動き出す幹部
ドンパチ島のメダルがカイトたちに取られた。そして、ガーティブの傘下の海賊団、ネクラレンが倒された。そのことを知ったガーティブは、ため息を吐いた。
「またあの子たちか。かなり暴れていますね」
「まーな。下手したら、俺があの子らを強くしたって思われるかもな」
と、ロスはエロ本を読みながらこう言った。リラゴはロスが映る画面を睨み、机をたたいた。その時の音は、ガーティブのパソコンのスピーカーからでもよく聞こえた。
「真剣な話をしている真っ最中に、エロ本を読むなバカ!」
「別にいいじゃん」
「いいわけあるか! ガーティブ、あんたからも何か言ってやんな!」
「個人の自由に任せています」
「ああもう、放任主義が!」
リラゴはイラつきを顔に表しながら、近くにあったコーヒーカップを手にし、飲み物を一口飲んだ。
「私らも動きたいから、さくっと話し合いを終わらせるよ」
「そうだね。俺も久しぶりに夜の街に行きたいし」
「お前は働けボケ!」
リラゴの怒声を聞き、ロスはエロ本をしまって真面目に話をする気になった。
「あいつらの次の目的は、キータマ島か、シブヤ島だ。ドンパチ島から近い島はキータマ島だから、あいつらはそこに行く可能性が高いな」
ロスの言葉を聞き、ガーティブは傘下の海賊団のことを考えながらこう言った。
「あそこの島付近に、僕の傘下の海賊団はいません。それよりも、あの子たちのせいでクラッチハート、ネクラレンが続けて壊滅したので、僕の方は戦力を補充したいです」
「そうだね。あんたの傘下の海賊団は、二つやられた。しばらく休ませるか、シブヤ島の方に行かせたほうがいい」
ガーティブの戦力のことを気にし、リラゴはこう言ったが、その言葉を聞いたロスは目を丸くした。
「じゃあ、キータマ島は誰が行くんだよ? 俺の床の傘下の海賊団も、最近へまをやらかしてシーポリスに捕まっちまったんだぜ」
「私が行くよ」
と、リラゴが両腕の筋肉を見せつけながらこう言った。
「お願いします、リラゴさん。僕の戦力が弱くなっている今、あなたが頼りです」
ガーティブは頭を下げてこう言った。ロスはため息を吐き、やる気を見せているリラゴにこう言った。
「あんまり派手にやるなよ? あの子たちの体、こっそり狙ってるんだぜ? 倒して捕まえてからは、たっぷり調教して俺だけのムフフ」
「バカなことを考えるなスケベ野郎! とにかく、キータマ島は私の傘下の海賊と、私が出る! ピラータ海賊団は放置していたら、いずれブラッディクローに大きな悪影響を与える。出る杭は始末しないとね」
リラゴはにやりと笑いながら、こう言った。
ドンパチ島から出港したカイトたちは、海の上を進んでいた。カイトとライアは釣りをしながら話をしていた。
「次のキータマって島はどんな島なんだろうな?」
「噂じゃ、夜の街がたくさんあることで有名だーって聞いたよ」
「夜の街か……」
カイトは竿を上げながらこう言った。夜の街と聞き、カイトの中で想像したのはキャバクラやホストがたくさんいて、呼び込みの兄ちゃんが歩く人に声をかけまくる光景だった。
「変なことに巻き込まれないといいな」
「そうだねー。夜の街って言ったら、変な人たちがたくさんいるってイメージだからねー。おっ、釣れた」
ライアは釣り針に引っかかった魚を手にし、近くのバケツに入れた。カイトがライアの釣り上げた魚をうらやましそうに見ている中、カイトが持つ竿が大きくしなった。
「おわっ! これは大物だ!」
「すごい力だね。ちょっと待って、私も手伝うから!」
ライアは自分の竿を安全な場所に置き、急いでカイトの竿を握った。
「グッ! すごい力で引っ張られる!」
「魔力を開放したほうがいいかもな」
「そうだね。一気に釣ろう!」
その後、二人は同時に魔力を開放し、大物を釣り上げた。
「おっわァァァァァ!」
「すごい! これはドデカマグロ! 大物どころか、超レアだよ!」
ドデカマグロがヴィーナスハンドの上に落下した時、その衝撃が伝わったのか、慌ててセアンたちが外に飛び出した。
「今の何なの?」
「大きな音が聞こえたけど、何か釣ったの?」
「うわっ! 大きい魚! これ、食べられるの?」
セアンたちは釣り上げられたドデカマグロを見て、驚きの声を上げた。
「ドデカマグロかー。これなら何日分の食料になるのかなー?」
「一週間は持つよ。普通のマグロと違って、いろんなところが食べられるから」
ライアはセアンにこう答えながら、ドデカマグロを触っていた。そんな中、ケアノスがカイトたちを見回してこう言った。
「とりあえず、魚釣りはここで中断して話を聞いて」
「分かった。でもその前に、釣った魚を整理してくるね」
ライアはそう言って、釣り上げた魚の整理を始めた。数分後、ライアがリビングに戻ったことを確認したケアノスは、モニターを持ち出して話を始めた。
「このまま順調に航海が続けば、明日の昼頃にはキータマ島に到着するわ」
「明日の昼か」
「ささっと遺跡を見つけて、メダルを取らないとね!」
カイトとセアンがこう言うと、ケアノスは咳払いをした。
「そう簡単にメダルが取れると思わないほうがいいわ。ドンパチ島のことを思い出した。ネクラレンの連中が先に島に到着して、島で暴れてたくさんの人が殺された。次の島も、同じようなことが起こるかもしれないわ」
ケアノスの言葉を聞き、カイトの脳裏にドンパチ島に到着した時の光景が流れた。
「そうだな……あの時は……」
「順調に進めは昼頃になるって言ったけど、今回は被害を抑えるため、このまま猛スピードでキータマ島に向かうことに決めました!」
「おおっ! それじゃあ、今日中には到着するの?」
セアンの質問を聞き、ケアノスは頷いて返事をした。
「そう! セアンの言う通り、今日の夜中にはキータマ島に到着する予定よ! 到着したら、すぐに動くつもりだから、休むなら今のうち!」
「了解! それじゃあカイト、一緒にシャワーを浴びて一緒のベッドで……」
セアンはそう言ってその場で服を脱ぎ、無理矢理カイトをシャワールームに連れ出そうとした。だが、ラージュがセアンの邪魔をした。
「エッチなことをしたいのは分かるけど、戦いで疲れるかもしれないから、その前に余分なことをして疲れるのは勘弁ね」
「は……はい」
セアンはラージュの顔を見て、冷や汗をかきながらこう言った。
その後、カイトたちはシャワーを浴び、休むことにした。ケアノスはヴィーナスハンドを自動操縦にした後、機械のそばで横になった。何かあった時、すぐに動けるために。
「あんな悲劇は絶対に起こさせない」
ケアノスはドンパチ島の悲劇を思い出しながら、その場で眠った。それから、ヴィーナスハンドは猛スピードでキータマ島に向かって動いていた。その間、モンスターや敵意を向ける海賊との遭遇はなかった。
数時間後、カイトはあくびをしながら目を覚ました。窓を見ると、外はもう暗くなっており、夜空の星々が海を照らしていた。
「もう夜か」
カイトがこう呟くと、突如激しい光がカイトの目を襲った。カイトは目を凝らしながら外を見ると、遠く離れた島から派手な色合いのランプが放たれていた。
「な……何だ、あの島は?」
変な島を見たカイトは、驚きのあまりこう言った。その時、下着姿のセアンが部屋に入ってきた。
「夜這い夜這い……ありゃ? カイト、もう起きてたの?」
「ああ……それよりも、夜這いって何のことだ? どうして下着姿なんだ?」
「そりゃーその言葉の通りだよ。それよりも、何見てるの?」
「あのヘンテコな島だよ」
セアンはカイトの横に立ち、カイトが指さす島を見た。
「ああ、多分あれがキータマ島だよ」
「あれが……」
カイトはキータマ島を見て、予想よりも違うことを把握した。あんな派手な色のランプを放つ島を、カイトは見たことがなかったからだ。
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