れながらこう言った。そんな状況にかまわず、酔った男はリラゴに近付いた。


「ねーちゃん、俺の酒の相手になってくれんのー?」


「悪いが私は酒を飲まない。体に悪いからな。それより、この島に遺跡のような建物はないか?」


「遺跡? そんなもん俺は知らないよ。ヒック」


「そうか……知らないならいい」


 リラゴはそう言って立ち去ろうとしたのだが、酔った男はリラゴの背中を触った。


「あんたら、この島は初めて?」


「ああ。そうだが……」


「島のことを知りたいなら、図書館へ行けばいい。そこなら、島の歴史が書かれた本があると思うから」


 酔った男はそう言うと、座っていた椅子に戻った。しばらくして、酔った男は大きな声でいびきをかきながら眠った。リラゴは呆れたようにため息を吐きながら、戦士たちにこう言った。


「とりあえず図書館に行こう」


 宿から出たリラゴたちは、図書館に向かった。図書館は小さかったが、中にある本の数はそれなりにあった。


「うーむ。歓楽街で有名な島だからか、エッチな本が多いな」


「ここは天国だな」


 男の戦士たちは、歓喜の声を上げながらエッチな本を手に取り、読み始めた。呆れたリラゴは男の戦士たちの頭を叩き、こう言った。


「バカ野郎! 私たちは遺跡のことを調べるためにきたんだろうが! エロ本を読むためにきたわけじゃない!」


 リラゴの声を聞き、男たちは慌てて歴史のコーナーへ向かった。


「はぁ……男ってのはどうしてエロい本が好きなんだろう」


 慌てて作業をする男たちを見て、リラゴは小さく呟いた。


 その後、リラゴは気になった歴史の本を手にし、椅子に座って読んでいた。しかし、遺跡について書かれた本は見当たらなかった。


「ふーむ……見つからないな」


「そうですね。まともな歴史の本かと思ったら、歓楽街の歴史だったり……本当にこの島、ふざけているんですかね?」


「男にとっては天国だって聞いたけど……呆れた」


 女の戦士たちは、本を読んで呆れたようにこう言った。


「ロスの野郎にこの話をしたら、喜んで向かいそうだな……」


 リラゴはロスのことを思い出しながら、こう呟いた。その直後、本を持った戦士が近くにやってきた。


「リラゴさん、これを見てください」


「これは?」


「キータマ島の昔の写真が載っている本です」


 そう言って、戦士は本を広げた。そこには、昔に撮られたキータマ島の町中の写真が写っていた。


「昔の写真じゃないか。それがどうかしたんだ?」


「町の写真じゃありません。このページです」


 戦士は付箋をしてあるページを開き、リラゴたちに見せた。そのページにはキータマ島の自然と書かれていたが、その中に遺跡らしき写真があった。


「これは……遺跡だ!」


「情報で得た、各島の遺跡と似たような形をしています。多分、これが我々の探す遺跡でしょう」


「でかした! お前ら、仕事が終わったら一日休んでもいいぞ!」


 リラゴの言葉を聞いた男の戦士たちは、歓喜の声を上げた。


「うおっしゃー! 今日の夜はパーティーだ!」


「いやっほー! 女を抱くなんて何年ぶりだろう?」


「うちの船の女たちは、みーんなごっついから抱く気にはならないんだよなー!」


 男たちの言葉を聞いた女の戦士は、イラっとして男の戦士に近付いた。その後、男たちの悲鳴が聞こえた。その悲鳴を聞かず、リラゴは遺跡の写真を役員に見せて話をしていた。


「なぁあんた。ここがどこにあるのか分かるかい?」


「少々お待ちください。えーっと……ここは島の北の方ですね」


「北の方か……ここがまだあるって分かるかい?」


「まだあると思います。北の方は危険だから、入ってはいけないと言われています」


「危険なモンスターが生息しているのか?」


「うーん……生まれてから、北の方に入ったことがないんです。すみません、ただ幼い頃から、絶対に北の方には行くなと言われていましたので」


「そうかい……ありがとな、いろいろと分かったよ」


 リラゴは役員に礼を言うと、男たちをボコボコに痛めつけている女戦士たちの元へ戻った。


「行くぞ、場所が分かった。遺跡は北にある。ピラータ海賊団が先に向かった可能性があるから、すぐに行くぞ!」


「その前に……治療してください」


 ボロボロになった男たちを見て、リラゴは呆れてこう言った。


「移動中に治療する」


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