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力を欲する者への試練


 セラーノ自然公園の洞窟には、死へ直結するような罠が存在する。そのことを知ったカイトたちは、慎重に行動するようになった。洞窟のためか、コウモリのようなモンスターや、魔力の影響で巨大になった凶暴なムカデや毒蜘蛛がカイトたちの前に現れた。が、セアンたちの敵ではなかった。


「ふぅ、洞窟の中のせいか、モンスターがたくさんいるねー。倒しても倒しても後から出てくる」


 セアンは額の汗をぬぐって余裕があるようにこう言ったが、カイトは巨大なムカデや毒蜘蛛を見て驚いて腰が抜けていた。


「な……何だよ、あれ……海の方だと変なイカや魚には遭遇したけど……でかいムカデとか蜘蛛とか見たことないぞ……」


「たまにね、魔力が体内に入って異変が起きて、でっかくなって凶暴化する虫がいるの。一応あれもモンスター扱いだけど。でかくなった分、虫も粋がるのね」


「そ……そうなのか……魔力も物騒な力を持ってるんだな」


「でもね、人が故意に虫や動物に魔力を注ぎ込むことは禁止されているから、普通はそんなことしないんだけどね」


 セアンが話を終えると、ラージュの名を呼んだ。ラージュはカイトが腰を抜かしていることを察し、近付いた。


「ちょっと待ってねー」


 ラージュはカイトの後ろに回り、魔力を込めて背中を叩いた。カイトは激痛を感じ、悲鳴を上げたが、すぐに立ち上がることができた。


「あれ? 腰が動かなかったのに。今は楽に動く」


「ちょっと荒治療だけど、腰が立てられるように魔力を使って一発叩いたの。これでもう動けるでしょ?」


「ああ。ありがと、ラージュ」


「怪我や病気を治すのが私の役目だから」


 と、ラージュはウインクをしながらカイトに答えた。それからカイトたちは襲い掛かるモンスターたちと戦い、撃退しつつ先へ進んでいった。しばらく先に進むと、看板のような物が現れた。


「看板? えーっと……創造の力を欲する者よ、力が欲しければこれから起こる試練を乗り越えるのだ……試練?」


 ケアノスがあほらしいと思ったその時、突如地面から壁のような物が現れ、カイトたちを閉じ込めてしまった。しかも、上から脱出を防ぐかのように、壁は天井の上に突き刺さった。


「ちょっと! 何よ、これ! こんな仕掛けがあるなんて!」


「わ……分からねー! 一体何? 何が起きたんだ?」


「とにかくここから抜け出しましょう!」


 懐中電灯の明かりを頼りに、カイトとケアノスは突如現れた壁を蹴ったり殴ったりしたが、びくともしなかった。その時、何かを耳にしたコスタが慌てるセアンたちに向かって叫んだ。


「静かにして! 何か聞こえる」


「え? あ、ほんとだ。水が流れるような……」


「水? うわ……まさか……」


 セアンの言葉を聞いたカイトは、嫌な予感が走った。その直後、床から海水が噴き出した。


「まさか、試練って海水が溜まる前に脱出しろってか?」


「この様子だと、そうみたいだね。嫌なことを考えるなー」


 セアンは焦りの色を見せながらカイトに答えた。しばらく冷静になって考えた後、セアンはカイトたちにこう言った。


「何かスイッチのような物ない? こういうのって海水を止める仕掛けがあるはずだよ!」


「周りを見て見ましょう。まだ海水は溜まってないわ。きっとどこかにあるはず」


 ラージュの言葉の後、カイトたちは明かりを使って周囲を照らしながらスイッチのような物を探した。だが、床にも壁にもスイッチのような物は存在しなかった。探しているうちに、海水はカイトの首元まで来ていた。


「まずいな……下手したらここ一体海水で埋まるぞ。そうなったら……考えたくない」


「大変だ、服がスケスケになってセクシーになっちゃうよ」


「問題はそっちじゃないわよ、あんたは気楽ねー。こっちは本気で焦っているのに!」


 呑気なことを言ったセアンに対し、ケアノスは焦りながらこう言った。そんな中、ライアが何かを思いついたかのようにこう言った。


「ねぇ、天井は見た? 壁や床は見たけど、天井は見てないよ」


「天井……あ」


 カイトは天井の方に明かりを照らし、スイッチを探した。スイッチは見当たらなかったが、一か所だけ不審な点があった。


「あそこだけ変にくぼみが大きいな……」


「どこ?」


「あそこ。俺が今指を指している方向。見えるか?」


 カイトは明かりを使い、天井のくぼみに指を指してセアンに場所を伝えた。その時、コスタが背泳ぎをしながらライフルを構えた。


「あそこにスイッチがあるかもしれないわね」


「この状態で撃てる? コスタ、ずっと背泳ぎしていたけど」


 カイトがこう聞くと、コスタはにやりと笑って答えた。


「大丈夫。どんな姿勢でも撃つことができるから。ちょっと待っててね」


 そう答えた後、コスタはくぼみに向かってライフルを撃った。発砲音から少し間があったが、カツンと弾丸がくぼみに命中する音が聞こえた。その直後、海水の上昇が止まった。


「海水が止まった……スイッチに当たったのか?」


「ちょっと待って、変な音がするわ」


 ラージュの言葉の後、壁が床に沈んでいき、溜まっていた海水が周囲に散らばった。何とか助かった。カイトはそう思い、セアンたちの方を見た。


「何とか助かったな。死ぬところだったな」


「うん。だけど服がびしょびしょに濡れたから、かなりセクシーになっちゃったけど」


 セアンはそう言いながら、濡れてスケスケになった姿をカイトに見せた。カイトは恥ずかしくなり、すぐに後ろを向いた。ケアノスは顔を真っ赤にして体を震わせながら、セアンにこう言った。


「一度服を乾かしましょう。この状態じゃあ先に進めない」




 その後、カイトたちは服を脱いで濡れた服を乾かし始めた。カイトはセアンたちのセクシーな姿を見ないように、別の所で服を乾かしていた。カイトが恥ずかしさのあまり、顔を赤く染めていたが、そんなことを気にせずにセアンとライアは話をしていた。


「いやー、熱風を使うと服が乾くのが早いねー」


「そうだねー」


 下着姿のセアンとライアは魔力で熱風を発しながら服を乾かしていた。コスタとケアノス、ラージュも同じ方法で服を乾かしていたが、しばらくしてカイトは刀を持って周囲を見ていた。


「このタイミングで変なモンスターが襲ってきたら最悪だな」


「ええ。下着姿でどう戦えばいいのかしら? モンスターが私たちの姿を見て悩殺されるだなんて思っていないし、一発でも攻撃を受けたら危険ね」


 と、ラージュはセクシーな下着をカイトに見せながらこう言った。カイトは顔を更に赤く染め、恥ずかしそうにこう言った。


「おいおい、そんな姿で洞窟をうろつくなよ……風邪ひくだろうに……」


「いいじゃない。今ここにはモンスターと私たちしかいないし。モンスターがこんな光景を見ても、何も思わないわよ」


「俺は男だよ。男がいるのにそんな姿で恥ずかしくねーのかよ?」


「フフッ、私は別に構わないわよ~」


 ラージュがいたずらっぽく微笑んだ直後、すぐにカイトを抱きしめ横に飛んだ。ラージュの肌の感触や、肌のぬくもりを感じ、カイトは驚き叫んだ。だがその直後、上から何かが降ってきた。ラージュはカイトを離し、大剣を持った。カイトはラージュがこの存在に気付き、自分に抱き着いたのだと察した。


「ごめんラージュ、助かったよ。まさかあんなのがいただなんて、思ってもいなかったよ」


「いいってことよ。それよりも、服が乾くのを、あいつは待ってくれないようね。今すぐにでも、襲い掛かって来るわ。気を付けて」


 そう言いながら、ラージュは降ってきた巨大な蜘蛛を睨んだ。


 昔は蜘蛛が嫌いでした。今はそうでもないんですが、64のゼルダの伝説時のオカリナに出てくるスタルチュラと言う蜘蛛のモンスターは今だに嫌いです。上からいきなり降って来るので心臓に悪い。トラウマになってたまーに夢に出るからたちが悪い。


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