どうしてコースターの上で激闘を?
メダル争奪戦に参加したカイトは、何故かジェットコースターのような乗り物の上に移動された。そこでコスタと再会したのだが、突如サイレンが鳴りだし、カイトとコスタは動けるように構えた。
「一体何があるんだよ?」
「分からないけど、構えた方がいいわね」
カイトとコスタは話をし、いつ、何が起きても動けるようにしていた。それからしばらくして、別のコースターが現れた。その上には、ネクラレンの船員らしき姿があった。
「あ! あいつらはピラータ海賊団の!」
「やはりメダル争奪戦に参加していたか!」
「ここであの二人をぶっ殺そうぜ! 先に行ったマイダさんの助けにもなるしなぁ!」
ネクラレンの船員は、それぞれの武器を持ってカイトとコスタを睨んだ。コスタはスナイパーライフルを構え、ネクラレンの船員が持つ武器を狙撃した。弾丸によってネクラレンの船員の武器は弾かれ、下に落ちた。
「あ! 俺の剣が! あれ、結構高かったんだぞ!」
「知らないわよ、そんなこと」
コスタはそう言って、ネクラレンの船員の足に向かって発砲した。放たれた弾丸はネクラレンの船員の足を撃ち抜き、戦闘不能にした。
「いいぞコスタ。これで一人倒したな」
カイトは魔力を使い、周囲にいるネクラレンの船員と戦っていた。そんな中、倒されたネクラレンの船員が乗るコースターが回転し、その上に乗っていたネクラレンの船員は落ちてしまった。
「おわっ! あれ、回転すんのかよ!」
「それよりも、あの人どうなるんだろう?」
カイトとコスタは落ちたネクラレンの船員の行方を見るべく、下を見た。下は真っ暗で何も見えなかった。
「落ちたらどうなるんだ?」
「落ちたら死にまーす」
と、シチボの声が聞こえた。その声を聞いたコスタは周囲を見回しながら口を開いた。
「そんな危険な所で戦わせないでよ!」
「だってー、お前ら俺のメダルを奪いにきたんでしょ? 一応侵入者を倒す役割もしなきゃいけないんだしー」
「そうだな……ソンウクの遺跡も罠だらけだったし」
カイトはため息を吐きつつ、周囲を見回した。戦意を見せていたネクラレンの船員は、仲間の死によって戦意を失っていた。戦闘不能になったら死。倒されたと判断されたらコースターが動いて落ちてしまう。そのことを知ったカイトは、どうやってこの状況を打破しようか考えた。だが、考える時間はなかった。目の前に壁のようなものが現れたからだ。
「カイト! 何か壁みたいなのがある!」
「んなっ!」
コスタの声で我に戻ったカイトは、刀を振るって現れた壁を斬り壊した。一方、ネクラレンの船員は現れた壁を対処することができず、激突してしまった。
「うわァァァァァァァァァァ!」
「た……助けてくれェェェェェェェェェェ!」
激突した時の衝撃で、ネクラレンの船員が乗っていたコースターがレーンから外れ、ネクラレンの船員と一緒に奈落の底へ消えて行った。
「また、あんな仕掛けがあるんだろうな」
「多分ね」
カイトとコスタは奈落に落ちたネクラレンの船員を見て、短い会話をした。
カイトとコスタを乗せたコースターは順調に走っていた。ネクラレンの船員は現れることもなく、戦うことはなかった。だが、カイトとコスタは武器を手にしていた。
「また変なのが現れるだろうな」
「こんな簡単に試練をクリアできるとは思わないしね」
またさっきの壁のような障害が現れる。そう考えていたカイトとコスタは何があってもいいように武器を持っていたのだ。しばらくして、別のコースターが走る音が聞こえた。
「何かくる」
カイトは周囲を見回し、何がいるか確認をした。すると、狼のようなモンスターが乗ったコースターが現れた。
「今度はモンスターかよ!」
「こっちにくるわ!」
コスタの声の後、狼のようなモンスターはカイトとコスタが乗るコースターの上に飛び乗った。
「この野郎!」
カイトはモンスターの着地に合わせ、刀を振るった。だが、カイトの予想より多くのモンスターが現れたため、カイトの攻撃では対処できなかった。
「カイト、私も戦うわ!」
接近戦になると判断したコスタは、ショートソードを手にしてカイトを襲うモンスターを攻撃し始めた。
戦いが始まって数分後、カイトとコスタは飛び乗ってきたモンスターを倒すことに成功した。倒したモンスターは攻撃を受けた直後、その反動で奈落に落ちてしまったが。
「これで……何とかなったのか?」
「なんか嫌な予感がする」
コスタがこう言った直後、横にレーンが現れた。その直後、いきなり上からコースターが現れ、前のレーンの上に落ちた。そのコースターの上には、何もいなかった。
「今度はなんだ?」
「も……もしかして……」
コスタが震える声で前を指差した。今、カイトとコスタが乗っているコースターの前にあるレーンは、途中で切れていたのだ。
「コスタ、ちゃんと俺に抱き着いてくれよ」
「お願い」
コスタはカイトに抱き着き、カイトは別のコースターの上に飛び乗った。しばらくして、最初から乗っていたコースターはレーンから外れ、奈落へ落ちてしまった。
「今度は……コースターの乗り換えか?」
「ぼやいている場合じゃないよ。今乗ってるコースターも少し走ったら落ちるわ!」
コスタの声を聞き、カイトは慌てて別のコースターに飛び移った。
カイトとコスタは何度もコースターを飛び移りながら落下を防いでいた。早くゴールに到着してくれ。そう思っていたカイトだったが、今乗っているコースターのレーンの先に、突如光が現れた。
「今度はなんだ!」
「分からない、逃げられないし……」
「あの中に突っ込むしかないのか?」
カイトはコスタを強く抱きしめながら、間をおいてこう言った。
「コスタ、覚悟はできたか?」
「うん。あの中に入るしかない!」
「何とかなってほしいな」
「そうね」
カイトとコスタが話をしていると、コースターは光の中に突入した。
光の中に入った後、カイトとコスタは別の場所に飛ばされた。
「いてて……尻打った」
カイトは立ち上がりながら、尻をさすりながら周囲を見回した。
「遺跡の中みたいだな。戻ってきたのか?」
「違うみたい。私たち、ちゃんと前に進んでいるわ」
コスタは看板を見つけてこう言った。その看板には、コースターの試練のクリア、おめでとちゃーん。と、書いてあった。その文章を見たカイトは呆れてため息を吐いた。
「死人が出たっつーのに、ノリが軽いな……」
「そうね。何を考えているのかしら、この遺跡の守護者は?」
カイトとコスタが呆れながら話をしていると、突如足音が聞こえた。カイトは刀を持ち、足音の接近を待った。それからしばらくして、カイトとコスタは足音の主を見て武器をしまった。
「ケアノス! ラージュ!」
「カイト、コスタ! 無事だったのね!」
現れたのはケアノスとラージュだった。カイトとコスタはケアノスとラージュに近付き、話を始めた。
「二人とも、無事でよかった。俺とコスタより先にあのコースターの試練を突破したんだな」
「ええ。滅茶苦茶だったけど……何とかなったわ」
「ネクラレンの連中が結構落ちてたけど」
ケアノスとラージュの話を聞き、二人もネクラレンの船員の死を見たとカイトは判断した。コスタは周囲を見回し、ケアノスにこう聞いた。
「ねぇ、セアンとライアは?」
「二人は多分先に向かったわ。私とラージュより先にあのコースターを突破したみたい」
「あの二人なら、遊びみたいにあのコースターを突破しそうだな」
カイトは脳内で子供のようにはしゃぎながらコースターの上を飛び移るセアンとライアの姿を想像した。その後、合流した四人は次の試練へ向かった。
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