貫け! 心ときめくセクシービーム!
カイトたちは爆発する危険で恐ろしいボールのプールにぶち込まれた。ここでシチボがバカなことをやったため、それにプッツンしたカイトたちはシチボに向かってボールを投げた。で、爆発しました。
「あ……ありゃま。でかい爆発」
ライアは爆発で発した煙を見ながら、小さくこう言った。煙が晴れると、黒焦げになって爆発アフロになったシチボの姿が見えた。
「痛いなー。こんな姿になったじゃないかー」
「どうせすぐに戻るだろ」
カイトが呆れながらこう言うと、シチボはボールプールの中に潜った。それを見たセアンは慌てた声を出した。
「あいつ、ボールプールの中に潜って攻撃するかもしれない!」
セアンの声を聞き、カイトたちは武器を構えた。ラージュは大剣を構えつつ、ゆっくりと歩いていた。すると、何かを踏んだ感触がした。
「何か踏んだ! まさか!」
ラージュは下を見て、次に起こる展開を予想した。その直後、ラージュの予想通りにシチボが悲鳴を上げながら現れた。
「いってェェェェェェェェェェ! 急所踏まれたァァァァァァァァァァ!」
「今がチャンスだ! ケアノス、一緒にボールを投げて!」
「ええ!」
ライアとケアノスはボールを手にし、シチボに向かってボールを投げた。飛んでくるボールを見たシチボは、慌てながら再びボールプールの中に潜り、ボールをかわした。
「ああっ、かわした!」
「次に現れたら大きい一発を与えてやりましょう!」
ケアノスは大量のボールを抱え、周囲を見回した。セアンやコスタ、カイトも同じようにボールを抱え、シチボが現れたら投げようと考えた。しばらくして、天井からシチボが現れた。
「こうなったら、上から奇襲じゃーい!」
そう言いながら、シチボはふんどし姿でカイトに襲い掛かった。だが、その前にセアンたちがシチボに向かってボールを投げた。
「ちょっと待って! 俺今、ふんどし一丁なんだけど、それで爆発したら結構痛い……」
シチボが叫んでいたが、その前にセアンたちが投げたボールがシチボに命中し、大爆発を起こした。
「おわっ!」
爆風の近くにいたせいで、カイトは吹き飛んだ。セアンは吹き飛んだカイトを抱きしめるように受け止め、シチボがどうなるか様子を見た。
「あーもう……爆発のせいでセクシーな姿になっちまったじゃないか」
煙が晴れ、シチボの姿が見えてきた。どんな理由があったのか分からないけど、シチボは布面積が少ない下着姿になっていた。その姿を見たカイトたちは、一斉に嗚咽を発した。
「野郎のセクシー下着なんか見ても誰も興奮しないわよ! さっさと元の服に戻しなさい!」
「嫌なもの見ちゃった……」
セアンは呆れて叫び、コスタは襲ってくる吐き気と戦い始めた。セアンの言葉を聞いたシチボは文句を言いつつも、元の服を探していた。
「あり? さっきの服どこにいっちゃったかなー? 着替えた時にここに置いたはずなんだけど……あ。もしかして爆発のせいでボロボロになっちまったのか! しゃーねーなー、それじゃあ、この姿で戦うか」
と言って、シチボは下着姿のまま、右手に黒くて分厚い鞭、左手に分厚い赤いロウソクを持ってカイトに襲い掛かった。
「うわァァァァァァァァァァ! 変態がくるゥゥゥゥゥ!」
変態のような姿となり、自身に迫ってくるシチボを見たカイトは、悲鳴を上げながら逃げた。セアンはボールを手にし、シチボに向かって投げた。
「カイトに近寄るな、この変態!」
「俺は変態ではない!」
と言って、シチボは腰を前に出してボールを当てた。その時、ボールは白く光りだし、シチボの体内に入った。すると、どこからか声が聞こえた。
おめでとう! シチボはセクシービームを覚えたよ!
「な……何? セクシービームって」
「嫌な予感がする」
声を聞いたコスタとライアは、額に冷や汗をかきながら、不気味な笑みを浮かべるシチボを見た。
セクシービーム。その名の通り、セクシーなビームである。このビームを受けた相手は、セクシーな姿になってしまうセクシーな技である。
「さぁ、俺のセクシービームを受けてみろ!」
と言って、シチボは目からセクシービームを出した。狙いはカイト。カイトは飛んでくるビームをマト(ピー!)スの有名なワンシーンのようなポーズでかわし、近くのボールを手にしてシチボに向かって投げた。
「おっ、危険なボールか。だが! そんなボールはセクシービームがあればどうにかなる!」
シチボは右手を出し、人差し指からセクシービームを出した。セクシービームを受けたボールは、ブリーフ姿のおっさんになった。
「うわっ! ボールがおっさんになった!」
「これがセクシービームのもう一つの効果、ビームが当たった物体は、おっさんになるか爆発する!」
ライアはシチボの説明を聞き、嫌そうな顔をした。
「それのどこがセクシーなのよ」
「セクシーだからセクシーなんだ! もっと発射するぞー!」
そう言うと、シチボはがむしゃらにセクシービームを放ち始めた。セアンたちはセクシービームをかわし、カイトもバリアを張ってセクシービームを防いでいた。
「皆! 上に上がるんだ! ボールプールの中じゃあ動けないぞ!」
「うん!」
セアンたちはカイトの言う通り、上に上がってセクシービームをかわすことにした。カイトは魔力を開放して高くジャンプし、上に上がった。セアンたちと合流したカイトは魔力を合わせてバリアを張り、セクシービームを防いでいた。がむしゃらに飛ばされるセクシービームは、無数のおっさんを作り出していた。
「うわぁ、パンツ一丁のおっさんが無数に……」
「地獄絵図ね」
セアンとラージュは目の前のパンツ一丁のおっさんたちと、変態的な衣装のシチボを見てこう言った。カイトは頭を抱え、小声でこう言った。
「しばらく夢で見そう」
カイトたちが呆れる中、シチボはまだセクシービームを放っていた。
「はっはっは! このままだと、おっさんまみれになっちゃうぞー!」
シチボは高笑いをしながらセクシービームを放っていたが、そのうちの一本のセクシービームがボールに命中し、大爆発を起こした。
「あ……そうか。物体にセクシービームが当たったら、おっさんになるか、爆発するかのどっちかだった」
爆発のせいで吹き飛ぶおっさんとシチボを見ながら、ライアはこう呟いた。爆発は連鎖のように続けて起こり、そのせいでおっさんとシチボは大きなダメージを負った。しばらくして爆発が終わった。ボールプールの上では黒焦げになって倒れているおっさんたちと、再び爆発アフロになって倒れているシチボの姿があった。
「こりゃー終わっただろ」
カイトはバリアを解除し、倒れているおっさんをどかしながらシチボに近付いた。
「カイト、あのバカのことだから起き上がって何かするかもしれない。気を付けて!」
セアンの声を聞いたカイトは、返事として左手を高く上げた。カイトは倒れているシチボに近付き、様子を見た。
「し……死んでないよな?」
カイトが倒れているシチボの腕を触ろうとした瞬間、周囲に倒れていたおっさんたちがカイトの動きを封じた。
「なっ!」
「カイト!」
動きを封じられたカイトを見て、セアンはカトラスを持ってカイトを助けに行こうとした。だが、セアンたちの足元には、おっさんたちがいた。
「下を見て! いつの間にかおっさんたちが!」
「クッ! 足が動かないように抑えられてる! 離しなさいよ、ド変態!」
セアンたちは足元のおっさんに向かって怒声、罵倒を放ったが、その言葉を聞くたびにおっさんたちは嬉しそうな顔になった。そんな中、シチボは立ち上がり、カイトを見てにやりと笑った。
「さぁ、覚悟しろよ坊ちゃん。俺のセクシービームを受けやがれェェェェェェェェェェ!」
シチボはカイトに向かってセクシービームを放った。放たれたセクシービームは、カイトに命中してしまった。
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