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シチボとの遭遇


 ネクラレンは全滅した可能性がある。廊下を歩くカイトたちはこう思っていた。道中で遭遇したネクラレンの船員、そして船長であるマイダの死体を見つけたカイトたちは、この先にある何かのせいでマイダたちは命を落としたのだと考えていたのだ。


「この先、何か恐ろしいことが起こるかもしれない。皆、いつでも戦えるように構えていて」


 セアンの言葉を聞いたカイトたちは頷くと、すぐに武器を持った。しばらく歩くと、目の前に大きな扉の前に到着した。


「この先に何かがある」


 カイトはそう言うと、つばを飲み込んでドアノブを掴んだ。力を込めて扉を引こうとしたのだが、扉は動かなかった。


「あれ? 動かねーなー」


「押すんじゃないの?」


 ケアノスはそう言うと、扉を襲うとした。だが、それでも扉は動かなかった。セアンとライアが扉に近付いて無理矢理動かそうとしたのだが、それでも動かなかった。


「何なのよこの扉? どうして動かないの?」


「鍵が必要なのかしら?」


 ラージュの言葉を聞いたカイトは、鍵穴を探した。だが、鍵穴はなかった。しかし、鍵穴を探しているうちにカイトはある文章を見つけた。


「えーっと……ボタンを押すと扉は自動で動きます」


 この文章を見たカイトは呆れたようにため息を吐き、文章の近くにあったボタンを押した。すると、扉は自動ドアのように動いた。


「なーんだ、自動ドアだったのね」


「見た目に騙されたわね、私たち」


「さて、それじゃあ先に行こうよ」


 セアンたちはそう言って部屋の中に入った。コスタは力が抜けているカイトを立ち上がらせ、一緒に部屋の中に入った。




 部屋の中にいたのは、ダンサーのような恰好をしているグラサンの男性だった。グラサンの男性は部屋に入ってきたカイトたちを見て、にやりと笑った。


「どうやら、生き残ったのは君たちだけのようだな」


「あんたがメダルを守る守護者か?」


 カイトがそう行くと、グラサンの男性は体を回転し、決めポーズを決めてこう言った。


「その通り! 大正解! 俺がこの島の遺跡の守護者、シチボだ。よろぴくー!」


 グラサンの男性、シチボはそう言うと、ポケットからボタンを取り出して押した。すると、上から槍が降ってきた。


「クソッ! いきなり攻撃を仕掛けてくるのか!」


 カイトはそう言いながら降ってくる槍を刀で防いだ。セアンやライアも武器を使って槍を攻撃して弾き飛ばしていた。


「油断したね、こんなことをしてくるなんて!」


「ああ、槍が止まったら攻撃を仕掛けよう!」


 カイトとセアンが話をするが、何かを見たコスタは驚く声を上げた。カイトはコスタの視線の先を見ると、そこには頭に槍が刺さったシチボがどや顔で立っていた。


「どうだ? 俺の不意打ち攻撃は驚いただろ?」


「自分で自分の攻撃を受けてんじゃねーか!」


「フッ、こんなもんかすり傷だ」


 シチボはそう言って頭に刺さった槍を引き抜いたが、頭から噴水のように血が発した。その直後、シチボは倒れた。


「おいおい、結局倒れてんじゃねーか!」


 呆れたカイトは倒れたシチボに近付き、様子を見た。だが、倒れたシチボは人形だった。


「な! 人形だと!」


「俺はここだ!」


 後ろからシチボの声が聞こえた。カイトは後ろを振り向くと、上から巨大な鉄塊を持ったシチボが奇襲を仕掛けてきた。カイトは刀を構えていたのだが、シチボは着地に失敗し、巨大な鉄塊の下敷きになってしまった。


「あんた……本気で戦うつもりがあるのか?」


 カイトは鉄塊の下敷きになったシチボにこう言ったが、ペッタンコになったシチボが巨大な鉄塊の下から現れてこう言った。


「ああそうだ。俺はいつだって本気だ。見て分からないのか?」


「分からないから聞いてるんだろうが」


「フッ、何も察していないのか。力と魔力はありそうだが、まだ未熟だな。ちょっと待ってて、元に戻るから」


 そう言うと、シチボはどこからか空気入れを取り出し、ペッタンコになった自身に空気を入れて元の姿に戻った。その隙を見計らい、セアンが攻撃を仕掛けた。だが、シチボはセアンの攻撃を防御した。


「奇襲かい、お嬢さん?」


「くっ、勘がいい!」


 セアンはそう言うと、左手に持つハンドガンを素早く動かしてシチボに銃口を向けて引き金を引いた。シチボは飛んでくる弾丸をかわし、セアンにこう言った。


「銃口を使うのは危ないなぁ」


 シチボは決めポーズを決めてこう言ったが、コスタの遠距離射撃がシチボを襲った。シチボはコスタがスナイパーライフルで攻撃すると察していたため、両足を広げながらジャンプして弾丸をかわした。


「凄腕のスナイパーがいるようだが、俺は勘がいいから攻撃が分かるんだぜ」


 と、シチボはこう言ったが、シチボの尻部分は何故か破れていて、プリケツが丸見えだった。


「おい、尻が丸見えだぞ」


「え? イヤーン! エッチ、スケベ! 私のお尻を見ないでー!」


 シチボは顔を赤くしながら尻を隠した。呆れたカイトは左手で顔を覆いながらこう言った。


「野郎の尻を見ても嬉しくねーって……」


 カイトは呆れて戦う気がなくなった。その一方、ケアノスはレイピアを持ってシチボに襲い掛かった。無数の突きがシチボに命中したのだが、ケアノスは手ごたえを感じなかった。


 おかしい、攻撃が当たっているのに、ダメージを与えてる気がしない!


 ケアノスはそう思うと、目の前のシチボを調べた。そのシチボは人形だった。


「また身代わり!」


「じゃあ本体はどこに?」


 セアンとケアノスは周囲を見回すが、シチボはいなかった。何かが起こるかもしれないと思ったコスタとライアとラージュはカイトたちの元へ近づいた。


「皆、固まって! あいつがどこから出てくるかもしれない!」


「変な技を使う奴だから、変なタイミングで攻撃してくるかもしれないわ」


「魔力を解放して! 攻撃を受けたらすぐにバリアを張るのよ!」


「神経を集中させて! 奴を見つけたらすぐに動くよ!」


「とにかく落ち着くのよ。冷静になれば、どんなことが起きても対処できるから」


 カイトはセアンたちの言葉を聞き、刀を握って周囲を見回した。だが、シチボは現れなかった。


「あいつ、一体どこに行ったんだ?」


「ここだよー」


 シチボの声が聞こえた。カイトたちはシチボの声がした方を見ると、壁の一部分が倒れ、そこにはバスローブ姿のシチボがあった。


「やっほー。着替えるついでにシャワー浴びちゃったー」


「戦いの中、何やってんだお前は!」


 と、カイトたちは一斉にシチボにこう言った。カイトたちの声を聞いたシチボは右手にワイングラスを持ち、ゆっくりと歩きながらカイトたちに近付いた。


「まぁまぁ落ち着きなさい。少しはゆっくりワインを飲みながらだーらだらと……」


 シチボはそう言いながら歩いていたのだが、途中で足をくじいて派手に転倒した。その時に、シチボの額は持っていたワイングラスに命中した。


「アッギャァァァァァァァァァァ! 額が! グラスが額に刺さっちゃったァァァァァァァァァァ!」


 シチボは額を抑えながら転がりまわった。カイトは呆れたのだが、とりあえず戦っているんだから攻撃しないと思い、転がるシチボに近付いて刀を振り下ろした。だが、シチボは右足を使ってカイトの攻撃を防御した。


「酷いことを考えるねー。俺が痛みで苦しんでいる間に攻撃するだなんてー。俺、ちょっと悲しいよー」


 シチボはふざけながらこう言っていたが、攻撃を防御されたカイトは冷や汗をかいていた。


「足だけで俺の攻撃を防ぐなんて……」


「ま、それだけ俺が強いってことだ。俺にも……いろいろあったんだよ」


 シチボはそう言うと、天井を見上げて昔のことを思い出した。


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