ようやくの再開とバトルの予感
遺跡の奥へ進んだカイトたちは、いきなりクイズ大会に参加することになる。だが、その問題は滅茶苦茶で考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうな内容だった。二問目を終えた今の結果は、カイトたちが二回正解して勝利へのリーチを手にしている。そんな中、ネクラレンの船員は頭を抱えて唸り声をあげていた。
クソッたれが! こんなバカが考えた問題、答えられるわけねーだろ! そもそもこんなバカなクイズに参加する意味はない!
と、心の中で思っていた。その後、ネクラレンの船員は仲間の方を見て頷いた。
「さーて、次の三問目で勝負が決まるかもしれません! では早速、運命の三問目を……」
司会者が話をしている途中で、ネクラレンの船員は魔力を解放した。その結果、彼らの体の動きを封じていた拘束具が壊された。
「こんなふざけたクイズに付き合っていられるか!」
「今ならピラータ海賊団を始末できる。お前らを殺して俺たちは先に進むぜ!」
「最初からそうすればよかったんだ!」
と言って、ネクラレンの船員はカイトたちに襲い掛かった。
「まずい、こっちはまだ動けないのに!」
「絶体絶命ね……」
ケアノスとラージュは手足を動かして、何とか自由になろうとあがいた。カイトとコスタも手足を動かしたのだが、拘束具は壊れることはなかった。そんな中、司会者が勝手に抜け出したネクラレンの船員を見て声を出した。
「あーらら、ルール違反ですよー。そんな人たちは、地獄へ落ちてもらいまーす」
そう言うと、司会者は手元のボタンを押した。すると、ネクラレンの船員の足元がいきなり開いた。
「え? 足元が……」
「そんなのってありかよ」
ネクラレンの船員はそう呟いた後、情けない悲鳴を上げて落ちて行った。その直後、開いた床は元に戻った。
「た……助かったのか?」
カイトが小さく呟いた瞬間、体の自由を封じていた拘束具が解除された。
「トラブルがありましたが、あなたたちが勝者です! では、先に向かってくださーい!」
司会者がカイトたちに向かってこう言った。すると、閉じられていた扉が大きな音を立てて開いた。
「とりあえず、先に進めるようね」
「相手が自爆してくれてよかったのかな?」
「考えないでコスタ。あいつらは勝手にバカなことをして、落ちただけよ。自業自得よ」
「かわいそうだと思うけど……先に進むか」
カイトたちは話をした後、回答席から立ち上がって次の部屋へ向かった。
次の部屋へ向かう廊下を歩く中、カイトはあることを思った。
「セアンとライアはあのクイズを抜けたってことだよな?」
「多分そうね。きっと、ネクラレンの連中が自爆したから先に進めたと思うわ」
「何かそんな気がする」
カイトとコスタが話をしていると、ラージュが小さな声で止まってと言った。何かがいる。そう考えたカイトとコスタは武器を手にし、周囲を見回した。
「誰かがいるわ。魔力を使ってこっちに近付いてくる」
「セアンとライア……だといいんだけど」
「この遺跡のせいかしら? 魔力の探知が難しいわ」
「とにかく誰かがくるまで待機」
カイトたちはそう話をし、周囲を見回した。しばらくして、水の衝撃波が襲ってきた。
「セアンとライアじゃなさそうだな」
カイトはそう言って、襲ってきた水の衝撃波を刀で破壊した。その直後、無数の炎の刃が現れ、カイトたちの周りを取り囲んだ。
「今度は炎?」
「ネクラレンの連中がここにいるわね」
「そうみたい。本当に面倒ね」
ケアノスとラージュはそう言って、魔力を使って炎の衝撃波を破壊していった。カイトは魔力の探知を行い、敵がどこにいるか調べた。だが、遺跡が特殊な素材でできているせいか、探知は難しかった。
「やっぱり無理か。探知ができない」
「このままじゃ、こっちが何もできないままやられるわ」
「手を出せないままやられるのは嫌ね。とにかく先に進んで、敵を探しましょう!」
その後、カイトたちは走り出した。目の前からは水や炎の衝撃波が飛んできて、カイトたちを襲った。
「卑劣で根暗な連中だな、遠くからちくちく攻撃することしかできねーのかよ?」
「卑怯な行為に関しては、ネクラレンの連中は頭が回るようね」
カイトとケアノスは武器を使って襲ってくる衝撃波を破壊していた。ラージュは大剣を持ち、前を睨んだ。
「誰かがいるわ。あいつらが攻撃を仕掛けているかもしれないわ。私、ぶっ飛ばしてくるわ」
「援護するわ」
コスタは走りながらスナイパーライフルを構えてラージュにこう言った。コスタの援護の用意ができたことを察したラージュは、勢いよく地面を蹴って敵に向かって高く飛んだ。敵に接近したラージュは、敵の姿を確認した。数は三人、若い男と中年の女と、変な形の銃を手にしている男。この三人の誰かが、衝撃波を飛ばしているのだとラージュは考えた。
「敵がきたわね」
「俺が斬る」
と言って、若い男が両手に剣を持ってラージュに攻撃を仕掛けた。ラージュは大剣を振り下ろしたのだが、若い男は両手の剣を使ってラージュの攻撃を防いだ。
「ふぅ、やるじゃない」
攻撃を防がれた後、ラージュは後ろに飛んでカイトたちと合流した。カイトは刀を持ち、敵の三人組を睨んだ。
「テメーら、ネクラレンの連中か?」
「その通り。俺たちはここに残って、後からくるだろうお前たちの足止めを任されたんだ」
「悪いけど、あんたらの墓はここになるわ」
「大人しく死んでくれ」
敵の三人組がこう言うと、カイトたちは武器を相手に向けた。
「やなこった」
「こんな所で死にたくないわ」
「私たちを倒せると思っているでしょうが……甘く見ない方がいいわよ」
「ぶっ飛ばされるのはあんたたちの方よ」
カイトたちの言葉を聞き、敵の三人組はにやりと笑った。
「ガキ共が、経験の差を教えてやる」
若い男がこう言った直後、後ろから何者かが現れ、敵に奇襲を仕掛けた。何者かの魔力を感じたカイトたちは目を丸くして驚いた。
「セアン! ライア!」
「皆ー! 無事でよかったー!」
「やっと追いついたんだね!」
セアンとライアは敵を攻撃した後、カイトに抱き着いた。
敵の若い男、メケラーモは突如現れたセアンとライアを睨み、悔しそうな顔をしていた。
「大丈夫かい、メケラーモ?」
「ああ。シェイム、トゥート、奴らが合流してしまった。苦戦するかもしれないぞ」
メケラーモはシェイムとトゥートに向かってこう言った。その直後、ナイフを持ったライアがシェイムに攻撃を仕掛けた。
「おばさんがこんな所にいちゃ危ないと思うよ。年齢を考えなよ」
「挑発のつもりかい、小娘? 私はまだまだ若いよ!」
シェイムはそう言うと、火の魔力を発してライアを吹き飛ばした。吹き飛んだライアは地面に着地し、シェイムを睨んだ。その隙にトゥートが手製の空気銃でライアを撃とうとしたのだが、ラージュの邪魔が入った。
「私の姉妹を撃たせはしないわ」
「クソッ! 邪魔をするな! お前から撃つぞ!」
「やってみなさい。無駄だから」
ラージュはそう言ってトゥートを睨んだ。その一方、メケラーモは目の前にいるセアンと睨み合いをしていた。
「感動の再会の真っ最中じゃなかったのか?」
「あの後話をしたあのよ。私とライアとラージュがあんたらの相手をして、カイトたちを先に向かわすって」
「足止めの俺たちを倒すつもりか? 俺たちは強いぞ、強いから足止めを任せれたんだ」
「あっそ。そんなこと言って強さの自慢をするつもり? チンケな技しか使えないくせに強がってんじゃないわよ」
「俺を怒らせない方がいいぞ、小娘」
と言って、メケラーモは両手の剣をセアンに向けた。
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